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閑話 【ユニの組織と生きて見るもんだと思った話】

 

 母校の《スプリーム·フューチャー·ユニバーシティ》SFU通称ユニ。

 この銀河系随一の設備と教育レベルの高さがうんぬんよりも、何故俺のような、何にも無い奴がここへ潜り込んで、力をつけることが出来たのか?


 だって何処の世界に、ただで学ばせてくれるところがあるよ?


 無い無いづくしの戦争孤児の俺、サリュー·ターラン。18歳になる半年前。


 この大学で学ばせてもらえるチャンスを貰えたのは、在籍生徒配分に革命的な生徒募集をかけてくれていたから。


 全体の生徒の入学時の成績をレモンを縦に、先っぽを上下にもっとスマートレモンに引っ張ったような構造で生徒の配分がなされていると思ってもらうといいかな。


 レモン構造の美味しいところは、何と言っても上の尖り(とんがり)部分と、下の尖り(とんがり)部分の、経費の相殺。


 ざっくり言うと、レモンのてっぺんは授業料無料か少し下だと学費免除がパーセンテージで段階別についてくる。


 それを支えてくれるのは、レモンの底の尖り部分で、多大な寄付金と引き換えに自身の名誉のために入学して来てくださる、すっごい王公貴族やら財閥の子息層。


 そのユニにとってのお客様方は大概、卒業まで行き着かないけれど、在学中に人脈を広げたり場合によっては、紐付きじゃない秀才をスカウトしたりと、けっこうwin-win。


 レモンの輪切りの真ん中は、一般募集の合格に人生をかけて頑張ってきた層。


 もちろん、そこに挟まるのだって、生半可な努力で勝ち取れるわけではないし。

 入学後にかかる生徒1人分授業料が、普通に真面目に働いているお父ちゃんお母ちゃんが1人の生徒に10人づつ付いていても、払いきれるかどうか怪しいもんで。


 だから、庶民?層の合格者には、もれなくそれぞれの国やら故郷、どっかの青田買いの組織援助がセット。


 紐付き決定の人生になるとしても、腹を括ってそれぞれの国やら組織の未来をかけて入学してくる。


 だけど、俺のバックに国家の後押しがあるわけでも、パトロンがいるわけでもないし。


『体売るより、命の切り売り』の方が性分にあってる。


 危ないお仕事で稼いでいても、自分と妹の糊口をしのいでを命繋いで行くのに、その時はあっぷあっぷ。


 今日は何とかなっていても明日はどうなるかわからない。

 ホントに兄妹でプカプカ漂ってる宇宙クラゲみたいなものだった。


 自分たち兄妹には、少しだけ面白い特技があった。


 それを、母のように『神様のギフト』なんて台詞は意地でも言いたくない。

 母のように、オカルトチックなギフトではない、科学的にちゃんと説明が付きそうなちょっとした特技。


 母の公国の血統は、女性に特化してオカルトっぽい能力が出ることが多いんだって。

 俺は男の子だったから関係なかったけど。て言うか眉唾?って思ってる。


 妹は、‘耳’聴覚が良かった。

 小さい時から1度聞いた声は誰の声か絶対に間違えない。

 動物や鳥の鳴き声、機械の振動、車のエンジン音。人の足音。

 音楽や歌が好きで、それも1度でも耳にすると寸分の違いもなく再現して歌ってみせた。


 近くの教会に母に行かせられるくらいしか音楽を耳にする事なんてないし、高尚な芸術を嗜むような家庭環境ではなかったけれど、よく幸せそうに歌っていた。

 親父様が不在でいない時は。


「歌うな!」


 と父に言われて、裏の土手で遠慮気に歌う妹を見るたび


「帰って来るなよ!くそ親父」


 と、心の中で毒づいていた。


 帝国から出て、やっとショックから落ち着いた妹が


「お兄ちゃん、音楽の学校があるんですって。夢みたいね。」


 はじめのうちは‘夢みたい’なところに妹を入れてやるには、力不足で奥歯を噛み締める事しかできなかった。


 仕事中に無事に帰る事を諦めそうになった時は、妹と‘妹の夢が’お金と自分の命を拾って戻ってくる命綱になっていた。

 その意味では、いつも命を助けられていたのは自分の方だった。


 俺は、自分のためには頑張りが効かない(たち)なのかも。


『面倒臭そう』か『面白そう』


 くらいしか、信念も何もなさそう?そこが親父様の逆鱗に触れた俺の(たち)なんだろうけれど。


 人間はそれぞれだから、親子だって違う生き物だもんしょうがない。


 それでも、ひとつくらい、ちょっと使えるところもあったわけで。

(でも親父は竹刀を振り回す以外は認めようともしてくれなかったけど。)


 俺は、1度見た設計図面、数字数式から頭で形を立ち上げるときっちり数字ごと頭に複写して残るんだよね。


 仕事の派遣先で、色んなマル秘の構造物、防衛システムを目にすると頭に貯金が増えて行って、ワクワク。


 興味本意で深入りし過ぎて、うっかり退路が無くなりそうになって、ヤバめになった時もちょいちょい。


 だって、見たかったんだからしょうがない。せっかくのチャンス?


 傭兵稼業って待ち時間がやたら多いんだよ。ドンパチやってるだけではなくて。

 それとか、うっかりちょっと捕まっちゃった時とか拷問耐性に意識を逃すためにも、頭の中はいつでも自由だから。


 だから、見たことがある設計図を頭の中でプラモデル組み立てるみたいに何度も何度も組み立てて。


 そのうち、応用して自分の好みに組み立て直したり。


 脳内ひとりオタク遊び。


 脳内プラモデルでなくて実際にやってみたくても、そんな機会一生ないと思っていた。


 せいぜい、潜入先でスクランブル起こしてやるのが、やたら早くて得意になった?くらいに役に立つくらいがいいところで。


 でね、自分でも半信半疑で、小耳に挟んだユニ(大学)の入試枠の、トップ先端の技術系に特化能力のところに、引っかかったりなんかしないもんかなあ?

 ダメもとでも面白そうじゃないかな?と思ったりして。


 珍しく頑張って、傭兵所の幹部にプレゼンした訳さ。


『あらゆる国から、偉い人やらこれから偉い人になる人だらけで、情報ホイホイ引っかかって取り放題っすよ。』って


 幹部連中、笑っちゃって本気にしてなかったけど、俺がちょっと冷やかしに行ったところで、痛む腹もないし。


 すぐに戻ってくると、休暇のつもりで出してくれたらしい。


 結果、所属の傭兵所の立派な紐付きとして、学生しほうだいの‘夢みたい’にお兄ちゃんが先に突入しちゃった訳さ。


 後から、ちゃんと妹の‘夢みたい’も現実になったんだけどね。


 妹と2人、帝国出てきてからこんな日が来るって思わなかったね。

 生きて見るもんだね!ってこの時思った。


 結局そんなに長くも続かなかったけど。まあ、なかったよりは良かったかな?

目に入れて下さった方が、どう思って下さったのだろう?ドキドキ

今日の暇潰しや気分転換になってたりしたら嬉しいなあと思っております。


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