第三十八話「やってみない?」
今日は、蒼と綾音の連弾を演奏してお客を感動させた。
「すまんちょっとトイレ行ってくる」
もう馴染んだカウンター席で望海がコーヒーを飲んでいる。その隣に演奏し終えた綾音が座る。
「お疲れ」
「サッカー辞めてから本当に伸び伸びしてるよね」
「お陰で体がなまっちゃうよ」
「相川さんは、卒業したら音大行くんでしょ?」
「唐突だね。まぁ、そうかな。西沢さんもでしょ?」
「そのつもり。多分蒼もじゃないかな~」
「でも、正直難しいよね。音大は、大体コンクールに出たりしてその成績とか選ぶところ多いから。出てない人は、勉強だけで行けるかどうか」
「私たちコンクールとか出てないしね」
「何だったらこれから出てみたりする?」
「えっ!!いやいやさすがに私は……それこそ相川さんや蒼なら出れるでしょ?出たことあるんでしょ?」
「まぁ昔だけど、今のままだと無理。いっぱい練習したりしないと」
二人が会話をしていると店のドアが開く。
「あ、こんばんわ」
来店したのは、私服姿の小町だった。
「あ、霧山さん。お疲れ様。こっち座りな」
綾音は、自分の隣に座るように促して隣に座る小町。
「マスター。アップルティーを」
「はい」
「あれ、入山先輩は?」
「トイレだよ」
「そうですか。ところで今日の演奏は?」
「今さっき終わったよ。蒼君と西沢さんの連弾」
「えぇ~。私見たかったな」
「また今度ね」
「一度も見てないんだよな~」
「ねぇ。一つ提案があるんだけど」
「何?相川さん」
「演奏会しない?」
「演奏会?」
「そう、カフェじゃなくてもっと広い所で、私のヴァイオリン、蒼君、西沢さんの連弾にソロ」
「いいですね!でも、場所はどうするんですか?」
綾音が閃いたかのように指を立てる。
「市民会館の一階のホールとかは?ピアノあるし」
「市民会館ですか?確かに広いですけど許可出るんですか?」
「蒼が受付の人と顔見知りだからいけるんじゃないかな!お客さんは、私たちでポスターとか作って店の窓に張れば。いいよねお父さん?」
「ははは。好きにしなさい」
「私も参加したいです!フルートで少しだけでもやりたいです!」
「いいねいいね。相川さんは?」
「異議なし。賛成」
話し合いが盛り上がりすぎたので落ち着くために三人は、飲み物を飲む。
「ふぅ~。蒼遅いな」
「私見てきます」
戻ってこない蒼に様子を見に小町が席を離れた。そして、トイレに向かうと。
「入山先輩!」
頭を押さえて膝を地面について息を乱している蒼がいた。




