第三十九話「先輩!」
「き、霧山さん?」
「大丈夫ですか!?」
蒼の肩を掴んで心配する。
「また、頭が痛くて」
「昼の時も痛がってましたけど、普通の頭痛じゃないんですか?」
「分かんないけど、こんな頭痛初めてで」
「病院行きますか?」
「へ、平気だよ」
「でも、こんなに痛がってるじゃないですか!」
「うっ。と、とにかく今日はいいよ。明日行くから」
「そうですか……立てますか?」
蒼は、頷き壁にもたれながら立ち上がろうとする。すかさず蒼の腕を掴んで力を貸す小町。深く深呼吸をする。
「ありがとう霧山さん」
「いえ、私は何も」
「霧山さん。このことは、二人に内緒にしてて」
「えっ。どうしてですか?」
「お願いだから」
「わ、分かりました」
内緒にしておいてほしいと言われて分かったと返事をしたが本当は、話しておいた方がいいんじゃないかと小町は思った。その後カウンター席に戻った蒼は、綾音から市民会館での演奏会の提案にいいね、やろうとっと言った。蒼の隣に座った小町には、少しいつもと表情が違うことに気がついた。その表情は、痛みに耐えている様だ。
お客が少し減り始めた店内。そろそろ閉店の時間が近づいていた。
「そろそろ帰ろうか」
蒼がそう言った。
「そうだね。蒼君途中まで一緒に帰ろう」
「気をつけるんだよ二人とも」
会計を済ませて店を出る。
「じゃ、二人とも」
「西沢さん、霧山さんおやすみなさい」
並んで歩いていく蒼と望海に手を振って見送る綾音と小町。
「それじゃまたね。霧山さん」
「あ、はい!西沢先輩おやすみなさい!!」
微笑みながら店の中に戻った綾音。一人残った小町は、蒼が帰った方向をただ見つめていた。
「……入山先輩」
翌日。町で一番大きな病院に小町がいた。朝から貧血気味らしく体調がすぐれないから点滴をしに学校を休んで来ていたのだ。
「ふっ~。辛い」
ロビーで順番を待つ。今日に限って病院に来た人が多い。小町の整理番号は、200番台。まだ当分先である。
ふと病院の中庭を見ると、そこにあるベンチに蒼が座っていた。小町は、すぐ蒼の元に向かった。
「い、入山先輩!」
「えっ……霧山さん!どうしてここに?」
小町の登場に驚いた様子だ。
「あ、ちょっと朝から貧血気味で……じゃなくて入山先輩がここにいるってことは」
「そう、昨日から痛む頭痛。レントゲン撮ったんだ」
「ど、どうだったんですか?」
蒼は、少し笑って空を見上げて結果を小町に言った。それを聞いた小町は、顔が強張った。信じられなかった。
「そ、そんな」




