第161章 魔帝界 過去篇 ①
500年前の事ー。
当時の魔帝王・アルカスムは予言師・ショジョ―コの話を聞いていた。
「この魔帝界に危機が訪れるじょよ!」
「危機とはなんだ」
「この世界が滅びるほどの危機じょうよおおぉぉおお!!」
「いつその危機は来るんだ?」
「明日いや、来年、それよりも先になるかも。だが確実に滅びる。それは決定したことじょよ」
「わかった。お前の予言はハズレたことはないからな」
アルカスムは予言師の元から離れ、城の中の庭で子供のアルロムスが空を見上げていたのを目撃した。
「どうした? アルロムス」
「お父さん、いえ、先日からあの光る星が気になりまして」
「星?」
霧で立ち籠る中で目を細めながら空を見つめていたがどれだけ見ても星は見えなかった。
「気にせいなのでは」
「そうですか……。お父さん、僕は変なのですか?」
「どうしてそう思う」
「異獣種を僕が守ったらみんなから変な目で見られました」
「他の者と違うというのは可笑しな事だが、それはその器でしか図れない者達だけだ。つまり、お前はその者たちとは違う考えや価値が見える類まれな才能の持ち主という事だ。普通や常識を知りづつそこだけの世界以外をわかっている世界を知る事」
「お父さんはどっちでいればいいと思いますか」
「それはお前が決めればいい。変わり者として皆なの器を大きくできるか出来ないのか。はたまた、常識のある者となり安定した人となるのか。それはお前が王となった時、ついて行く者が変わる。自分の運命がどうなるかは自分次第。自分で決めろ!」
「お父さん」
「なんだ?」
「話が長いです」
●●●
アルカスムは城でもっとも高い場所の屋根の上に立ち世界を見つめていた。
「このままではただ滅びるだけか。我が子が王となった時の為にもやれることはやって置くべきだな。だが、何をやればいい。まだ子供でもあるアルロムスに果たして何を残すべきか。こうして考えていてもしかたがないのだが、私は教育を間違えられない。我妻がいない今、私がちゃんとしなければ。そもそれも我妻は可愛いのなn」
「長い独り言をしている所、すみません」
「なんだ!?」
ごちゃごちゃと独り言を喋るアルカスムのそばに側近のグンギュウカがサッと現れた。
「王様、大切はお話が」
「なんだ?」
「冒険者が入り込んできました」
「またか、最近は多くなってきていないか? そもそも最初に入って来た時に対象とけばこんなに入り込むことはないんだ。それに他の者がなぜ、この世界で生きていけるんだ? ここは冒険者達がいる世界とは重力が違うはずだろう。それなのになぜ好き勝手に入って来れるんだ。奴らはいったいなの為にこの世界に…」
「王様」
「なんだ?」
「急に走り出さないでください、私は乗車しておりません」
「う、ウム? でどう対応を」
「すでに、側仕えのヴォワゴレレの軍が向かっています」
「見習いだったのではなかったか?」
「はい、彼女の危険性を考えたら時間の問題かと思い側仕えとして席に置きました」
「魔帝界に悪影響にならなければいいがな」
「そうなっても王がいれば安心です」
「ああ」
アルカスムは空を見上げ、グンギュウカに問う。
「この世界はいずれ滅びるらしい」
「それは?」
「だが、そうはさせない。もしその時が来たら」
「ん?」
「冒険者達がいる場所に移り住むだけだ。全面戦争をしてでもなあ」
「そうならないことを私は祈るばかりです」
「ああ」
●●●
魔帝城の外、北側の街で数名の冒険者をブチ消していき、息のある一人の冒険者に馬乗りになり殴り続け返り血を浴びまくる小さな子がそこにいた。
子供の殴る腕をヴォワゴレレが止める。
「君は何をしているのかい?」
「誰だ? 俺を満たしてくれる奴か!?」
子供は右手をナイフのような鋭い武器に変えてヴォワゴレレに振りかざす。
だがヴォワゴレレは悪夢騎士を呼び出して攻撃を防ぐ。
「君は私には勝てないよ」
「じゃあ~お前は俺を消し去る事も出来ない!!」
二人の力がぶつかり合う。ヴォワゴレレと共に行動していた兵士は巻き込まれ倒れていき、激しい争いがどんどん、どんどん酷くなっていく。
「まさか、ここまでやるなんて思わなかったよ」
「てめぇ~、自信では手を出さず、寝転ぶような奴に負けてたまるかよぉぉお!!」
二人の戦いは北側の街を半壊までさせてしまうほど暴れ続けている時、一人の女性が子供の後ろを取り一撃で動きを止めたあとにヴォワゴレレにフェイントを掛けなが左手で頬を殴り吹き飛んだ先に回り込んで飛んできたヴォワゴレレを拳で地面に叩き付けて再起不能にさせた。
「アナタ方がどこの誰かは知りませんが何の罪もない人の命を奪く事は私がゆるさないから!!」
強烈な一撃を貰った子供は倒れながら女性を見る。
「お前、何者だ!?」
「私はリリー・アミリィだあ。 この世界にはただ迷い込んだ。 出口を知らないかい少年?」
子供は歯を食いしばりながらゆっくりと体を動かし起き上がらせる。
「俺はリヴァナラだ! 覚えておけ、いずれブチ倒す者だ!!」
「少年、そこまでの力があるのであれば壊すのではなく救う為に使いなさい」
「なんで見ず知らずの奴を救わなければならないんだ!!」
「力を持つ者の役目だよ」
リリーがリヴァナラと話している横に仲間の一人がシュッンと現れる。
「リリー、探したぞ」
「ヨウちゃん」
リリーの仲間で魔法使いのヨウダが近づく。
ちなみにヨウダはリリーより年上である。
「また、事件に首を突っ込んで今度は何を?」
「人聞きが悪いよ。命を助けてた」
ヨウダが周りを見渡す。隕石でも落ちた様な状態の中で人々は誰一人も命を失っていなかった。
リヴァナラは驚く、周りを気にする余裕もなかった激しい戦いの中でリリーは気づかれずに助けていたのだ。
「出口見つかった?」
「まあ~、ショーがそれらしい場所を見つけたらしいよ」
「よし、行こうか!」
リリーが一歩前に歩き出したその瞬間、大型の悪夢騎士、8体が前に現れた。
「お前は私の脅威になる。ここで潰す!!」
怒りを向けるヴォワゴレレを見てリリーは優しい表情を見せる。
ヨウダが魔法を出そうとしたがリリーは止める。
「 " ヘレボルス " という花によく似ているよ貴方」
「なんだそれは?」
「花の名前。花の姿をした悪魔のような毒を持つ薬草。綺麗だけど一口下だけで死んでしまう危険な花」
「それが私に似ていると、褒め言葉として受け取っておくよ。消えろ!」
ヴォワゴレレは大型の悪夢騎士、8体に命令をして、リリーに向かわせる。
「アナタの悲しみを理解した」
「はあ?」
「下を向いている花ってさぁ、なんか影がある女性ぽくって好きなんだよね。アナタも正直に生きたらみんなが貴方に興味津々になると思わない?」
そんな話をしながらリリーは、いとも簡単に大型の悪夢騎士を一体、一体を倒していく。
「それに毒があっても気を付けて育てれば可憐で綺麗な花なんだから」
リリーはそのか弱しい体からは見えないほどの筋力でヴォワゴレレの顔面ギリギリを寸止めの拳が前に止まる。拳の勢いによって尻もちをするヴォワゴレレはビビってしまって声が出なかった。
「(な、なんだ、この女は? こんなヤバい奴は始めてだ。 関わったらダメな奴だ。もしかしたらコイツの様な奴が……怪物の王を倒すのかもしれない)」
リリーはヴォワゴレレとリヴァナラに手を振ってヨウダの移動魔法でその場から移動して消えた。
数分後、グンギュウカと軍兵がそこにたどり着いた。
「ヴォワゴレレ、これは何だ!」
「そうだな~……、そこにいる子供がやった。コイツは魔帝王の為に必要となるぞ」
兵士達を睨みつけながらまだ体が動けずにいるリヴァナラ。
ヘラヘラとしながら仰向けで倒れてるヴォワゴレレを見てグンギュウカは理解が追い付けなかったがとりあえず、リヴァナラを拘束してその場にいる者達の安否や安全な場所の確保に動く。
●●●
魔帝界から出れる空間を前に立つリリーとその仲間の3名。
「心配かけたね」
「わかってるから、さっさと中に入ってくれ」
「ヨウちゃん、怒ってる?」
「いいから」
「はいはい」
リリーは仲間のショーと共に先に出口の空間に入って行く。
「君も逸れた時は心配しましたよ。まさか城の方へ行ってるなんて。さあ、僕達も帰りますよ。 ゴーキ」
「ああ」
二人は元々いた場所に帰って行った。




