第143章 賢者を使用する者との冒険 ②
この物語に、勇者は登場しない――。
東区の街に足を踏み入れる男の一人がこの街の治安を守る三番隊の兵士に止められていた。
「ですから、僕は北西にあるベスガパ二国の隊長のジュライですって!」
「知らん、帰れ!!」
「いや、本当に話を聞いてください。ベスガパ二国は、国際最高政府国の国ですよ。その国から最高峰の『お宝』を盗んだ者達を追って来たんです。それにちゃんと中央国の政府課にも確認してあるはずですよね。その手続きも取ってありますし。ほらあ」
ジュライは許可書を見せるも、兵士は信用していなかった。
疑いの目で見てくる兵士に慌てるジュライ。その横をエリが通りかかる。
「あれ? ジュライさん?」
「エリ!!」
●●●
話は半年前にさかのぼる。
いや、遡らないといけない。話は進まない。
北西のベスガパ二国は国際最高政府国であり政府機関を専門として目指すのならここに来ることをお勧めする。そして同時にその国はどこよりも大きな監獄がある。説明は以上ー。
3姉妹は国の門の前で話し合っていた。
「どうするの? お姉ちゃん達」
「どうするも、お父さんのメモに書かれているお宝がここにあるんだから入るしかないじゃん。それにエリなら賢者権利ではいれるでしょう?」
「ハァ~…。仕方がないなあ~。あまり賢者の名前は扱いたくないんだけど…」
3人は中に入ると頭のよさそうな人たちが普通に歩いていた。
白衣を着た者少数、眼鏡多数、ナンカシラの本を片手に持つ者数人。
「エリ、あんな風な感じにならなくって良かったね」
「サヨ姉、それ偏見。兎に角、どこにあるか調べなき…や……。あれ? ハナ姉は?」
「うん? あれ? いないね。どこ行ったんだろう?」
「ハナ姉の事だからまた勝手に動いたんだあ~」
エリが頭を抱えていると遠くの方からこちらに戻ってくるハナに視線がはいった。
「ハナ姉、どこに行ってたの?」
「見つけたよお~~。お・た・か・らあ~~」
「「ええ~!?」」
2人はハナの道案内で『お宝』の場所に向かった。
細道、人が通らない道、屋根の上、歩けない場所などを通りながら向かって行き高い建物の上にたどり着いた隣の窓からその『お宝』が見えるところに立つ。
「あそこのお~~、窓お~~みてえ~~」
「というか、あの一瞬でよくここまで移動したね、ハナ姉」
「それはそうとあの建物って」
「うん」
その建物は魔術で結界の柵が張られている円形型の場所。格々に警備兵が守っていた。
「賢者の権利でも難しいと思うよ」
「やっぱりい~~」
「私が行こうか?」
「あの防波堤をサヨ姉が一人だと心配」
「なあ~~らあ~~さあ~~、3人で入ればあ~~」
「それは難しい」
「待って!」
「ん?」
エリは真面目な子で賢い子で、ずる賢い子であった。
「お姉ちゃん達、これから私達はこんな危険な場所に足を踏み入れる事になる。それはお父さんがやってきたこと…なら私達もお父さんに見習う時」
ゴウダは世間的には考古学者で、本当は諜者である。
目的のためなら隠密で忍び込んで情報を盗む。それを見習ってエリ達もゴウダと同じように忍び込むことにした。あわよくば……。
●●●
監獄の建物の回りをうろうろしているとエリに声を掛ける、ベスガパ二国の警備兵の隊長のジュライ。
「君、ウロウロしてはいけないよ。ここら辺は危険だから」
「あ、大丈ぶう……そうですね。わざわざありがとうございました」
エリは頭を下げてそのまま去ろうとしたがジュライはある事に気が付き、エリを止める。
「え、な、なんですか?」
「君…。もしかして!!」
「ん?」
「賢者の方ですか?」
「え!?」
エリは首に掛けてある賢者になった者が貰える特別なペンダントを見てジュライは声を掛けた。
「はい、賢者です」
「まさか1.2年前に最年少として賢者になった人ではないかい?」
「う、うん。そうです。(なんだろう、この人面倒くさい)。もういいですか? 僕い急いでるので」
「ぼ、僕っ子!! いいねえ」
「(マジでうざい。) じゃあ~行くから」
「あ、オレ、ジュライ。君は?」
「賢者のエリです。それでは」
「ああ」
振り向くことのないエリが見えなくなるまで手を振るジュライ。
●●●
その夜の事。3人は黒いローブ着て顔がバレない様に目元にマスクを付けて、エリは自身と二人に魔術を掛けた。
「サヨ姉は口が元々、隠しているから、あまり変わらないね」
「これは好きでやってるんだけど」
「早く行かないとお~~」
「そうだね。ぼくの魔法で痕跡が見つかるまで約30分。もし優秀な人がいるのなら約10分。場所はわかっているからあそこまですんなり行ければ」
「襲って来てもハナやエリがいるから問題ない」
「私達い~~姉妹があ~~いれば、敵なしい~~」
3人は夜の高いビルから飛び降りながら、監獄の中に入って行く。
探知機にも引っかからない、エリの高密度の高い魔術すんなりと中に入る事が出来た。
また体に透明にし、音も出ないようにした。
カギがかかる場所はサヨのアサシンの力でカギを開けて進んでいく。
何事もなく、進んでいき『お宝』のある部屋にたどり着く。
棚の上にはいろんご当地者の置物が並ぶ中に一つだけ青く光る石にエリが誰よりも気が付きそれに触れる。
「これだよね。お父さんの『お宝』」
二人は顔を合わせたあとにエリの方を見て頷く。
「じゃ~、行こう!」
3人は出て行こうとした時、体が動かなくなった。
「これ!」
その部屋にジュライが入ってきて3人を魔法で動きを止める。
「君たちは何者だ? なぜこの部屋に入って来た!」
遅れて上司のエシヅが入って来た。
「早いよ、ジュライ君。君の眼を信じて走って来たけど本当に侵入者がいるとは」
「脱獄させる為か? 何にせよお前達を拘束する」
エリは動けない状態で手のひらから魔術を使って地面を壊す。
5人はそのまま落下しら。3人は動けるようになり、エリはサヨ、ハナを掴んで瞬間移動の魔法でその場を離れる。
ジュライとエシヅは下の階に倒れたと同時に瓦礫で身動きが取れなくなってしまった。
「エシヅさん!! 大丈夫ですか!」
エシヅが居るであろう方向から誰かと喋る声がした。
外の緊急アラームが鳴り始めて聞こえなかった。ジュライは瓦礫をどかし急いでエシヅの元へと駆け寄る。
ジュライの脳が理解できるまで数秒掛かった。目の前に尊敬する上司のエシヅは死んでいたからだ。
後頭部から血を流していた。少し経ったあと、体が燃え始めた。
ジュライが消そうと動くも遅れて入って来た警備兵に止められた。
エシヅの名前を叫び続けるジュライ。
そんな事も知らずに3姉妹は急いでその国を去っていった。
●●●
そして、現在。
エリはジュライと再会していた。
「いや~、エリちゃんも来ていたんだね」
「(この人、馴れ馴れしいんだよなあ~) ジュライさんは何しに来たんですか?」
「そうそう、この街に女盗賊が入ったって情報を手に入れてね」
「女盗賊!!」
「そう。3人の黒いローブを来た者の目撃があって。なんども接触をしてきたが捕まえる事が出来ず」
「なんで…。なんで、その女盗賊を捕まえようといているの? そこまで粘着質に?」
気の抜けた表情であったジュライは真面目な顔になって答える。
「ある事件で女盗賊に俺の尊敬する上司が亡くなった。彼らがヤッたかどうか証拠はないが。死因に納得がいく状況が出来ていた。だから彼らから話を聞きたいんだ」
「その人達を捕まえたとして話を信用できる? ちゃんと向き合える?」
エリのその回答にジュライは困った。
冷静に向き合えるのか、信用できるのか、自身が無かった。
「まあ、僕には知った事ではにけど」
エリはジュライから離れようとした時、ジュライは腕を掴む。
「ごめん。少し気になったんだけど、エリちゃんは何しにここに来たの?」
「うッ!!」
鋭い目で見てくるジュライをエリは考えて答える。
「僕は賢者ですよ、人助けは当たり前です。まだやる事がるので、でわ!!」
そう言ってエリはそそくさとその場を去っていく。
この物語の重要なお宝は1つではない――。




