第三十六話「大丈夫?」
「薬局遠かったぁ~」
薬を買って戻ってきた望海。玄関を開けて二階に向かい部屋に入ると、視界に入って来たのは、ベットの上で寝ていた二人。
「あらら。これはこれは」
ゆっくりと近づいて二人の寝顔を見る。
「しょうがないな。今回だけだからね」
「うぅん。しまった!寝てしまった」
目を覚ました綾音は、寝てしまう前蒼にガッチリと掴まれた腕が解放されていたので、慎重にベットから降りた。蒼の額に濡れたタオルと氷枕。
「ふぅ~。そういえば相川さんは……これは」
部屋にあった電子ピアノ上に置手紙を発見し手に取る。
『西沢さんへ
起きた?起こすのが可哀相だと思ったのでそのままにしました。
勝手に材料を使って一階のテーブルにお粥を作っておいたので温めて食べさせてね。(薬もあるから)
蒼君が治ったら勝手なことしてごめんなさいと謝ります。
押し付けちゃうけど後は、お願いします。 相川より』
「なんか、色々やってくれたみたい……」
手紙を読み終えた綾音は、一階に下りる。リビングにいくとテーブルにお粥と薬が本当に用意されていた。綾音は、台所でお粥を温め直す。時刻は、6時半を少し過ぎたころ。蒼の両親が帰ってこないことに疑問を感じた。
温め終わりお粥と薬を二階の部屋に運ぶ。まだ、ベットに寝ている蒼を優しく起こす。
「蒼。蒼。起きて」
「……うっ。う~」
嫌そうな唸り声をしながら目をゆっくり開けた蒼。
「あれ……何で綾音が?」
「連絡がないから来たの。そしたら倒れてるんだもんビックリしたよ。お腹減った?お粥あるんだけど」
「そうか……来てくれたんだありがとう。うん。食べる」
蒼は、上体だけ起き上がる。まだ少しフラフラしてる。スプーンですくって蒼の口に近づけるとパクッと食べる。
「美味しい。綾音が作ったのぉ?」
「ううん。相川さんが作ってくれたの」
「望海さんがぁ?いないみたいだけど」
「え、えっと。用事があるみたいで先に帰ったの」
少し半笑いで伝えた。
「そっか。……二人に迷惑かけちゃったね。ごめん」
「そ、そんなことないよ!気にしないで」
「本当にありがとう」
頬を赤らめる綾音。
「そうだ。蒼のご両親は?いないみたいだけど」
「あぁ。旅行に行っててしばらく帰ってこないよ」
「なるほどね。はい、もう一口。食べ終わったら薬飲んでね」
蒼に全部食べさせてあげ薬を飲ませた綾音。蒼の心の中で綾音は、いいお嫁さんになるとそう思っていた。




