3話
(あれは...魔獣!?)
グラウンドには校舎2階ほどのある緑の狼型の魔獣がいた。そして興奮しているのかグラウンドで地響きがするほどにじたばたと暴れまわっている。
音のした方向から男の先生がこちらに向かって走って来てうちのクラスにいた女の先生に説明をした。
「うちで魔獣生成実験をしていたところ生徒がα鉱石の分量を間違えてしまい、とんでもない魔獣が...!」
α鉱石とは人間が動物から魔獣へと変化させるときに使う道具である。鉱石自体にも十種の種類があり、使用者と種類が合致することによって使うことが可能になる。
魔法を持つのは人間だけであり、他の動物は魔法を持たない。故に魔獣へ変化する際に魔力を与える必要があるのだが、少量のα鉱石でも大きな魔力を秘めているので少しでも分量が違えば動物自体の魔力を受け入れる許容量がオーバーし暴走へと繋がる。
「暴走を止めるには生成者である生徒が魔獣の体内からα鉱石を抜き取る作業をしなくてはなりません。...生徒は?」
女の先生が男の先生に聞くも男の先生は焦った表情のまま「ダメです。生成者の生徒は生成時の魔力の大きさのショックで気絶してしまってます。」
「だったら...!」
女の先生にも緊張が走る。
そして男の先生は...
「あの魔獣を鎮めるしかありません。」
「無理だろあんなの!」「誰が止められるのよ!」「やばい...終わりだ...」
先ほどまで十也のことを散々に行っていた生徒たちはこの世の終わりを悟ったかのように次々に言いたいことだけを言っていた。
狼型の魔獣がアオーンと遠吠えをし始めた。それだけでものすごい風が起こり校舎の窓は割れ強風が校舎の中にも入ってきた。
ガタガタと震える今にも飛ばされそうな校舎。
もう終わりだ...。だめだ...。と誰もが思っていた。
「おい!この野郎!よくも俺の発言の邪魔してくれたな!!」
学校中に響き渡る声。狼魔獣も遠吠えをやめ、その声の先に目をやった。
グラウンドに先ほどまで魔獣一匹だったのに一つの人影がある。
十也である。
「行きたくねぇとは思ってるんだが一応こっちも授業料とか出してるから高校卒業できねぇと将来的にも困るんだわ。だからさー校舎吹っ飛ばすのだけはやめてくれねぇーか?」
生徒たちはグラウンドにいる一人と一匹に集中。
そして一匹は一人を。一人は一匹を見ていた。だが...
「アオーーーーン!!」
遠吠えとともにまたもや強風が吹き荒れる。
生徒たちは窓があった縁のところに捕まりグラウンドから目を離さなかった。、十也は吹っ飛ばされそうな風に耐えていた。
「こ...っの野郎!!!」
十也はふわっと浮き上がり左手を後ろにやり、そこから思いっきり風を出した。
魔獣の出す風の方向とは逆に十也の体は進んで行く。
「風ばっかり出してんじゃねーよ!この犬野郎がァァァ!!!」
それと同時に十也の進むスピードは早くなる。そして右手に拳を作りその拳を鋼に仕上げ、右腕の筋肉に最大限まで力を込めてパンチを繰り出す。
「シルバーレオン!!!」
風の勢い、筋肉で強化された鋼の拳は魔獣の頬にクリティカルヒットしその勢いで魔獣は民家を超えて近所の公園へと吹っ飛ばされた。
その衝撃で魔獣は気絶。
被害はこれ以上出ることはなかった。




