第四十話「先輩!!」
一時間前。レントゲンの結果が出て診察室入った蒼。医師の机の正面にレントゲン照らされていた。医師の表情は、何か言いづらそうな感じだった。
「率直に言います。頭痛の原因は、脳にある腫瘍。脳腫瘍です」
蒼は、言葉が出なかった。
「大きさは、おそらく5~7センチほどです」
「な、治るんですか?」
やっと出た言葉がそれだった。
「……腫瘍がある場所が手術だととても難しいです。すべて取りきれるか分かりません。もし、取れたとしても体のどこか麻痺になる可能性があります。手術ではなく薬で小さくしていくのもありますが、副作用で辛い日々が続きます」
医師からの説明に心が裂けそうだった。
「もしこのまま放置したらどうなりますか?」
「……遅かれ早かれ」
その続きは、言わなかった。固く口を閉ざした。
「入山君。私は君を知っている」
「えっ?」
「君は、カフェ。Freeでピアノを演奏してるよね?私は、あそこの常連でね。君のピアノの演奏がとても気にいってる。そこでだ私から一つ提案があるんだが」
「なんですか?」
「君がもし、手術を受けるんだったら知り合いに脳腫瘍のスペシャリストがいるんだが、そこで受けてみない?あんな素敵な演奏が出来る君を失ってはいけない」
「……」
「だが、そこは、海外なんだ」
「……海外」
「海外に行かなくても手術がうまい医師は、たくさんいる。が、彼の所に行けば大丈夫だと私は、言いきれる」
蒼は、まだ整理がつかづ頭の中で一生懸命考えた。海外で手術か、副作用と戦いながらの薬か、もしくは。
「先生。考えさせてください」
「うん。よく考えて。でも、返事は、なるべく早くね」
「だって。ビックリだよ」
医師に言われたことをそのまま小町に言うと、両膝から崩れ落ちて蒼の膝に拳を作って乗せる。上目遣いで覗いてきた小町の瞳は、潤んでいた。
「どうして、どうして入山先輩がこんな目に……」
何かを気がついたかのように小町は、ハッと体を震わせる。
「海外に行ったら学校辞めちゃいますよね?それにいつ帰ってくるんですか!?」
蒼の胸元を掴んで詰め寄ってくる。蒼は、小町の肩を掴んで落ち着かせる。
「確かに手術を受けるとしたら海外に行くけど、ちゃんと帰ってくるから」
「約束ですよ!病気なんかに負けないでください!」
「ありがとう霧山さん」
「帰って来て市民会館で演奏会しましょうね!」
「うん。約束。霧山さんのフルートを混ぜてやりたいからね」
「テニスの合間にフルートも練習します!」
「あはは。でも、テニスが優先だよ」




