4話
あの魔獣による被害は校舎の窓ガラスが全て割れるだけで事が済んだ。
グラウンドは東南北の三方向を校舎が囲んでおり、残り西の方向には比較的横幅の南北に広がる川があるので向こう岸の民家も遠い。
学校の立地条件が良かったのもある。
事件は終わりを迎えたが、今の校舎での授業続行は難しく、今回の件で恐怖を覚えた生徒がいたようで、その日全校生徒は2時間目が終わった後皆下校した。
ただ十也だけは重要参考人として警察からの事情聴取を受けるためにまだ帰れずにいた。
「十也遅いなぁ。もう5時だってのに帰ってこないとは...。いつもなら『アニメが見たい!』ってすぐに帰ってくるのに...。」
朝に出て来た風ウサギのフー。本当の名前は風兎と書いて「ふうと」である。
風兎は帰りの遅い十也を探して高校のある方向に向かって飛んでいる最中だった。
高校の上空に差し掛かった頃、現状を見て風兎は驚いた。
(校舎が無茶苦茶だ...。
...てあの公園の広場に横たわってる大きな魔獣はなんだ!?)
あたりを見回して十也を探した。
案外すぐに見つかった。
事情聴取は高校の校門前でやっていて、そこには十也と警官が二人いるだけであった。
見つけた途端に風兎は十也の元へと降りていった。
「あれ?フーだ。何やってるんだ?」
「この状況...まさか十也何かやらかしたの!?
つ...ついに十也が警察のお世話になるような事するなんて...僕は...ぼくはぁ...」
風兎は十也の両腕の中に収まったと同時に泣きそうな声で言った。
「勘違いだバカ!俺はむしろ被害を最小限に抑えたの!」
なんとか風兎の誤解を解こうとする十也。
「この兎の魔獣は君のかい?」
「はい。風兎っていいます。」
「へー。その年で魔獣生成を経験してるとは...
...て、あれ?その子今喋ってなかった!?」
警察官の一人が風兎の珍しさに気づく。
そう魔獣は普通話すことはできないのだ。
「まあ僕は特別な魔獣だからね!話すことなんて朝飯前さ!
♪あ〜い〜うえお〜...」
自慢気に歌う風兎と珍しがる警察官、呆れる十也。
事件の事情聴取はわけのわからない方向へと進み始めたところで十也はストップをかける。
風兎を静かにさせて再び事情聴取がスタートした。




