第三十七話「久しぶりに」
熱が治り数日がたった。相変わらず学校では、綾音と望海が時々言い合いになる日々を近くで過ごし、たまに時間が合うと校内を歩いていると小町出くわしたりする。初めてカフェでヴァイオリンを弾いた望海は、蒼と都合があれば必ず演奏するようになった。もちろん、蒼と綾音の連弾。蒼のソロだったり、綾音のソロも。マスターが言うには、前と比べてお客の来店がとても増えたという。蒼たちは、まだ二年生だがこれから先どんな道に進んでいくかまだ未定。だが、音楽系の大学に行こうと心の中では、決めている。
6月が始まったと思えば気がつけば7月に入った。外の気温が上昇して熱くなり始めた。服装は、半袖Yシャツ。この時期になると男子生徒たちは、自然と女子に目移りしてしまう。雰囲気がガラリと変わるからだ。しかし、夏休みが始まってしまう。女子の服装は、気になるが早く夏休みになってほしいと言う願望が交錯する。部活に所属していない生徒は、羽を思いっきり伸ばせる。蒼、綾音、望海は、カフェでやれるほどたくさん演奏する予定で、テニス部の小町は、夏休みの練習が待ち遠しいのと三人の演奏を聴きに行くっというイベントが楽しみらしい。
そんな今日、蒼は、二階の廊下を歩いている時だった。
「!?」
急に視界が歪み立っていることが出来ず壁にもたれる。頭が痛くなり頭痛が激しくなる。
「うぅ!う~」
頭を抱えていると次第に痛みが引いてきて楽になった。
「はぁ……はぁ。なんだったんだ今の」
昼。購買でカレーパン等買ったのち屋上に向かう。ドアを開くと。
「あれ、霧山さんだ」
視界に小町がいた。しかも、フルートを吹いていたのだ。綺麗な音色だった。ドアが閉まる音で小町は、フルートを吹くのを止めてこちらに振りかえった。
「わっ!入山先輩!!」
慌ててフルートを背中に隠す。
「吹けるって言ってたけど凄く上手いね」
「と、とんでもないです!上手くないですよ!」
蒼は、小町の隣に少し離れて座りパンを食べ始める。
「どうして吹いてたの?」
しゃがむ小町。
「その……入山先輩たちの演奏見てたら中学の時を思い出してしまい、それで急に吹きたくなってしまったんです」
「悪いことしちゃったかな?テニスに集中したいのに」
「いえいえそんなことないです!むしろ嬉しいです私。中学の時は、こんな気持ちならなかったんで改めて音楽っていいなって思いました」
「そっかそっか。ならいいかっ」
「はい!」
フルートをしまって足元に置いてあった弁当箱に手を伸ばし、小町も食べ始めようとする。
「あ、そうだ。霧山さん。頭痛薬持ってない?」
「ありますよ。頭痛いんですか?」
「うん。ちょっと」
蒼は、また少し頭痛がしていた。




