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勇者を利用する者たちの冒険  作者: とり飼ジン
魔帝界 篇

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第151章 勇者は観覧車を知らない


 クロウとナギは雑貨屋でリリネッド達を待っていた。


「ナギ! これ面白いぞ!」


「なんじゃ?」


 手のひらサイズの人形の頭を押すと口からグミが出る玩具を見てクロウは、はしゃいでいた。

そんなクロウを見てナギは、不気味に思った。


「どうしたんじゃ?」


「ナギは何で、リリネッドについて行くんだ?」


「前にも話したと思うが…まあ~その時と少し気持ちが変わったか」

 

 雑貨品を見ながら軽く話を始める。


「最初は勇者だからだった。でも今はリリネッドではなけばに変わったのじゃあ。最後までこのいの…。いや、この人生を掛けてでもってなあ!! お主はどうなのじゃ?」


「俺は変わらないよ。リリネッドが有名にして大きな成果を出してくれればいいと思っているだけだ」


「そう、そこなのじゃよ」


「ん?」


「お主は、リリネッドに」


 ナギが問い詰めようとした時、ナギが持っていたびっくり箱が発動して大きな音が出た。

そのせいで雑貨屋の亭主に怒られ、二人はアワアワしながら謝った。


 ナギの問いは流され、クロウは適当にその辺に会った魔道具をいくつか買って店を出た。


 外へ出た二人は空き地の方へ目線が行くと子供たちが遊んでいた。


「ワシらの場所とこヤツらの場所、何も変わらないのじゃな」


「それでも王を倒さないといけないんだ」


「まあ~どうなるかはリリネッド次第じゃけど」


 二人が話している近くに、一人の三つ編みの眼鏡を掛けた4.5歳ぐらいの少女が見つめていた。


「ど、どう……いやなんじゃ?」


「なんで~子供がおじいちゃんみたいな話し方したの?」


「え? ああ、これは癖の様なものじゃあ」


「?」


「ん?」


「同い年だよね~」


 引きつた表情になるナギの後ろで声をこさえながら笑いうクロウ。

ナギは顔を赤くなりながらクロウに怒りが湧き上がる。


「ワシはお主よりも10歳ぐらい上なのじゃぞ」


「本当にあまり変わらない感じだけど」


「そんな小さいくないわい!! なあ、クロウ?」


 ナギがもう一度、クロウの方へと目線を向けるとクロウが倒れていた。

音もなく倒れた。その違和感に気が付いたナギは倒れるクロウに近づき方に担ぎ込み、その場から離れる。


「(油断はしていなかった筈なのになんじゃあ!? 誰に? 魔帝王の敵!?)」


 街の中を少し走り、周りを見渡しながら警戒をする中、人けがない川の近くのベンチに座らせて寝かす。


「(怪我はない。眠っているだけじゃな) さて、シンノスケにでも任せるか」


 そこに普通に近づき話しかけて凛とした女性が立つ。


「私はサワダツ。そいつを寝かせた者の仲間だ」


「(変な気配を感じたが殺意はなかった。) で、そんな堂々と来て斬ってもいいのか?」


「それはヤメた方がいい。私に何かあった時は、君の仲間が無事がどうか」


「こやつの事は心配はしていない。で、お前の仲間はどこに?」


「今は話がしたい。それが私の役目」


「役目?」


「ええ」


 ナギは前かがみになりながら話を始める。



 ●●●



 クロウは観覧車の中にいた。

横にはクロウの肩を借りながら眠り込んでいリリネッド。

スヤスヤと眠るリリネッドを見て、クロウは頬をそっと触る。

ムヤムヤと口を動かすリリネッドを見て微笑む。


「さて、こんなもんを見せてどいうつもりだ? どこかの誰かさん?」


 どこかの誰かさんに話しかけるクロウだったが返事は帰ってこなかった。


「話ぐらい付き合えよ」


 クロウは隣に寝ているリリネッドが偽物だという事もわかっていた。だが……。


「(全く、偽物だってわかっていても)」


 少し照れるクロウだったがこの状況をどうにかしないといけないと思い動き出す。

観覧車の外を眺める。どこにでもある普通の遊園地の景色。だが人っ子一人いない。

観覧車はもう少しで一番高い場所に行く。


「(なんの魔法だ? 夢の中なのはわかるが……。なんの理由があって? どいう経緯? 相手の目的は? 駄目だ、寝ているリリネッドの頭のぬくもりが気になって考えがまとまらない!)」


 などと思っているとリリネッドが目を覚ましそのまま姿勢で顔を上げる。

真っ直ぐ見つめてくるその瞳に心を奪われそうになるクロウは意識をしっかりと持った。


「とりあえず、この場所から出るか」


 独り言のように呟き、立ち上がろうとした時、腕を思いっきり捕まれ、元の体勢に戻された。

多少は困惑したがすぐに思考を動かす。


「ねえー」


「ん?」


「なんでどっかいこうとしてるの?」


「いや、おまぇ」


「クロウは、二人でいるの嫌だ?」


「あ……。はああー!! (なあななんあなあ!! 何を一転(言ってん)だあ!! 動揺するな、落ち着け。このままでは女性に免疫が男の様に思われる。誰にだぁああ!! 落ち着くんだクロウよ。俺がこんなバカに動揺する訳がない。そうだ、コレハ夢の世界だ! それはそう。本物はこんな事を言わない。 気をしっかりするんだ。 あの勇者がおもわせなことを言う訳が……。いや、アイツなら天然で言うかも知れない。待て、ならそうか!! 危なかったぜぇ。 なるほどそれなら納得だ!)」


 クロウが自問自答している中、体をピッタリと着付けるリリネッドの温もりを腕から感じ全集中しながら呼吸を整える。


「(夢の中でこのリリネッドは俺が思う像だ。理想、想像、妄想、思想だ。だから俺がこれだけ乱されている……。乱されるってなんだ!! ふざけr)」


 クロウが心の中で喋っていると、リリネッドが両手を使ってクロウの顔を向かせる。


「やっと目が合った」


 見たことがないリリネッドの表情はまるで恋する女の子のキラキラした、甘酸っぱい空気を放つ。

クロウは心が掴まれそうになる。


「ねえ、そろそろてっぺんだよ。やる?」


 クロウはリリネッドの肩をそっと触れて離す。

 

「フッ……。マジで…こんな魔術?かあ。仕掛けた奴は許さない」


「どうしたの。しないの?」


「ああ、俺達はそんな中ではないし。それに……。俺はそんなことをしない、勇者・リリネッドが好きなんだよ」


 クロウは悪ガキの表情を見せた後、左手を胸に当てて魔力探知を行う。


「(よくできた魔術だが、相手が俺であったことがお前のマイナスポイントだ。 よし見つけた)」


 動き出すクロウの背中にギュッと抱きしめてくるリリネッド。

それは夢の世界で会っても温もりを感じ、と息も耳に当たる。それでもー。


「いい夢をみれてよかったよ」



 ●●●



 現実世界。


 ナギとサワダツが見つめているとナギの横で寝ているクロウの腕が上がり杖を取り出しかと思ったらどこかへと魔法を飛ばした。


「どうやら、お主たちの負けの様じゃな」


「そうね。でも、まだ私達の本筋はどうかわからない」


 そう言ってサワダツはゆっくりとその場を立ち去っていく。

数秒後、クロウはハッとして目を覚ます。横にいるナギを確認する。


「アホ面をぶら下げてどうしたんじゃ?」


「ああ? (二人ほどの魔力を遠くに感じる。その中の一人の魔力を大きく感じる)。 誰か此処にいたのか?」


「知らぬ、そんな事より、もう勇者の元へと戻ろうか」


「ああ、そうだな」


 クロウが先に歩き出した後を追うナギ。

気付かれないようにナギは後ろに腕を回し隠すの右手の指は4本とも黒紫になるほど指が折れていた。



 ●●●



 サワダツは街のとある廃墟に足を踏み入れる。

少し歩いた先に壁が崩れ部屋という原型がない部屋のドアを開けて中に入る。

そこにはまだ使えそうなテーブルに足を置きソファにだらしなく座る男を見る。

 

「おいおい、予定より少し早くないか、()()()


 ジマミはサワダツの仲間である。

そんなジマミは酔っぱらったような顔で寝ていた。


「なるほど、魔術の技を返したのか…。おい、起きろ!」


 サワダツが声を何度も掛けたがジマミは起きなかった。


「まあ~、()()()()に期待するしかないな」


 そう言ってサワダツは部屋の隅で倒れている椅子を立たせて、それに座る。


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