第164章 魔帝界 過去篇 ④
魔帝界に帰ってきたアルロムスは予言師・ショジョ―コが居るところへ会いに来て問い詰めていた。
「お父さんはアンタを信用していた。もし命が危険になった時、アンタが何も言わない筈がない」
「私目は助言いたしましたじょよ。ですが予言では3年後に亡くなる事になってました」
「3年後? お父さんは先ほど亡くなった!! この目で死んだのを見た!!」
「お、お許しを」
アルロムスはエネルギーで作り出した重力をショジョ―コに放ち潰した。
「予言ではなく未来が知りたい。これから起きる事を」
ジャムの様になったショジョ―コに呟いているとそこに、未来予知のミクリックが入って来た。
「私が見た未来の先。345年後の未来で運命が大きく変わります」
「どう変わる?」
「怪物の王が倒されます」
「なに!? 誰に?」
「それはわからない。ただ、怪物の王が倒されたことでこの世界をあなたが変える。そんな未来が見えただけなの」
「そうか…。ありがとう」
「これからどうする気ですか?」
「俺は王になる。お父さんに託された。その為に他の者達を信用させる必要がある」
「それなら時間の問題。だから約束してほしいのアル君」
「ん?」
「自分を見失わないで」
ミクリックは悲しい表情を見せ、アルロムスは背を向け、その顔を見る事無くその場を立ち去る。
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アルロムスは父親の部屋の椅子に座り考えている中でギンリン、ザイリュウが入ってくる。
「アルロムス、帰っていたのか?」
「ドラゴンは捕獲したぞい。気絶させたら人型になったぞう。クキチの技術で」
「もういい、今は一人でいたいんだ」
深刻な顔でそう言ったアルロムスを二人は聞き入れて出て行く。
「(俺が慎重に動いていれば。 もっと早く父の未来を見ていれば。俺がもっと強くなっていれば。このままでは誰も俺に着てこない。誰も従わない。力も心も強く居なければ。野心や怨念はしまい込んで。優しい王となり国民のこの世界の王へと…)」
アルロムスは自問自答を繰り返す。
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数日後が経ち、アルロムスは魔帝界を旅することにした。気品と誠実を持った性格へと生まれ変わった。
数十日後、魔帝城の回りの街を修復活動や治安を回復。
数週間後、反旗を揺るがす組織を次々と潰していく。
数年後、力を増していく。
数十年後、戦い言う事を聞かせる破滅の王・ブラックエンティドラゴンを幹部へと就任させる。
数百年後、誰も知らない誰も入ってこない奥知で黒い塊をした子供の様な生き物と出会う。
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アルロムスの父が亡くなってから197年ー。
アルロムスはステンバー、デラーズと共に地上界に来た。
「この世界はなんだ?」
「美しい世界だろう。私もそう思ったよステンバー」
「この世界をもっと知りたい」
「ああ、だが今回はやめてくれ。いつかその時間を与えてやる」
3人は深海底国の前に立つ。
深海底国の王のリチャード・フィングスと平和条約の話を持ち掛けたがリチャード・フィングスは首を縦に振らわなかった。
後日、アルロムスはギアバグラ、アウロと共に天空界へ行く。
同じように平和条約を結ぼうと話を持ち掛けた。だが、女王のアンロス・アイジェリル・ピアリアノも同じく首を縦に振るわなかった。
「なぜだ!! 私達が手を組めば怪物の王なんぞ!!」
「その怪物の王と戦いたくないから貴様らと組まんのだ」
「クッ!!」
アルロムス達が帰る際にはアウロは尋ねる。
「この地上の者達とは話さないのかい?」
「彼らは私達の姿を見たら怖がってしまうし、エネルギーに当てられ思うように話せるかどうか?」
「王様、貴方が思うほど彼らは弱くないよ」
「だが、そうだな。もう少し経ってからにする。ところででギアバグラはどこだ?」
「さぁ、先ほど気になる女がいるって言っていたから探してるのでは?」
「さっさと見つけて帰ろう。 私にはまだまだやる事が有るんだ」
「わかりました」
アルロムスは魔帝界に帰り自分の部屋のソファに座り、前かがみとなり頭を抱える。
そんな彼を見てミクリック隣に座り抱きしめた。
「大丈夫だよ」
「ミクリック。俺は正しいのか? 本当は間違っているのではないのか?」
「急いではダメ。アナタは王様でこの世界を救うカギとなるの者。 それに私の見る未来をあまり頼ってはダメ。参考までにしなきゃ」
「だが、いずれこの世界は滅びる。 そうなる前に俺は!!」
ミクリックはアルロムス強く抱きしめる。
「自信をもって前にも言ったよ。 自分を見失ってはダメだと」
「ああ、だが」
抱きしめる腕を離し、ミクリックはアルロムスに言う。
「アル、この先、何が起きようとも決して自分の夢を忘れないで」
「一度も忘れたことはないさぁ」
「人種とはず、みんなが仲良くできる世界。私は見たい」
「ああ、わかってるよ」
「愛しているよ、アル」
「私もだ、ミクリック」
二人は見つめ合い愛を伝えあった。
その後、アルロムスの部屋から出たミクリックは自分の部屋に戻る通路で頭痛が急にし始めた。
その瞬間に未来がの路線が映し出された。
「ある年から未来が歪んで見えるようなっていたけど、これは?」
いくつもの路線が横並びの縦に伸びている。
何本もの分岐だがそれらは消えたり、現れたりを繰り返すので確定した未来まですべて理解してなければならない。
路線を触れる事でその未来を走馬灯のような断片的に見る事が出来る。
「どの未来も悪くないけど…。それに路線が最近消え続けている。まるで誰かが無理やり確定した未来にさせようとしているような」
ミクリックがいくつかの未来を見たが自身が納得いくものではなかった。
10年後以降は歪み始めてしまってハッキリとした者はみれないが確認はできる。
50年後、100年後、300年後と観ていく分岐はほとんどが10本ほどのみしかなく。
それもこれも魔帝界の未来はあまり良くなかった。
「このままでは…ん? いや、まだ1本ある。 まだ出来てないけど掠れてるけど分岐している」
ミクリックはまるで電球が切れかかっているようなチカチカとなっている路線に手を置く。
その未来は今まで見たことがない選択ばかりであり、災厄で危険な選択ばかりの分岐であったがもっとも希望に満ちていた。
「まさか!? だけどもし…ここにつなげる為に路線を振り替えなければ」
ミクリックは探りそして見つけた。
「そうか、そうなら。私がするべく動きをしなければ。 この未来は二度と観れないようにしなければ」
希望の路線をミクリックは完全に見えなくさせた。
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その日の深夜ー。
ミクリックはクキチの研究室に来た。
何かしらの実験をしている最中のクキチは驚き慌てて隠して仕舞う。
「どうなされましたか?」
「私は過去を見る事は出来ません、未来しか見えません。いくつものある未来を断片的に」
「ええ、知っておりますよ」
「アナタの腕はアル…王の夢の為に必要であり、その先の未来にも必要となる。例え貴方が…」
「僕の未来を見たようだね。その態度でわかる。 どうやら君にとってはあまり良くないらしいようだな。 王様に黙っていてくれて礼を言わなければなあ」
信用できない笑顔を振りまくクキチを警戒しながらミクリックは話を続ける。
「で、結論から言ってくれないか?」
「私の力が欲しいのでは?」
作り笑いをしていたクキチはやめてそして考えて理解した。
「わかった。もう少しあとにしようと思ったが、君が作った路線の乗ってあげよう」
クキチは研究室の奥で大きなガラスが割れる音がした。
それと同時にミクリックは押さえつけられる。
「その子はビダルちゃん。僕が作った生命体。グンギュウカとヴォンキュインボムの命の球を融合させて生まれた存在だ。 まだ未完成で粘土のような姿だけど、僕の傑作品だ」
同じぐらいのタイミング、もう一人現れた。
「ビダルとやら、ちゃんと取り押さえてくれよ」
「はい」
「だれ?」
最後に現れた男は取り押さえられたミクリックに近づきしゃがみこむ。
「アラシュ、それが私の名だ。 アルカスムも肉片と怪物の王の力によって生み出された命だ。 私の存在は未来にいなかったかな?」
ミクリックは苦しむ表情を変えずに心の中でホッとした。
「(よかった。繋がった)」
ミクリックは奥歯に隠してる毒玉を咬み液体を飲み込んだ。
「アラシュ、早く吸収をするんだ!! この為に作ったんだぞ、失敗は許さない!」
ミクリックは苦しみ目や耳から血を流す。そして意識が薄れていく中、アルロムスとの思い出を振り返る。
「(大丈夫、私が居なくてもあなたは正しい未来へ行けるはず。クキチ、貴方の腕なら私の未来を見る力は手に入るけど。あの未来だけは絶対に知らさせない。あの少女が剣を抜く未来だけは……。)」
ミクリックの体の中の命の球は泡の様に溶けて消えた。
薄れゆく意識の中でミクリックは小さな声を出す。
「アル、愛しているわ」
ミクリックの体はミイラの様になったあと砂と化して消えた。




