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勇者を利用する者たちの冒険  作者: とり飼ジン
魔帝界 篇

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第148章 集い始まる、望まぬ同窓会


 魔帝城の研究室にクキチとビダルは研究中だった。

ビリビリ、ガンガン、グイグイ、ギリギリと音を鳴らしていた。

手術台の上に寝ていた者が起き上がる。


「ならぁ~? ここはどこだ?」


「おお、起きたか」


 ビダルがポケットに手を突っ込みながら起き上がった者に話しかける。


「自分の事分かるか?」


「ああ? ああ~なんだっけ? ああ~」


「なんだ? バグってんのか? 仕方がねぇ~なあ」


「ビダル君、口が悪いよ」


 クキチがそっと現れた。


「彼の肉体を再構成させていたがコアはまだ入れてなかったな」


 クキチはコアをその者の体に埋め込んだ。

と途端にその者の記憶が濁流の様に蘇って叫びを上げた。

脳の記憶が落ち着いたところでその者はしゃべりだす。


「自分の事、わかるかい」


「ああ、わかるよ。クソ王にぶっ殺された記憶も蘇るほどに思い出した。俺りゃあ~、()()()()()だ!!」


「そう。君はリヴァナラ君だ。魔帝王にやられた」


「なんで生き返った?」


「私を誰だと思っているんだ」


「知らねぇ~よ。お前は長年この城にいるが何も知る事が出来なかった。誰なんだ、てめぇは!!」


「そんな事より、いま、どこかに勇者が来ているらしいよ」


「勇者がああ? ……。 俺が復活させたって事は他の奴もやったんだよ!!」


「フッ……。その答えを聞きたいのなら外へ出たらどうだい。いまこの世界に王はいないよ。好きに移動したらいい」


「てめぇ~に言われなくても」


 リヴァナラはその部屋を去る前にクキチに問う。


「俺の体になんか仕掛けてねぇ~よな?」


「しているよ、当たり前だけど」


「……。そうか」


 リヴァナラはその部屋を出て行く。


「大丈夫なんです、リヴァナラを復活させて」


「どうだろうね。どっちにしろ、どうせこの世界は滅びるからいいんじゃない?」


 魔帝界の空よりも高い、高い、高い場所に大きな隕石が降り注ごうとしていた。


「王はこの世界を救うために別の世界を壊す。別の世界を救うために勇者がこの世界を壊す。正義と悪は見る目線で変わる。相手の事を知ろうとしない限りは寄り添う事はできない。だからこそ完璧な人間が、生き物が必要なのだよ。わかるかい、ビダル君」


「わかりません」


「ハハハ」



 ●●●



 ジョセフが魔力で蘇えらせたゾンビと共に壊した壁を修復していた。


「ジョセフさんは、この世界の人ではありませんよね」


「儂は20年ほど前からこの世界で住んでおる」


「よくもまあ~、この世界で生き残れたなあ。アンタみたい普通の奴が」


「儂の娘がこの世界に奴を()()()()()()()からだな」


「なんだそれ?」


「君たちが本当に勇者パーティーなら幹部を倒すのかい?」


「そうなりますね」


 ジョセフは少し俯きながら考え込んだ後、顔を上げてリリネッドの方を見て言った。


「儂の孫は魔帝界の幹部が一人の()()()()()()()()()だ」


「え?」


「なんじゃと!!」


「「……。」」


「オルガは魔帝界で幹部を名のっているが、他奴と違って間違ったことは、人の道を外すようなことは育て方はしていないはずだ。だから……」


 その先を言う前にクロウが口を開く。


「だから、見逃せって? ふざけるな! 一度でも悪に染まったらそこから抜け出せることはできねぇ~んだよ。アイツはもう後戻りできない。アンタが知らないだけで悪さをしているかもしれない。そんな事、ソイツしか知らない事だからな。何が悪だかは自分しかわからないからな。俺達はアンタの孫だからって」


 クロウが喋る所にリリネッドが入る。


「クロウ!」


「なんだよ」


「それを決めるのは私だよ」


「ああ?」


 リリネッドとクロウは睨みあう。リリネッドはジト目でただ真っ直ぐクロウを見つめる。クロウは威嚇した視線をリリネッドにぶつけるもすぐに折れて大きなため息を吐いてそっぽを向いて腕を組み壁に背をもたれる。


「私は戦うのは好きではありません。オルガがどんな人なのかは知りません。でも少なくても何度か会ったことがある中で私的な印象は……。不器用な人なのかな?って思いました」


「不器用かぁー…そうだな。あの子は不器用だ。誰かが傷つくなら自分が代わりになろうとするところがある。娘のクテシビアも……。いや、あれは父の方かな」


「ジョセフさん、私達は魔帝王に会えればオルガに何もしません。どこにいるか知りませんか?」


 リリネッドの嘘のない言葉がジョセフは信じた。


「魔帝王はここ何日間は城にいたよ。でも先ほどから気配が感じないんだ」


「気配ですか?」


「王が居ればすぐにわかる。城から放たれるあの雰囲気がここまで届くぐらいだからな」


 ジョセフは外に出て遠くの方を見たあと、指を差す。


「あそこが魔帝王がいる城だ」


 墓地の小屋からかなり遠くにある霧で立ち込める奥に見える城が見えた。


「あそこにいるんだー」


「長い長い旅の最終章じゃなあ」


「油断できませんね」


「さっさと終わらせるぞって言う前に」


 勇者パーティーはジョセフの小屋に戻る。


「「「「飯の時間 (だ)(じゃあ)(です)!!」」」」


 明るく、楽しく、騒ぎながら食べる4人を見てジョセフは思い出す。

娘と過ごしてきた日々とそれからの出来事を。こんな危険な奥地でこんなにも平和的に食事をする冒険者を見てジョセフは小屋から出て一人涙を流ししゃがみ込む。


「よそ者が人の家で……」


 ジョセフは涙を拭き取り、小屋に戻って勇者パーティーの騒ぎを注意していく。



 ●●●



 魔帝界の城の中、()()()()()()にオルガが詰め寄る。


「どうおおぉぉおおなってんだぁああ!!」


「だからご説明した通りです」


 詰め寄るオルガの後ろに腕を組んで話を聞いていたルギアラが冷静に問う。


「もう一度、説明してやれ」


「ですから、魔帝王様と側近3名が地上の中央国へ向いました。帰ってくるまでは王様の弟様が魔帝界の支持者となっています。弟様のアラシュ様が魔帝界に巨大な結界を張りました」


「だああぁぁああーかああぁぁああーらああぁぁあぁ~!! なんで結界を張ってんだあ!!」


「私でもも知りません!」


 ヒショは詰め寄るオルガの狂気に怯え体を丸める。


「入る事は出来るが出て行く事が出来ないのはわかったが、なぜこんな事を」


「もういい、直接聞くまでだぁぁああ!!」


「その方が速そうだな」


 二人が王室へ向かおうとした時だった、大きな巨漢の男が上から降ってきて。

その衝撃を構える事無く二人は立つ。そして驚く。


「お前、なんで!!」


「貴様!?」


 二人の前に現れたのは勇者パーティーに最初にやられた幹部の一人・()()()()()()だった。


「いや~~、オルガ。君に会いたかったんだだよ~~~。君があの時、一緒に協力していれば…僕は勇者にヤラレずに済んだんだ~~!!」


 ロヤアマーンはオルガに向かって拳を振り降ろす。がオルガは軽々と足で止める。


「質問は俺がしている。なんでてめぇ~~が生き返ってんだああぁぁあああ!!!」


 止めた足で拳を振りのめし、勢いよく回し蹴りを繰り出していとも簡単にロヤアマーンを地面に叩き付けた。


「幹部を名乗るのにてめぇーーーは弱すぎなんだよ!! ロヤアマーン!」


 オルガが手の平からバチバチと音を鳴らしながら火花をロヤアマーンに見せつける。

ビビるロヤアマーンは半べそがかきながら暴れる。

 

「待っ、待て~~よ。じょ~~だんだよ~~。久しぶりに会ったから少しだけ、はしゃいだだけだよ~~」


「なれねぇ~~ことはしない事だなああー。またあの世でも観てぇーらしいなああああ!!」


 オルガが火花をロヤアマーンにぶつけ様と攻撃を繰り出す。ロヤアマーンはビビり散らかした。

火花はロヤアマーンの後ろの壁に当たり、体形を模り気絶した。


「ケっ!!」


「やりすぎだ、これでは話が聞けないではないか」


「では、私が説明しようか?」


 オルガとルギアラがその言葉で振り向く。そこにいたのは血に似た真っ赤な飲み物をワイングラスで飲みほす。八重歯の様な牙を見せつけ、冷たい目で二人を見る。

魔帝界の幹部の一人で勇者パーティーに倒された。()()()()()()()()がそこに立つ。


「オルガ、ルギアラ。久しぶりだな」



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