第141章 Realms of Revelation
勇者パーティーが魔帝界に入って数分後の事。
エンセの元にジェムン、コドフィル率いる『清誠組』、ササブリエル率いる『守護組』そして透けている姿のサカルタツムが城内の瓦礫の場所に立つ。
「今回はかなりの被害がでました。それもこれも、現状に甘え周りの者達から目を背けていた我々のバチがここに来ました。私は今からでも国の方針を変えたいです。いままで私は王としての責務を他人に任せてきました。その結果、いろんな争いが起きてしまい、悪巧み、策略、陰謀、謀略が勃発してしまった。ですが、今更ですが……いいや今まさに、今日からでも私はこの国を変えます。その為に!!改めて言います。私に力をお貸しください。この国の新時代を作るために! 改革をするために!!」
エンセは皆に思いを伝えた。
皆が険しい表情を見せる。先に口を開いたのはコドフィル。
「女王様、いや…王様! 我々は下町に生まれ、貧民として暮らしてきました。マナーもルールも法律も礼儀も知らねぇ~奴らばかりだ! 汚いことも沢山してきた。そんな俺達に手を差し伸べてくれるのはありがたいし俺達は助かる。だがアンタの立場からしたら危険なんじゃないのか?」
「いいえ、それも新時代のためそう言った人たちの声を聞かなければなりません」
そこにササブリエルも話す。
「私は反対ですね。これは個人的にですが。隠れてメッセージは送っていましたが、彼らの生まれは不明な者ばかり、血筋も経緯も謎。そんな者達を天空国、いや、天空界の政治を任せるのですか? 血迷っている……。ですがエリートもキャリアもある私達も手を汚してきた。失った者も大きい」
ササブリエルは友を思い出す。目撃者からイマノジェイが消されたことを聞いていた。
「捨て駒にはなりたくありません。あなた達もそうでしょう。コドフィルさん、サゴウルの兼が有ろうが無かろうが私は貴方たちが嫌いです。嫌いだからこそ、ここは改め、公式的に手を組みましょう。悪だくみなしで」
コドフィルはササブリエルが差し出した手を驚き、そしてその手を笑顔で握り返す。
作り物でもない見せかけでもない本当に気持ちで握手をした二人を見てサカルタツムとジェムンは喜んでいた。
「太陽と月がやっと顔を合わせたようだぜい」
「ええ、どちらも輝いていますね」
国の側近のシフがササブリエルに近づく。
「月っての太陽がおって輝く。そやけどいつまでも輝くわけにはいかへんよな。たまには顔を隠したい時もある。誰にも見せへん顔を、友とおる時だけにしか見せられへん顔ってのもあるさかい」
シフが親指で後ろの方を差した。
ササブリエルがそこを見ると、国の側近・ミエルに肩を組むながら治療終えのイマノジェイがそこに立っていた。
「な…。」
「ミエルの力で助けられた。ギリギリやったけどなぁ」
ササブリエルがイマノジェイの方に走り出す。子供の様に久しぶりに会った友人に会うように走り出し抱きしめる。
「おい、ハズイぞ」
「うるさい馬鹿」
「お前を置いていけるわけがないだろうが」
二人は再開を喜ぶ中、コドフィルはヒジェルガを心配する。
ヒジェルガは裏切者のフジドエムと共に魔帝界に行ってしまっていた。
そこに骨のオオカミに乗ってオキソロルが話し出す。
「マジでヒジェルガさん、大丈夫ですかね」
「わからんが、勇者たちと任せよう。俺達は魔帝界へ行くよう方法を知らない。というかなんだそれは?」
「マジでなんか言う事を聞く様になったんだよねぇ~。こうやって頭を撫でたりするとマジでかわいくって」
「不気味ィだよ。大丈夫なのかあ~?」
そこにサカルタツムが近づき骨のオオカミを見る。
「オキソロルさん、後でその生き物を調べさせてもらってもいいですか?」
「いいけど、その姿マジでどうなってるの? ゴースト?」
「似たような物だぜ。本体は国の真下に閉じ込めている。あとで場所を伝える。イトウダの部下たちそこに閉じ込めているから管理は君たちに任せるぜい」
「これからが大変だな。エンセ王、最初に何をすればいい? 皆が指示を待っている」
皆が指示を待ち、エンセは胸に手を置き、ひと呼吸してから皆に聴こえるように話し始めた。
天空界の新たな時代が今、始まった。
●●●
地下で投獄されているイトウダは、古代の力も天空界の力もモンスターの力も失って廃人になっていた。
今までの事、過去の事を考えていた。その時に勇者・リリネッドに言われた『弱い』がかなり心に響いていた。
壁に背を付けながらぼーっとしていた時、いつの間にかイトウダが入ってる牢に男が立っていた。
「実験は成功? まあ悪くはない結果になったかな。いい仕事をしてくれた。君の体には才能はないからもう用済みだ。よく働いてくれたよ」
男は銃砲を取り出してイトウダの額に向かって発砲した。
空間を作り出して男は魔帝界へと帰る。
「さて、次の実験結果を見るか」
男の名はクキチ。
実験所の様な所に帰ってきた。怪しげなものが沢山、置かれたり捨てられたり、放置されていたりしていた。
暗証番号を押してとある扉の中に入って行く。
そこは培養ポッドの様な所に囲まれた場所、3つは空になっていて、別の3つには人が入っていた。
「オルガもルギアラも帰って来たようだ」
クキチは部屋のパソコンを起動してコレまでの情報をまとめる。
「これ世界にパソコンという情報端末は存在しない。なら私が作ればいい。そうだろう? ビダル」
「そうでございます。 (コイツ、面倒くさい)」
メイド服を着た女・ビダルが仏頂面で答える。
クキチはそんな事を気を止めずにカタカタとキーボードを打ち込んでいく。
ビダルは耳のピアスをいじったあと、耳の近くの髪を指でをスッと弾く。
その部屋にある棚の下に隠れた一枚の資料には『魔帝界 幹部再生③』と書かれていた。
●●●
地上の東北のとある場所。
天空界から落ちて来た小さな島が草原の上に落ちていた。
二人の旅人がその島に上がり捜索していた。
「天空界が見えるようになって、下がって来た時は肝が冷えたな。でも落下が止まったようでよかった」
「でもなんで、これだけ他と違ってすぐに落ちて来たんだ?」
「わからんねぇ。誰もいなくってよかった。もし村や街に落ちていたと思うと……」
二人が探索しているととある石板を見つける。
「これ何て書いてあるんだ?」
「うん? 何々? 『ここ見つけた者につぐ、この国は犠牲によって生きている。誰かを蹴落とし、誰かをだまし、そして国が成り立っている。美しくも汚い国。もしこの国が生まれ変わる日が来るとしたらこの中に封印した者を消滅させてください。今でも変わっていなかったら封印を解いてください。これを見たあなたに託します。この誰も知らない私が作り出した大地に置いておきます。 リリー・アミリィ
』って書いてある」
「封印? 託す? なんだそれ?」
二人は見渡すもそれっぽい物は見つからなかった。
「何の事だろう?」
二人は気付かなかった。背後で起き上がる人影を。
人影は二人を黙認しながらその場を去っていく。
「まあ、兎に角、このことを中央国に伝えよう」
「こんなド田舎まで来てくれるかあ?」
「さぁ~な」
二人は一旦、その場を去っていく。
そんな二人を遠くから見ていたパーティーがいた。
「すでに誰かいたね」
「どうする? トダイカ国はもう見えてるけど」
「調べた方がいい気がする」
「ああ、僕もそう思うよ、ヒロコ」
記者のヒロコ、討伐者・ショーヒダ、武器者・ライ、魔法使い・フィリナはその大地に足を踏み入れる。




