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第三十三話「きっとやれる!!」

ステージの天井の照明がパッと点灯する。お客たちが待ってましたと拍手を送る。蒼に続いて望海がヴァイオリンを手に持ち歩くと、蒼が初めて来たとき同じ様にざわめきはじめる。ステージに上がり、中央で向かい合って打合せする。

「大丈夫?緊張してない?」

「平気平気。緊張してないよ」

「強いね」

「どんな演奏にする?」

「普通?ゆっくりめ?早め?」

「そうだね……カフェだしゆったりとしか感じにしようか。あ、でも、最後の方は、疾走感がある感じにしない?」

「疾走感ね。分かった。最初の入りは、どっちからにする?」

「蒼君からでいいよ。始める前に軽く弾かせてもらえる?」

蒼は、親指を立てて頷いた。二人は、お客の方に向き直りお辞儀をする。再び拍手が鳴る。椅子に座る蒼。望海の方を見る。ヴァイオリンを構える。弦の上に弓を置き滑らせる。音色が店全体に広がっていく。何度も弓を動かして音色を確かめる望海。じっと待つ蒼。

 ピタッと弓を止めた。蒼の方を見て小さく頷き蒼も頷いた。ピアノの鍵盤に指を乗せて一回息を吐いた。

「……さぁ、いこう」


鍵盤を叩き始めた。ゆったりとしたテンポ語りかけるような感じ、すると、自然とヴァイオリンの音色が聞こえてきた。ピアノの音色より高い音色。目を瞑っている望海の表情は、まるで寝ているかのように落ち着いていて、楽しそうである。二人の演奏が順調に進んでいることにカウンター席にいる小町は、驚いていた。

「な、何この演奏。完璧すぎる」

「相川さんのヴァイオリン。初めて聴いたけど凄い。上手いわ。蒼の伴奏と合ってる。……なんだか悔しいな」

蒼のピアノがゆっくり止まる。望海のヴァイオリンがソロで奏でる。再びピアノを演奏すると今度は、望海が静かに弓を止める。自然と蒼のソロになる。お互いの見せ場みたいのを予定していたかのようにこなす。

 演奏が始まって約5分が過ぎた時。目を瞑っていた望海が目を開き蒼の方を見る。少し笑った。蒼は、鍵盤を叩くテンポを少しずつ速める。それに応えるかのように望海も弓を弾く速度が速くなる。二人の演奏に店にいるお客たち完全に引き込まれ、聞き入ってる。

 そして、さらにテンポが速くなる。鍵盤を叩く指が豪快に跳ねる。弓を弾く速度が速く細かい。二人が頷くと今日最高の盛り上がり方をして同時に演奏が止まった。

「ハァハァ。出来た!」

「完璧だね。私たち」

肩で大きく呼吸をして整える二人に対して、お客たちの拍手は、中々収まることは、なかった。

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