閑話 【レヴィ君両親の帝都見物】side マコーレット
「じゃあレヴィ、お父様、お母様への私達からの“気持ち”はこの2つでいいかしらね。」
「おお、俺はたいした役にたたなくて、悪いなあ。」
「大丈夫。任しておいて。」
『そろそろ家に戻ろうかしら。』
というレヴィオンのお母様を、来週お父様が迎えに来てくださる。
お父様も、孫の顔を見るのは久しぶり。
出産後直ぐに2人の息子に“《名前》を持って”駆けつけて下さって以来になるのね。
パパが、先にレヴィオンの御両親に丁寧なお礼状と一緒に、お礼を届けてくれていた。
お母様を、半年以上もこちらに拘束をさせてしまった。
お父様にも、ずいぶんご不自由をかけてしまった。
ミラお母様が、パパの絡みで大忙しの時期が、
ちょうど私の出産と重なってしまった。
レヴィオンのお母様がいて下さって、本当に心強かった。
フレイアの時と違って、同時に2人は思った以上に大変だった。
毎日が‘育児戦争’。
身内の‘司令官’にお母様が加わって下さって、
どうにか最初の危機を乗りきった感じ。
まだまだ今も大変ではあるけれど。
ミラお母様の探してくれた‘専門保育士’さんとの連携がとれてきて、
やっと、一息つけるようになったところ。
パパからのレヴィオンの御両親への‘お礼’が『へえ!』の品だった。
向こう5年間の《帝都とレヴィの実家に一番近い駅を結んだ“高速列車”の乗り放題定期券》をお父様お母様の2人分。
これで、頻繁に遊びがてら孫の顔を見に来ていただける。
パパが、レヴィの御両親お二人が、かえってこの定期券を『ゾッと』なさるかも?
私に‘『子守り’にこき使われると思って』と、心配していた。
レヴィオンの御両親は、喜んで受け取って下さった。
パパが、レヴィ君の御両親は、本当に面倒臭くない方達でありがたいとホッとしていた。
レヴィオンと私からの御両親へのお礼を夫婦2人で考えてみたの。
1つは私の発案。
病院で、ちょっと詳しく健康診断をして頂こうと思ってる。
パパとモニター越しに話をした時に、
『げーー!俺だったら絶対に嫌がらせかと思うぜ。』
そりゃ、パパはそうでしょうよ。
最近は、病院の常連客をやってて飽き飽きしているんだものね。
でも、レヴィオンの御両親にも、元気で長生きをして頂きたいから、
パパのご意見は無視よ。
レヴィの発案は、定番の《帝都見物》。
お父様、お母様のご希望を聴いてそれに沿うようにね。
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お父様、お母様の健康診断の受診は私の勤め先の病院で。
お父様は、小さな尿管結石をその場でレーザーで粉砕。
腸の良性ポリープを内視鏡検査と同時にとっちゃった。
後は、血圧が高め。
お母様は、骨量が下がっていらっしゃるので、
治療するほどではなくても、これから要注意ね。
『双子坊や達に負けないように、牛乳をたくさん飲まなくちゃね!』
と、お母様。
それでいいと思います。
女性は、年齢に伴ってどうしてもね。
骨折をしやすくなるから、注意しているだけでだいぶ違うの。
お父様、お母様を検査にお連れした時に、
私が産休前には、会ったことのない‘検査技師’に、
『軍の‘飛行機’1台で、病院いくつもの設備が新しくなりますのに。
民間の病院までは、なかなか予算を回して頂けませんよねぇ。
お嬢様から、是非お父様に仰って頂けませんかねえ。』
何だか、やけに嫌みっぽく言われたのよ。
私が普段働いている病院を、御両親にも見ていただきたくて‘この病院’で、検診を受けて頂いたけれども。
ミラお母様の仰る通りに、軍の病院の方が良かったのかしら。
パパの帝国予算案が、軍事費に片寄っていると批判する声が私の耳にまで届く事があるけれど。
パパのやることに、考えがないはずはないのよ。
それは絶対にね。
だいたい、“帝国予算配分”が臣民に聞こえて来る事が、前時代と比べたら奇跡みたいなものでしょう。
みんなが、どんどん楽に生きられるようになって来たら、
その分‘文句’を言う人も増えてきているのかしら?
パパも、楽じゃないわね。
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[帝国見物]のご希望をお父様、お母様にお聞きしてみたら。
お父様は、『軍の《高速艇》というものを一目見てみたい!』
と、仰って。
その他は、《帝国図書館》、《高速エレベーター》、《帝都タワー》の見物をご希望。
お母様のご希望は、あらゆる物が手に入ると評判の《ショッピングセンター》の見物と、《お芝居》が見てみたいとのこと。
今一番人気の‘お芝居’のチケットを手に入れられて、
御一緒できる事に私もワクワク。
お母様が、モジモジと言いにくそうになさって、
何かしら?と思ったら、
『都会の美容サロンに行って‘髪’を整えてもらってみたいの。いっぺん話の種に。』
ハイハイ、それはお洒落マコーレットにお任せあれですよ。
髪とエステティックの丸々パック、腕の良いサロンを速攻に予約を入れたわ。
急に‘子守’から連日のお出かけで、
お疲れにならないかと心配したのだけれど。
お父様、お母様は『昔作った機動力』を発揮して下さって。
嘘ではなくて心から楽しんで下さったのが、レヴィと2人で嬉しかった。
一番大変だったのは、お父様お母様が帰られる時の‘お別れ’の時の大騒ぎ。
お父様、お母様は‘気さく’で実直なお人柄。
誰に対しても、その態度が変わる様子を見たことがないのも。
こっちでもみんなが、お父様お母様を大好きになっている。
故郷で待っている人達に、こっちで独占しちゃったら怒られちゃうわね。
マケル邸の働いている人達、ターランの家でもみんなから慕われて、
別れを惜しまれて大変だった。
スールさんの養子‘3兄弟’は、
すっかり『お母さん、お母さん』と、
後追いのひよ子みたいに懐いちゃって。
『うちの村に遊びにいらっしゃい。
お祭りの日程が決まったら、知らせるからね。
是非、いらっしゃい。』
『おばあさま、フレイは?
フレイもお祭り行きたい!』
『もちろん、フレイアちゃんも待っているわよ。
ミラさんと相談して、きっとおいでね。』
あはは、お母様‘相談’するのが、母親の私ではなくて、
ミラお母様ってところが、すっかり家族事情をわかって下さっちゃってて。
‘きっと’本当に行くわよ。この子達。
ミラお母様が、レヴィお母様との別れをとても惜しんでびっくりしたわね。
いつもは冷静なミラお母様が、とても残念な様子をお顔に表して。
『私は、同性の‘心を許せる’お友達を持つのは人生で初めての事でしたのよ。』
そういえば、夜にミラお母様とレヴィお母様で、
女子飲み会をして楽しそうだったり、深刻そうだったりしていたわね。
私は‘授乳期’でお酒は飲めないから、参加出来なかったのだけれど。
かえって、2人の“お母様飲み会”、
あれはあれで良かったのかしら。
ミラお母様、娘の私には話せない事もあったのかもね。
元‘平民レジスタンス’の女傑、筋金入りのレヴィのお母様が、
女の友情を裏切って“口の軽い”事をなさるはずがないから、
ミラお母様も安心だったのかもしれないわね。
『また、ちょくちょくお顔を見せて下さいね。』
そう言って見送るミラお母様には、本当の本気の想いが溢れていたの。
私は、今の自分の恵まれた環境に、怖いほど感謝しているのよ。
これでも。
パパに、『やりたい放題のバカ娘!』言われているけれども。
敵だらけの日常の時よりも、かえって今はふっと怖くなるのよ。
失いたくはない、守りたいものが増えるのって怖い事が増えるのね。
どうぞ、皆がこのまま‘幸せ’でありますようにって心から願っているの。




