【パパはアロマにもう1度会えて嬉しい?】 side サリュー パパと陛下…♡ちょっとだけ
アロマにもう1度会えるのは、素直に嬉しい。
帰還した将兵を家族が迎える施設で、アロマの顔を見ておく事にした。
軍用機の発着が近いここでは、佐官以上の家族が送り迎えする事になっているのかな?
将兵のパパさん達の家族が、嬉しそうに出迎えをしている。
子供達がはしゃぐ声が、あちらこちらから聞こえて来る。
無事に夫を出迎えた奥さん、親御さんかな?も嬉しそうで。
へえ、こんな感じなんだ、全然知らなかった。
親父が生きていた昔からあった施設だと聞いて
『成る程、うちはちゃんとした?‘日陰者’だったんだ!』と、思い当たる。
この華やいだ出迎え空間に、俺たちセカンド家族は浮いただろうしなぁ。
人の群れの中から、アロマの声が聞こえた。
「パパぁ、ただいま。」
大声でもないのに、みんなに見られているのかな。
ちょっと視線がうるさい。
アロ、そろそろ『パパぁ』はやめないと。
女の子にもてないぞ。
「パパの高速艇凄すぎ!
噂を聞いた他所の国や組織が、羨ましそうにチラチラ。
今、銀河中の、注目の的。」
「アロ、話盛り過ぎ。
元気そうで良かった。
ユニ楽しんでいるか?」
「うん、最高!
パパ疲れてる?
雰囲気は妙に明るいけれど。
仕事は順調でも、目の下に隈できてるよ?」
「毎度の事だろ。」
アロマは、ユニでの出来事をかいつまんで話をしていた。
大学組織の中堅になってきた昔の旧友達の話も聞けて懐かしく思った。
アロマが履修をしている科目の話をする時に、ピクッと鼻の上が動いた。
この子は昔から、俺に小さな‘嘘’をつくときは、この表情が出るんだよ。
パパには、ばれてますよ。
突っついて見ようかとも思ったけれど、もういいかな?と。
大学の長期の休みに、高速艇で帝国に戻って来る方法がなかったら、
『パパとおんなじアルバイトをちょっとして見たかった。』と聞かされて。
パパ肝が冷えたです。
絶対にやめて下さいと、アロマに強くお願い。
うちの子供達、禁止したってやる時はやりそう。
もう、お願いするっきゃないよ。
はあ~、これ以上パパの寿命縮めるなよ。
今ホントに冗談になんないからそれ。
「パパ、話って言うか、お願いって言うか?」
ん?
「マコ姉は、結局パパの言うことをきかないで、軍服着ている相手と結婚したよね。」
ああ、何かと思ったらそっちか。
まだパパのお膝に乗ってお仕事したいですか?
「パパ、僕ね、ユニで‘ちょっといいなあ’っていう女の子に会って。」
おりょ!アロ君、少し照れて、‘恋ばな’ですか?おもろ。
「そのこは、自分の母国の命運が肩にかかってる感じで。
他所の人を好きになっても、その人の国に行って家族になることは出来ない。って。
ああ、別に僕がプロポーズされたんではないよ。」
ん?何かすごい単語聞こえたんだけど。
‘プロポーズ’?アロ君、まだちょっと早くない?
「その時、僕ね改めてよーくわかった。
この先に、どんなに好きな相手が出来たって。
僕だって、やっぱり他所の星の為に働けない。
この帝国で、産まれ育ったのは間違いないし。」
「ねえパパ、マコ姉には、許したんでしょう?
どうして、僕は帝国の為に働くのがダメなの?
パパ、僕ってそんなにパパに信用して貰えないの?」
「アロ、ちょっと落ち着こうよ。」
「ねえ、パパってば。
どっかのバカ息子みたいに
『僕のパパは偉いんだぞ!』
を、僕がすると本当に思う?
僕、絶対にパパの足を引っ張らない。
それでもダメなの?」
んん、困った。
「アロマ、もう少しだけ、2~3年考えてごらん。
ちょうど、ゆっくりユニで学べる期間だしさ。
3年経っても、アロの気持ちが変わらないならその時また話をしよう。
な。
パパの自慢のアロマ君。」
「パパぁ僕さ、もたもたしてたら、仕官学校の入学年齢制限を越えちゃうよ。」
こっちもなんとか《死に逃げ》作戦で、蓋をしちゃいたいんだけど。
その時に、俺がいなくなっていれば、アロマの希望も陛下の心情も変わっているかも知れないし。
目を閉じた後の事は、俺もう知らないっと。
‘仕官学校’? 何で?
最高の教育施設行ってから、仕官学校になんで行かなきゃなんないんだよ。
「アロマ、親が子供に自分の人生の敵討ちさせるように、自分の出来なかった事を望むって。
それが子供にとってとんでもない迷惑なのを、パパが誰よりも知っているつもり。
それなのに、パパがアロマに自分が手に出来なかった‘自由を’手にして欲しいって望むのって、ものすごい愚かなんだろうと分かってる。
分かってるけど、‘親’ってバカになっちゃうみたいだよ。
かわいい息子には。」
よっし、ちょっとパパ泣き落とし。
これ理屈が合ってなくて、狡い言い分。
だって、アロマが帝国で生きるのも働くのも‘自由’なわけで。
俺って、卑怯で嫌な奴だわ。
陛下が嫌がるだろうって事を最優先で考えている。
本当は、アロマに顔向け出来ない。
どうせ近くに陛下の‘耳’がいるから、筒抜けだろうけれどさ。
この頃分かってきた。
宰相閣下の‘耳’よりも、皇帝陛下の‘耳’の方が多いような気がする俺の周辺。
なんか、この頃もう『どうだっていいかな』の感じになってるけど。
どっかの坊さんみたく、削ぎ落とされたように色々と取捨選択できるようになってるかも。
『悟りをを開いた』なんては、言わないよ。
陛下が煩悩まみれに、して下さってるからさ。笑
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執務室と兼用の居住空間に戻ると、表から陛下の御前に呼び出しがかかっていた。
マケル宰相経由で。
なんだろう? ちょうど軍服着ているからそのまま直行。
珍しい。なんか陛下と宰相閣下がやり合ったのか?変な空気。
えっ俺、俺のせいですか?何で?
ドゥーダン提督の、生き残り‘母’が、また俺に来いって言ってきているんだと。
『きっと、お役に立つ事があるはず』
だって。
なんだか、‘お利口’ではない提案に聞こえるけど。
どうした?不思議ちゃん『サンラン』さんでしたっけ?
「マケル宰相、これに女を近づける趣向が大変好みであるようだな?
マケル宰相家の息女だけでは、不足であるのか?」
いや、たぶんそういう方面の話を宰相閣下がしているんではないのは、‘これ’の俺でもわかるんで。
陛下も分かって仰っていますよね。
でも陛下、援護して下さるんでしたらありがたいです。
今、高速艇で短期で揺られて出掛けると、相当に体力削られそうです。
その上、あのサンランさんにお会いするのは、別の面でも消耗しそうだしさ。
極力、行きたくないです。
なんとも言えないジト目で、宰相閣下に睨まれる。
睨まれても嫌です。
俺、今は行きたくありません。
時間と体力が惜しいですから。
宰相閣下にため息をつかれて。
せめて、皇帝陛下の斜めになっちゃった、ご機嫌をとれって事かも。
「先日、うちの小さいワイナリーの新酒が届きまして。
陛下のお口には、水替わりにしかなりませんが。
部屋に持って来ております。
お越しになれませんか?急いで冷やします。」
ニコニコお愛想。
******
俺の部屋の方で、冷やした白ワインをサーブして貰っていると。
間の悪い事に家から通信が入った。
まだ、勤務時間内に珍しいな。なんだろう。
ちょっと困っていると、陛下が目線で出てもいいと。
モニター画面の後ろに陛下で、向こう側には陛下のお姿は映らないけれど。
すごーく落ち着かない。
家からの通信は、ミラ様。
「司令閣下、産まれましたわ。
安産で、女の子ですわ。
産まれたばかりで、目鼻立ちはまだハッキリとはわかりませんが。
皆が、司令あなたに似ていると申しますの。
髪の色目の色。
マコはしばらく我が家で、療養させます。
アロマちゃんも休暇で戻って来ていて、ちょうど良かったですわ。
では、司令閣下もお体をご自愛下さいませ。」
ろくに、こっちに返事もさせないで。
ミラ様らしくなく嵐のような通信だったよ。
なんか、ミラ様ぜーぜーはーはーしてなかったか?
はあ、俺とうとう‘おじいちゃん’かよ。トホホ。
それにしても、ミラ様『我が家』って言っていたよな自然に。
マケル宰相邸にマコが産後に帰るってあり得ないから。
すっかり、うちが我が家なんだ。
陛下のお耳に届いたかな?
陛下が何で怒り出すか、未だに掴みきれないから。
ちょっとハラハラする。
つい、ふーってため息をついちゃってたら。
陛下が、シャワールームをちょいちょいって示された。
えっと、陛下まだ昼間ですよ。
ここは、逆らったら面倒臭いかな。
白シャツさんに、人払いちゃんとかけて貰おう。
仕事絡みの連絡で人が入ったら、ちょっと恥ずかしいから。
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「陛下、巷では、孫のいるような者は、このような事はあまり……
いたさないよう…で……ん。」
陛下、爆笑。
そんなに、受けました?
「そのような巷は聞いた事もない。
こちらの‘ち又’ではないのか?」
陛下、びっくりですよ。
あなたほど、下ネタが似合わない方っていませんから。
帝国中探しても?
この頃の陛下は、こんな感じでじゃれるようになさる時間が長い。
“直接”をご遠慮下さっているのがよくわかる。
さすがに『お前は鈍い!』と、陛下を御立腹させる俺でも気がついている。
俺の体を陛下が気遣って下さっているのが、痛いほど分かっている。
「円卓の会議場であったか?
お前が作らせた。
随分と急がせていたが。」
以前の、執務室があった建物に増築して、ちょっと大きな会議場を作って貰った。
意見が交換しやすい、円卓が中心のやつ。
ここで、最後の大仕事『紺』『灰』融合作戦会議をする予定。
それにしても、俺が会議三昧ってちょっと笑う。
昔は、座って会議するよりも動き回ってなんぼの仕事が本分だったのにな。
それよりも、陛下と肌を合わせている時に、仕事関係の話なんてさ。
そういうのは、死んでもしないって覚悟でいたのに。
なんだ、このなし崩しぶりって。
「また、お前は気を散らして。
少しは、この口で可愛げのあることでも聞かせてみせろ。」
可愛げ?ですか。
うーん、難しい。
「陛下ぁ、俺1度でいいので、陛下にちゃんと誉めていただいてみたいです。」
笑笑。上手に出来ましたか?
「ほお、ではちゃんと感じた時に、声に出してみせたら誉めてやらないでもないが。
声を堪えるお前の泣き顔も、なかなかに楽しめはするがな。」
うへえ、陛下そっちじゃないです。
仕事の話ですってば。




