第156章 暴れだす勇者と動き出す者達
シンノスケは城の数ある中の塔の一つにいた。
螺旋型の階段を上りあがり終わ前の部屋の中に入る。
中には数十人メイドがいた。
レイコはシンノスケの手を握りながら話す。
「此処にいる者達はルギアラ様やオルガ様などの幹部の世話を任されている者達だお。心から忠義を誓っている者ですそれゆえに私達にだお」
レイコは自身の首筋をシンノスケに見せた。
首筋にサソリの入れ墨の様な生き物が動き回っていた。
「これは最低な呪いの魔術だ。まさかここのいる者達は!」
「そう、みなこの呪い掛けられているのだよ」
「僕は呪いの類には詳しい方です。よければ解読させてください」
「いえ、それはお断りします」
「なぜ」
「この呪いを掛けた者を倒してください」
「誰なんですか、これを掛けた者というのは」
レイコが放った名にシンノスケは背筋を凍らせた。それと同時にオルガの使いの者のチバロ、エレピの肩を借りながら包帯でだらけの男を連れて来た。
「貴方は! なぜここに!? ヒジェルガさん」
天空界のジェムン軍の副長のヒジェルガがそこにはいた。
「遅かったな? いろいろあって情報はまとめてある」
「ごめんなさい、僕達に何を?」
「それを今から説明する」
突然だったがシンノスケはすぐに切り替えて話を聞くことにした。
●●●
リリネッドはヴォワゴレレ、ステンバーと共に実験施設のある場所に来ていた。
3人を連れて来たビダルは機械のボタンをガチャガチャと押した。
4人の間に立体映像でクキチの録画映像を見せられた。
『やあ、勇者さん。僕はクキチという物だ。まず何から話そうか。そうだなまずはこの世界と君が住んでいた世界の事について話そうかな』
リリネッドは部屋の回りを見渡し始め話半部だけしか聞いてなかった。
ビダルは注意をする。
「おい、勇者は話を聞け! お前の為にコイツどれだけこの撮影に時間を掛けたか」
「でも、なんか話が長くなりそうだったし」
「それでも勇者か? 話を聞け」
「よくわからないよ~。そいうのはクロウ達に任せてるし。コンパクトにしてください」
「ったく~お前はなあ……。まあそいう事もあると思ってちゃんと短縮版は用意されているよ」
「「(あるんだー)」」
リリネッド、ヴォワゴレレはそう思った。
『急いでいる用だ。まずやるべきことは幹部を倒すか口説く事。つまりは仲間にすることだ。それが出来たら次はアラシュを止める。それが出来たらすぐに魔帝界を脱出する以上だ。よろしく自分はその準備を整えておくよ。ビダルちゃん、どれぐらい? 約30秒!? 32分も削れた。それでは勇者、検討を祈るよ』
それで立体映像は切れた。
「だいたいわかった?」
「つまり、ヴォワゴレレ、すてえ~……アイランさんや他の幹部の人と仲良くすればいいんだよね。わかったよ」
「私はいいけどその前に、勇者の話が聞きたいな」
「私に話はないよ。でも聞きたいなら話すよ。面白くないけど?」
「君の口から聞きたいんだ」
ヴォワゴレレが詳しく聞こうとして周りを見渡す。
「でこうしていると君の運命に邪魔されるんだよね」
「?」
「まるで神の悪戯、それ以外の誰かが真相の邪魔をしている」
ヴォワゴレレがそんなことを言っていると奥の研究室から何かが割れると音がした。
「ほらね、邪魔が入る。何かなぁ~」
「確か、あの奥には」
ビダルが説明する前にその者が現れた。
体の一部が魔物に侵食されそうになっていた。
苦しそうに叫び上げながらこちらに向かってくる。
「チッ…。騒ぐんじゃああぁぁあああないよ!!」
ビダルは回し蹴り、その者を蹴り倒す。
「コイツは天空界から来たらしい男だ。名は確か~…。フジドエム。 クキチが十三ヶ騎士団の肉体と人との融合の実験に適合しなかったらしいな」
「亡くなったの?」
「いや、気絶させただけだ。アタシらはマッドサイエンティストじゃない。コイツが生きているって事はまだ実験は終わっていないという事。わかるよな?」
「よくわからないけど、この人が大丈夫ならいいけど」
ビダルはフジドエムを引きずりながら奥の部屋へ連れて行く。
リリネッドの胸元から追跡蝙蝠が出てきてクロウの声がした。
『よう、楽しんでるか? リリネッド』
「クロウどうしたの?」
『ああ? 話が進みそうにないから声を掛けただけだ』
「暇なの?」
『いや、今忙しい』
「じゃあ~なんで」
『兎に角、俺達の元に戻ってこい!』
「わかったけど…」
リリネッドの横に武装した魔物が武器を構えていた。
「少し遅れるかも」
『まあ、こうなる事は読んでいた。俺の中のプランGを進める』
「私それ知らない」
『問題ない、俺達はたd』
追跡蝙蝠は武装した魔物に斬られ床に落ちる。
「勇者よ、私的にはアンタの協力者になりたいが、どうやら時間がないらしいよ」
「ん?」
「感じないかい? 彼の力を」
ピリッとする悪寒が全身に走りリリネッドは真上を見る。
「何か来てる?」
油断しているリリネッドの体にステンバーは木の根の触手を伸ばして縛る。
「抵抗するな、無事でいたいならな」
「アイランさん、覚えてないの?」
「何を?」
無表情のステンバーにリリネッドは解う。
「カリンちゃん」
「カリン?」
「覚えてないの? 本当に?」
「どうでもいいことだ」
二人が話している中、ヴォワゴレレは止めるように話す。
「そんな事より、さっさと王室に行こう。勇者とお人形さん」
3人はその部屋から出て通路を歩きだす。
ヴォワゴレレは独り言の様に口を開く。
「幹部はみな欠けている存在なのだ。生き物として、王族として、感情を、愛を、心を。ただ皆がああやって生き生きしているのは魔帝王・アルロムスがいたから。命を貰ったの。デラーズは血を欲しがらなくても生きていく体を、アウラは人としての体を、ヴォンズも同じく、他の者達もそれぞれの生きづらい生活から救い出したのが王さあ」
「すごい人なんだね、魔帝王って」
「ああ、すごい人だ。だからこそ彼を止めなければならない。その障害になるのがアラシュだ」
「おい!」
「なんだい? お人形さん」
「貴様、反乱を犯す気か!」
「君には関係だいだろう」
「ヴォワゴレレ。アラシュ様はお前を信用していない。俺がここでお前を消すことも可能なんだぞ」
「口の利き方も忘れたようだな、ステンバー。私の危険度も忘れたわけではないだろう?」
二人がバチバチしている中、リリネッドの拘束が解かれた。
その隙に走り出してその場を離れる。二人は逃げ出すリリネッドを追って走る。
後ろを振り向きながら背負う剣を抜いて天井に向かって斬撃を飛ばして穴をあけた。そこに剣を投げその反動で真上に飛び上がる。
ステンバーは木の根をを使って、ヴォワゴレレはエネルギーで作り出したバネの様な物で上がる。
上の部屋に上がり二人が来る前にすぐに部屋出て扉を閉める。
争いながら二人は登り切り、ステンバーは根っこの触手を使ってヴォワゴレレを隣の隣まで吹き飛ばした。
扉の方へと走り出し扉を開けたと同時にリリネッドが作り出した猪でステンバーにぶつけた。
「ごめんなさい。 クロウ達はどこにいるかな?」
そんなことを考えているとステンバーとヴォワゴレレは起き上がってきた。
「うっえぇ! ヤバイ」
逃げ出すリリネッドはポケットの中の物に手を突っ込み掴む。
何処かわからない場所を走って行くと目の前に魔物が現れながらも足を止める事無く次々と投げ倒す。
「も~どこ!? もういいや逆に来てもらおう」
リリネッドは剣に魔力を注ぎ、周りを斬ったり飛ばしたりと暴れだしていく。
そこにヴォワゴレレは先に付き、大柄の魔物を3体作り出して向かわせた。
リリネッドは臆することなく大柄の魔物を2体を飛ぶ斬撃で倒して、最後一体を斬り倒す。
「ごめんなさい」
ヴォワゴレレはアイマスクを付ける。
「私の力、覚えているかい」
「覚えるのは得意じゃないです、はい」




