第146章 賢者を使用する者との冒険 ⑤
この物語に、勇者は登場しない――。
ナイフ使いは鳥のモンスターを呼び出して空中に飛び出す。
鳥の背に乗りながら胡坐で座り、首に掛けてある矢尻のペンダントに魔力を注ぐ。
矢尻は光だし斜め右を差す。
「南の新聞会社から貰った情報どうりなら、この先の村にゴウダという者が分かるかもしれない」
ナイフ使いは鳥のモンスターに優しい声を掛けながら撫でる。
「疲れただろうがもう少しだけ頑張ってくれ」
空を飛んでいると雲の中からドラゴンが雄たけびを上げながら襲って来た。
ナイフ使いは焦ることなく剣を抜いて一斬りでドラゴンを倒す。
「やはり、癖があるなこの剣。一気に魔力が持ってかれてしまう。調整をしているがコントロールを失うと全部持ってかれてしまう。これが『お宝』か…」
ナイフ使いは矢尻が差す方向を目指して飛んで行く。
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アリオト村。どこにでもある、ごく普通の村。
エリは賢者の特権を使い無料で宿に泊まりながら、村の人達のお祈りをしていった。
「賢者って大変ね」
「そうさせたのはあ~~私達い~~。エリちゃんの夢をお~~奪ったんだからあ~~」
「そうね」
1.2時間ぐらいが経った頃、エリが二人の元へと戻ってきた。
「面白い話を聞いたよ。10年以上前にこの村に考古学者を名乗る男の人がが来たことがあるって」
「まさかお父さん?」
「分からないけど、その考古学者が近くの洞窟で調べ物をしていた話を聞いたの。お祈りの中で立ち入り禁止になった洞窟に興味本位で入ったら魔物に襲われて神に祟られたって拝まれ」
「大丈夫なのその人?」
「問題ない、それなりの言葉を掛けてあげたら元気になったよ」
とまあ~、3姉妹は荷物などを宿に置いて洞窟に向かう事にした。
村の人たちには調査で行くので心配いらないとか言って向かった。
村から少し離れた林を通り、小さい滝の後ろに通路を歩いた先の防御魔法が弱まった通行止めの前に立つ。
サヨが魔法を掛けた魔力を感知する。
「どう~~?」
「う~~ん、古いし薄いから難しいかな? 簡単に壊せるし。というか無いようなもんだしこの感じだと」
「誰も通れないようにしていたけど、私達が来る前に、あの男の人がこっそり入る前に誰から壊して中に入ったって事だよね。誰だろう?」
「お父さんをお~~狙っている人かなあ~~?」
「どっちにしろ中に入って考えよう。行こう、サヨ姉、ハナ姉」
3人は中に入って行く。その後ろで3人をこっそり見ているナイフ使い。
「彼女は何者だ?…なぜここに?」
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洞窟の中は暗く、エリは杖を光らせて周りを照らす。
奥深くへと続く道を3人は歩き出す。
歩いても歩いても同じような道を歩いていく。と先にまだまだ暗い道が続く中で壁に不自然なドアが出来ていた。
不自然、つまりあり得ないような感じである。洞窟の中にそれまもう立派な引きドアがそこにはあった。
3人は目を合わせたあと、自然とハナが代表として先にドアに近づき恐れる事無くドアのノブに手を置いた。
ハナがドアノブを捻る前にエリが止める。
「待って、ハナ姉!」
「な、何い~~?」
「まずはノックしてもしもししないと」
「ああ、それはそうだよ。ハナ。マナーだよ、マナー」
「(この二人、たまに真面目なんだよね~~)。 ノックしてもしもし~」
ハナはドアをノックしても反応はなかった。
「入るからね」
「気を付けて、ハナ姉」
ハナはドアノブを捻り開ける。
中を見るとそこそこ広く部屋の真ん中には長テーブルが置かれていた。
壁には地図や資料などが張られていた。
奥に行くと料理道具や、シャワー室もあり快適空間になっていた。
資料の字をサヨが見て確信した。
「これお父さんの字だ」
「うん、メモ帳の殴り書きとは違って丁寧に書かれ入るけど、所々癖が出ている」
「ここで何を調べていたんだろう~~。お父さんはあ~~」
壁にある資料をパラパラと手で払ってみているとエリは壁に塡められてある金庫を見つける。
「お姉ちゃん、コレ!!」
「「うん?」」
3人は金庫の前に立つ。金庫はダイヤル式で出来てある奴が壁に嵌められ資料の紙で隠れていた。
「これ、どうやって開けるの?」
「こんな入れ物、見た事ない。なんでダイヤルがあるの?」
「えい!」
ハナは無理やり腕力で金庫のドアを開けた。
金庫の扉をその辺に捨てて、中身が見える状態になった。
「なに、この禍々しい石とケースに入った石と手帳?」
「それってえ~~!!」
「お父さんのメモ帳に書かれていた石の事かも。もう見つけていたんだ!」
エリは金庫の中に入っていた手帳を読む。
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ゴウダの手帳に書かれていたのは不思議で信じられない出来事だった。
それは17年前の事。ゴウダが『お宝』の場所を知ってダイムウ村に向かった時の話。
ゴウダがダイムウ村に近づいて気が付いたことはその村はモンスターの巣になっていた。
困り果てていた時にある男から話をして、未来に行く事になった。
ゴウダは12年後の未来に向かう事になった。
手帳には理由と経緯には書かれていなかったが、確実に未来に行ったのは真実である。
その場所で氷の中に閉じ込められていた一人の少女を救った。数日後にその少女と『お宝』のある場所に向かった。ゴウダは後悔していた。モンスターと戦ってくれたその少女を置いて、『お宝』だけを持ち立ち去ってしまった事を。
その少女の事の後悔の気持ちが長々と書かれていた。
そしてゴウダは元の時間に戻って『お宝』をクリアケースに仕舞った。
その後も奇妙な話など書かれていた。
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エリが続きを読むとした時、その部屋にナイフ使いが入って来た。
「だれ?」
「俺は探偵だ。探偵の レオダルガ というものだ」
「タンテイ?」
「まあ~いいだろうが…。そんな事より、お前達はゴウダとどういう関係だ」
ナイフ使いで探偵を名乗る・レオダルガは腰の剣に手を添えると同時にサヨが瞬時に動き出してレオダルガの首元にクナイの様な武器を着き当てる。
「早いな! だが争う気はない。ちょっとした脅しだよ。コレも脅しだ!」
レオダルガは人差し指を曲げると同時にエリ、ハナの背後に2体のモンスターを召喚した。
「二人とも!!」
「大丈夫だよ。サヨ姉、武器を下ろして」
サヨはエリのその言葉を逆らおうと考えたがすぐに正気に戻り武器を降ろす。
「俺はある人が事件の事を調べていたが消された。その件を引き継いでここまで調べて来た。ゴウダは、世界的犯罪者となっていた。裏の世界では有名な」
「お父さんが!?」
「お父さん? やはり君たちは」
その時4つの殺意を感じた4人はそっちの方に振り向く。
危機を感じたエリはその場にいる者達を洞窟の外へと出た。
「君たちがゴウダの娘だという事はわかった。だからこそ教えてやる。ゴウダを追うな!」
そう言ってレオダルガが洞窟の方へと歩き出す。
一人で戦おうとしているレオダルガを見て、エリは呟く。
「かっこ悪ゥ……。アナタ、それが正義だというなら私はその正義を否定する」
「何?」
「それは正義とは言わない。犠牲って言うだよ。まあ~それがかっこいいと思っているのなら…めちゃくちゃ、かっこ悪いから」
レオダルガの横に3姉妹は並び、敵を待ち構える。
「4つの気配があったから多分敵は4人」
「ちょうどお~~ここにい~~4人だねえ~~」
数秒後に洞窟から出て来たのは4人ではなく、二人だった。
「あれれ~、その殺意、もしかしてあの時の?」
レオダルガは足を一歩下がる。
洞窟から出て来たのはモンスターの被り物を着たモンフィルとその仲間のゾノノロだった。
ゾノノロは頭を掻きながらめんどくさそうに話す。
「すまないがこの中に入るんだったら後にしといてくれないかな? 後処理が終わったあとに」
「よお~、ナイフ使い。いまはゾノノロがウルサイから相手はしないけど、次会ったら容赦しないから」
洞窟の方から傷だらけの男がフラフラ足を引きずりながら出て来た。
「お前ら、こんなことして組織から狙われるぞ!」
「おいおい、まだ息があるのかい!? さすが所属【カシカ】のリーダー・カシカさんだ」
「これは警告だ!! みながお前達を!!」
カシカが言い終わる前にモンフィルが回し蹴りしてカシカの顔に攻撃して黙らせた。
「うるさい、尺がもったいない」
モンフィル、ゾノノロはゆっくりその場を歩きながら去っていく。
何ともいえない状況にエリ達はゾノノロの言った通りに動いた。
レオダルガが話を詳しく聞こうとエリ達の方へ振り向いた時にはもういなかった。
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エリ達はゴウダの洞窟に入り込んで資料を一瞬ですべて持ち去り宿に戻っていた。
「これだけの資料があればお父さんに関することが分かるかもしれない」
「でもあのお~~タンテイ?てえ~~人もお~~なにかしっているようだったよお~~」
「今はこっちが重要」
エリは資料の中で禍々しい石の事について書かれている物を見つける。
「どお~~したのお~~」
「姉ちゃん達、冒険者の街へ行こう」
「なぜ?」
「この石の解放に必要らしい」
エリは姉の二人に見えないように重要な資料を懐に隠した。
数日後に3姉妹はホワブラ国へ向かう。
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この物語に、勇者は登場しない――が、この先からは勇者と関係していく。
それを賢者はまだ知らない。
賢者だけではない、探偵も、ハンターも、ベスガパ二国の警備兵の元隊長も皆が勇者に関わっていく。
『お宝』とは、『ゴウダ』が何をしようとしていたのか。それはまたいずれ語られるだろう。
この物語は、賢者を使用する者との冒険である。
この物語は賢者・エリが自分を知る物語である




