【パパはアロマと対決している?】side アロマ アロマは陛下とも対決?
『パパとちゃんと話をしないと。』と。
クロおじさんまで巻き込んで、
パパを騙し討ちで呼び出してもらった。
僕がパパ抜きで既知を得た、
重鎮のおじいさま達に味方をして頂いて、
本来なら僕みたいな《仕官学校の生徒》では入る事が出来ないこちらのカフェに連れて来て頂いた。
忙しいパパの時間を、“上級将監カフェ”で2時間半も拘束しちゃっている。
その上、今日のパパは僕が来た時から、すでに顔色が良くない。
僕は今、仕官学校所属待遇の身分で、
あっちこっちでお手伝いをさせてもらっている。
ユニはとっくに卒業している。
パパが入院していた間に。
帝国軍には、先に広げておいた《人工四肢関係の人脈》で、潜入成功した。
なんだか、すごい‘スパイ大作戦’みたいだけれど、違うんだ。
僕が義足やら義手のすごいのを作って、
帝国の重鎮との人脈をパパに内緒で広げておいたのさ。
編入学の特別待遇で仕官学校にそっと入っちゃってる。
うん、人脈って凄い。
仕官学校の方って、わりとパパの息がかかってないから、
見つければ穴はあるのさ。
僕の開発研究してきた、《人工四肢》は、今までの“義足·義手”の概念をひっくり返すような画期的な物なんだ。
《義手·義足》ではなくて《人工の体の一部》みたいな感覚。
ちょっと、自信作。
自分の左手で散々実験した。
その後は、まずはミラお母様にも試してもらった。
お母様に僕は
「僕って、ずいぶんセコくて、計算高いよね?」
と、告白したら。
「たいした策士でもありませんことよ。
その程度の事は、《段取り》と申します。」
心強いお言葉を頂いて。
まずは、民間の形で、『人工四肢作成会社』を立ち上げた。
もちろん、一般人に広げる段階ではない。
ターゲットは、帝国の重鎮達。
主に軍服組で戦傷で欠損四肢を負っても、
気高くかっこよく生きて来たおじいさま達だ。
お金をパパ関係から出すと、すぐにばれるから、
まず何かでお金を稼ごうと思っていたら。
ミラお母様から、援助の申し出を頂いた。
これによって、僕の計画が物凄い時間短縮になった。
その上ミラお母様が、
大事なポイントで凄いアドバイザーになってくれて、
心強いったらなかったんだ。
お母様に、ちょっと不思議で尋ねてみた。
「どうして、パパに内緒で僕に力を貸して下さるんですか?」
そうしたら、お母様が。
「帝国の重鎮のターラン司令の足を引っ張るような事はいたしませんわ。
でも、
あの方が父として判断を間違えそうな時に、
軌道を修正いたしますのは私の役割と心得ます。
それに、アロマちゃん同様に私も少し企んでおりますの。ホホ」
お母様の‘企み’ちょっと怖いかも。なんだろうな?
「私が老後に文無しにでもなりました時に、
義理の息子に養って頂く保険をかけておこうかと思いましたのよ。オホホホ」
お母様、帝国宰相閣下のひとり娘、
絶対に路頭に迷ったりなさらないでしょう。
その後は、お母様のアドバイスが物凄く役にたった。
お母様って凄い人だ。
ある意味、パパよりも凄いかもね。
お母様のアドバイスの一番大事な点は、
僕がターゲットにしている‘欠損四肢の重鎮たち’に、
『ちゃんと詳しく事情を説明する』
と言うことで。
ひとりひとりに説明をするのは、すごく大変だった。
お母様の仰る意味の真意がわかって来たのは、
その重鎮達が徐々に僕の味方になってくれたのを実感してからだった。
お母様の言っていた
『ひとかどの人物』に
上っ面の説明ではいけないと言うのが良くわかった。
あまりにパパの内部事情を話をするのはどうかなと、
その度にお母様に相談をしてみると、
的確なアドバイスが即時に頂けた。
お母様って、ものすごーく頭のいい人だ。
僕は、その‘人物達に’義手·義足の構造については、
勿論、詳しく説明をした。
だって、自分たちの体の一部分になるわけだから、
皆さん甘い顔では聞いてはくれない。
それに加えて、
僕《アロマ·ターラン》が
なぜこの事業を“父に内緒”で立ち上げたかったのかを言葉を尽くして説明した。
以前パパに誰かが
『司令の人生で、一番お辛いと思われた事は何でありますか?』って訊かれたらしい。
何てつまんない質問なんだよ。
パパが何て答えたのかは、知らないけれど
どうせ茶化してやったんだろうな。
でも、家族はみんなその答えを知っている。
パパは、自分の四肢がもげちゃうような事になっても、
きっと泣き言は言わない。
パパが、一番辛かったのは、“僕の左手”の事。
僕の左手がパパをずっと苦しめている。
僕は、左手がなくなった事よりもパパを苦しめている事が苦しい。
それに、もともと左手は、僕が赤ちゃんの時の事だから
《気がついたらなかった?》から、
パパが思うよりも不自由なんてないんだよ。
学校にあがった頃に、友達に。
『アロマの左手、カッコいいな。
テレビのヒーローみたいじゃん!』
と、言われて。
パパに笑ってもらおうと話をしたら。
パパが、笑うどころか、
泣きそうな見たことのない顔をしたので、
僕の方が『失敗したー』と、泣きたくなった。
小学校で球技の全国大会の一歩手前まで行った時に、
僕の義手が問題になって。
『水泳の選手がヒレを付けて泳ぐのと同じではないか?』って。
サイボーグじゃないから、普通の‘手’以上に高めた能力を付随させている義手じゃないんだけれど。
結局僕がチームを外れた。
その時のパパの顔も忘れられない。
そんなこんなを混ぜたり混ぜなかったり。
相手の性格に合わせて《ひとかどの人物》相手にプレゼンして回った。
最後の締めは、
『そういう父の役に立つ人間に‘この帝国’でなりたいのだと。』
『父は、根っこが‘清廉潔白’な性質で、
身内を自分の目の届く先に置くのを‘潔し’とは思わない人間である事。』
『自分は決して父の側で‘楽’な人生を送ろうとは思っていない。
生意気を承知で言わせて頂ければ、
ほんの少しでも父の重荷を引き受けられる人間に成長したいと望んでいる。』
と。
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「ターラン司令閣下、宜しかったら‘個室’を用意いたします。」
給仕する人に、声をかけてもらったパパが。
「いえ、その必要はありません。」
やっぱりパパ、僕と話をしてくれないぐらいに怒っているのかな。
この間会った時のパパの声がすごく低い声で。
結局、パパはあの時は何も言ってはくれなかった。
パパが本当に怒ると、‘ものを言わなくなる’のを知っているから。
パパが言葉をたくさん並べて叱っているうちは、
本当に怒ってはいないんだ。
黙っちゃった時が怖いんだ。
「この部屋に、敵がいるわけでもあるまいし。
息子と話をするのに‘密談’でもないでしょうから。
こちらで結構です。」
僕とパパの側で、耳を傾けている人がたくさんいるけれど。
僕は、それから2時間必死でこれまでの事をパパに話をし続けた。
パパは、その間無表情で、口を挟まずに黙って聞いていた。
途中1度だけ、パパの表情が動いた。
前にパパがマコ姉に言っていた
『人間をやっているのが嫌になるような《生命科学》の結果』
を確かめようと、
僕があっちこっちと『交渉?』(ちょっと脅しちゃったかも)して、
パパの足跡を追って見て回って、
ちゃんとパパの言っていた意味も理解している。
その上で、“欠損四肢の開発技術“にどうしても必要になる『生命科学』を
大学·ユニで専攻したと話をした。
その時だけ、パパが前のめりになって、顔をしかめた。
「ああ?」
と、パパが言った。
僕が全部を話終わったときに。
パパが、
「じゃ今度は俺の番な。」
飲み物をパパが一気に飲んだ。
ドキドキドキ、僕は心臓ばくばく。
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「アロマ、どっちから聞きたい?
『ターラン総括司令』と『お前の父親のサリュー·ターラン』
の話。選ばせてやる。」
怖そうなのは、司令閣下かなぁ?
怖いやつから聞こうかな。
「ターラン司令閣下の方からでお願いします。」
「俺は、お前の左手をとられた時に、失態をおかした。
それは、お前にたいしてではない。
《陛下》に対しての失態だ。」
僕、ここから口は挟んだら駄目だね。
黙ってお伺いします。司令閣下。
「俺は、その時‘顔色を変えた’んだ。」
「アロマ。今のお前には関係も無いだろうけれど。おそらく今後も。
皇帝陛下の御前に立つ時は、臣下、臣民の者はもちろん、外国からの謁見の者も《武器の帯刀》は認められない。
銃も。剣も。爆発物を持ってくる奴もいないだろうが。
それは、わかるな?」
「俺は、もともと《首切り職人》の家の長男の血を継ぐ息子だ。
若い時から、陛下のお側に立つときに剣と銃の帯刀を許されていた。
そして、それを実際に使ってきた。
それが、どういう事か分からないほど子供ではないだろう。」
「刺客と陛下の距離が近い時に、
万が一にも陛下を害する事があってはならないから、
銃は使わない。
俺は、寸分違たがわずに相手の腕でも首でも落とせなければならない。
実際に、腕くらいは、ポンポン落としたな。
そこまでは、分かるか?」
うん。頷いた。
「その俺が、たかだか子供の‘手のひとつで’わたわたして見せたわけだ。
アロマ、お前が俺の《弱点》だと露見したわけだ。」
「弱味のある人間は、脅される隙ができる。
陛下のお側に、弱味を誰かに‘脅された’人間が、武器を持って立つ。
そんな事が、あってはならない。」
「陛下は、俺を‘一度’は許して下さった。
『次はない。』と仰って。」
「俺だって、そこまで温くはない。
そこにいる、クローレス上級大将もよく御存じのはずだ。
俺は、本来自分の横で仲間の死体が転がろうと、
顔色なんか変えたことはなかったんだよ。
2度と同じ間違いはしない。」
「今度僕に何かあったら、見捨てて。
もちろん、そんな事にならないように僕が気を付ける。
今までだって、そうして来たよね。
僕もマコも。
ちゃんと、自分で火の粉を払って来たよね。」
「絶対にもうパパの負担になんかならないし。
パパの敵に弱味なんか握らせないから。」
「アロマ、お前一応科学者のはしくれだろう?
世の中に絶対なんか、ないんだよ。
お前自身が、敵に回ることだっていくらでもあるんだよ。
大学の一般教養で、歴史の本でも読んでないか?
親子が敵味方なんて、ざらにあるだろう?
この帝国でも。
そんなに昔話でもなく。」
「お前に、俺の回りをうろうろされると
俺はいつでもお前の首を
《ちゃんと落とせる覚悟》を持たなければならない。」
「できれば、これ以上‘覚悟’を増やして生きていくのは、
勘弁して貰いたい。」
*******
「アロマ、飯食ったか?」
パパが、カフェの人を呼んで、注文をしてくれた。
ここからは、‘パパ’って事でいいのかな?
「アロ、パパが自分では見られなかった風景をお前を通して見たいと、
親のエゴを剥き出しで思ったりしたのもホント。
ユニの周辺に、
勝手に《宇宙の警察》のつもりでいる人達がいるだろう。
わんさか。」
「いるいる。
僕、ちょっとお友達になって、
情報貰ったり交渉したりしちゃった。」
「‘交渉’?
相手の弱みを握って駆け引きを持ちかけた取り引きって
‘交渉’って言わない気がするんだけど、パパは。
あ~あ。」
「で、パパ。それで?」
「あの‘勝手に警察’の人達、
相当勝手にユニにも食い込んで来てたんだよ。
あいつらを、手玉にとって、ばらばらに解体してやったら
随分宇宙が風通しが良くなるんじゃないかって、
思ったりもしていたわけさ。俺」
「パパ、あっちの正義の味方《宇宙連邦》ぶっ壊すつもりだったの?
うっそー!」
「どこが正義の味方だよ。
あそこは、中から腐ってもうぐずぐずだよ。
皮だけ見てると綺麗に見えてるから、
まだ誤魔化しが効いているだけで。
アロマなら、‘お利口さん’だから、
きっとそのうちに矛盾に気がついて何かやったら面白いなあ。
とか?思ったりも。」
クロおじさんの声が聞こえた。
「せっかく自分のところの畑で取れた優秀な人材を、
何でよそ様にくれてやらにゃならんのよ。
もったいねー。
独り言だ。ひとりごと!」
「子供が親の顔を全て知らないように、
親も案外子供の優秀さを理解してはいないことがあるのかも知れぬなあ。
本当にもったいない事を。
ごほんごほん。ひとりごと。ひとりごと。」
‘ひとかどの’おじいさまが、加勢してくれたみたい。
「はーー。アロ、少し時間くれるか。
俺は、まだ何とも言えない。」
パパごめんなさい。
すごく疲れた顔してるね。
「アロ、
とりあえず、
俺が軍服着てる時に“パパ”はやめておけよ。」
**************[アロマは陛下と対決してる?]
本当に“そのような時”が来てびっくりだよ。
僕が、皇帝陛下にお召しを受けたみたい?かなぁ。
人気のないところで、急に『灰色』の軍服の人にばらばら囲まれて
「アロマ·ターランだな?
皇帝陛下が君にお会いになりたいそうです。
素直にお召しに従いたまえ。」
「あの、失礼ですが『そのお召し』が本当である証拠を示して頂けますか?
僕が誘拐されたりしたら、
父に迷惑がかかりますから。」
『灰色』軍服のおじさん達が、ゴニョゴニョと相談をしはじめて。
「困ったな。陛下に直答をいただくわけにもいかないし。」
本当に困っていそう。ぷぷ
だって、誘拐するつもりだったら、とっくにどうにかされてるよね僕。
しょうがないから、
クイズでも出してホントかどうかを確かめてみる事にした。
「では、これが正解でしたらご一緒いたします。
あなた達が、‘本物’でしたらお分かりになると思いますので。」
???
「うちのパパは、熟睡中にタオルを握って眠る癖がありますが、
今一番気に入っている‘タオル’の色と素材をお答え下さい。」
「パパって、ターラン司令の事だな?」
「知っているか?」
「いやいや?」
ざわざわざわざわ。
ひとりの『灰色』さんの手元の端末から‘声’が響いた。
低い声。怒ってるのかな?
『そのような‘癖’などない。』
「はい、正解で~す。」
『灰色』おじさんが、ぷんぷんしている。
「なんなんだ、この小僧は!」
わあ、久しぶりの‘誉め言葉’をいただきました。
******
ミラお母様から言われていた。
『万が一にも、あなたが皇帝陛下からお召しを受けた時のために、
お伝えしておきましょう。
“そのような時”には、このように申し上げると宜しいと思います。
覚えておいて下さいませ。
ですが決して、あなたのお父様の前では言ってはなりませんよ。』
ミラお母様の秘伝の‘秘策’、
陛下に上手く申し上げる事はできるかな?
ドッキドキで、ちょっとわくわくです。
たぶん、成敗されちゃう為のお召しではないと思うんだけど。
僕は、帝国憲法にも帝国軍事法にも触れる事はしていないよ。
パパに黙って、帝国軍の仕官学校に潜り込んだだけだもん。
いくら軍事帝国国家でも、それでいきなり‘処刑’はされちゃわないよね?
と、思うんだけど。
******************
『灰色』の軍服おじさんに案内されて、
陛下がいらっしゃる宮殿の奥に案内されました。
この『灰色』おじさん、結構偉い人だったのかな?
随分奥までずっとご一緒している。
からかって、悪かったかなぁと、ちょっとだけ反省。
ほあー、本物の陛下だ!
びっくりして、
高い位置の玉座に座っていらっしゃる皇帝陛下を
ポカンと見上げた。
「アロマ、膝を折れ!」
パパもいたんだ?
パパに恥をかかせたら大変大変。
僕、ちゃんとしようっと。
できるかな?
仕官学校でまだ、陛下に拝謁させて貰う作法なんて習ってないもん。
とにかく、膝をついて、下を向くのか?な?
名乗っちゃっていいのかな?
「サリュー·ターランの一子、アロマ·ターランと申します。
皇帝陛下のお召しにより参上いたしました。」
ちゃんと大きな声で頑張った。
パパが、ため息をついたのが聞こえてきた。
「はあー。」
って、あれれ、僕間違えちゃった?
「サリュー、お前は下がってよい。」
「陛下、…… ですが」
「下がれ!」
パパが何か言いたそうなお顔で下がって行った。
去り際に僕をチラッとみて。
また小さなため息をついた。
******************
「アロマ、と申したか。
お前は、この帝国に何を望む?
お前の父は、お前が近くに有ることを望んだか?」
「若輩者の自分が、
申し上げる等がおこがましい事と
分かっていて申し上げます。
『僕は父を守りたい。』
守れる人間に成長する事を望んでおります。」
「ほお、大言壮語を吐く小僧であることよ。
この帝国を統べる私の横に立つ‘あれ’は、
年端もいかぬ子供に守って貰う程に情けのない者と申すか?
事と次第によっては、皇帝の私に対する不敬ともとれる言いぐさであるな。
ん?」
よし、ここかな?ミラお母様の‘あれ’。
「自分は、《サリュー·ターラン》統括司令閣下が、
『どなたのものであるのか』は承知しております。」
「ん?」
「そのことに対して、思う事はございません。
その上で、あえて申し上げたく存じます。」
「少し、楽をして貰いたいんです。父に。
楽しく生きて欲しいんです。
笑って、過ごして貰いたいんです。
その時、父の傍らに、
どなたがいらっしゃるのかを取り違えてなどおりません。
それでも、不敬と仰られますでしょうか?」
「ほお。」
「『思う事がない』と、申したか?
どうして、そう思う?」
「はい、間違いなく。
だって、‘パパ’ですから、しょうがないと存じます。」
「『しょうがない』?
はて、どういう意味であるのか。」
「うちのパパは、とってもとーっても可愛いじゃないですか!
だから、しょうがないかなと思うんです。」
「はて?面妖な事を申す子供であるな。
お前は、自分の父を‘かわいい’と申すのか?」
「はい。父は、とっても‘かわいい’パパです。
ずっとずっと子供の時から、‘かわいい’パパが僕は大好きでした。」
「ほお、生意気な子供だな。
‘あれ’のどこを‘かわいい’と申すのか?」
「本当はすごく真っ直ぐなくせに、悪ぶってみたり。」
「ふむ、そういうところはあるな。」
「簡単には人に迎合しない頑固なところも、
ホント不器用で下手くそだし。」
「そうだな。」
「懐に入れた人間には甘いくせに、
自分が人に甘えるのがすごく下手くそで、
わざわざ自分を追い詰めるような事ばっかりして。」
「ああ、その通りだ。」
「素直に‘ありがとう’と‘ごめんなさい’が言えなくて、
ぐるぐるひとりで迷走しちゃうし。」
それから、暫く皇帝陛下と僕で、
パパのどこが‘かわいい’か談義で盛り上がってしまったよ。
しまいには、陛下が声をあげて笑ってしまって。
陛下は、綺麗で美しい方だなと思った。
陛下が、
「お前から尋ねたい事があるなら聞いてやろう。」
と、おっしゃるので、
ちょっと調子に乗りすぎかとドキドキしながら。
「先日、父に僕を側におきたくはないという理由を聞かされた折に。
陛下のお側で、
剣を振るう時に僕のせいで迷いが出ると聞かされました。
あの……」
「よい、申せ。」
「父は、陛下のお側で悪い人の腕やら首やらを、
剣を振るってコロコロと落としてきたって。
本当でしょうか?」
「わっはははは。」
とうとう、陛下が大声で笑ってしまったよ。
それは、聞くまでもないような
‘よくある’事を、僕が聞いちゃったせいなの?
それで、笑われたのかな?
「誰がそのような‘汚れ仕事’を‘あれ’にさせたりしたものか。
あれの手を汚さぬように、
酒の酌ひとつもさせた事などないわ。」
「アロマよ、お前の父は結構な“嘘つき”であることだな。」
「はい。そう思います。」
「暫く、つかせてやっておるがよい。
嘘が露見した後の‘あれ’が膨れっ面をするのも鬱陶しい。」
「はい。」
良かった。パパは陛下に大事にされているみたい。




