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7/8

幕間

 これは、まだ語られていない夜の話。


 京都の夜は、古い家屋の隙間に、何百年分もの溜息が詰まっている。格子戸の奥、あるいは石畳の下。行き場をなくし、語られなかった言葉は、鴨川の底に沈む小石のように幾重にも重なり、いつか誰かの足を攫うのを静かに待っている。


 夜というものは、不思議だ。

 終わったと思った話が、まだ続いていることがある。語られないまま残った言葉は、どこへ行くのか。口に出されず、飲み込まれた言葉は。

誰にも届かないはずの声が、それでも、どこかに残ってしまうことがある。


 たとえば、病室。

 人の気配が消えたあとも、そこにいた誰かの思いだけが、椅子の形のまま残っていることがある。

夜の部屋では、時間の進み方が少しだけ遅い。時計の針は動いているのに、何かが取り残される。選ばれなかった方の未来だけが、静かに、そこに残っている。


 だから、

 物語が終わったあとも、夜はまだ、これほどまでに長い。


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