第十七話「一緒に」
夜の7時。蒼は、カフェFreeの前に来ていた。綾音に誘われたとかじゃなく今日は、自分の意志で来た。カフェのドアを開けた。
「いら、わぁ!蒼!来てくれたんだ」
中に入るとお決まりの白のドレスを着こなした綾音がいた。そのまま、カウンター席に誘導された。店の中は、今日もお客でいっぱいだ。
「こんばんわ。入山君。今日は?」
コップを磨いてるマスター。
「今日演奏させてもらってもいいですか?」
「おぉ。いいよ。すぐにやる?」
「そうですね~。とりあえずコーヒーを」
「分かりました。ちょっと待ってね」
数分でコーヒーが出てきた。ミルクと砂糖を入れてスプ―ンで混ぜて一口。
「はぁ~。温まりますね」
「蒼。今日は、演奏しに?」
お客との話を終えて綾音がやって来た。
「まぁ。そうだね」
コーヒーを飲む。
「楽しみ」
飲み終えると蒼は、真っ直ぐ綾音の目を見て言った。
「今日僕と連弾しない?」
「……連弾?」
考えてもみなかった連弾。まさかの誘いに綾音の頭の中は、混乱していた。
「そう連弾」
「む、無理だよ。出来ないよ。そもそも即興で連弾なんか無理があるよ」
「大丈夫。演奏する曲は、この間西沢さんがやってたのをやろう」
「あの曲を?だって蒼」
「一回聴いてるから平気。西沢さんは、いつもと同じように演奏すればいい。僕は、それに合うようにするから」
考え込む綾音。すると、話を聞いていたマスターが。
「いいじゃないかやってみればいい」
「お父さん」
「連弾なんてなかなか出来ないと思うよ?しかもその相手は、綾音のお気に入りの入山君だ」
「お、お気に入りなんですか僕!?」
「入山君と綾音なら綺麗な音色が出せると思うよ」
マスターの助言を聞いた綾音は。
「……分かった。やろう蒼」
連弾を了承した綾音に蒼は、手を差し出す。それに綾音がニッコリと笑ってお互い握手を交わした。
「いいね~。青春だね。あ、入山君。タキシード着る?」
この間のタキシードを着ないかと言ってきたマスターに蒼は、冷静に言い返した。
「いいです。私服でいいですから!」
それに綾音がクスクスと笑う。その笑顔が可愛かった。
「え~。タキシード着てよぉ。フフッ」




