第十三話「放課後は雨」
綾音からの突然の爆弾発言に戸惑う。質問してた女子たちも呆気にとられる。
「ん?本当の事言っただけだけど」
綾音は、首を傾げる。
「そ、そう」
「じゃあ」
そう言い残し女子たちは、去って行った。何事もなかったかのように食事を再開する綾音。
「ちょっと、待って」
「どうしたの?何か食べたいの?」
「卵焼きが……って違うわ!さっきのことだよ!」
「惚れたってあれ?」
「そ、そうだよ!冗談は、止めてくれ!」
「冗談じゃないよ?本当のことだよ?君の演奏に惚れたって」
「え?演奏?」
「そう。蒼の演奏に惚れた」
「あ、そっちね。そうですか」
「何々?どうしたの?」
「いいのかあんな言い方して、どうなってもしらないぞ」
「別にいいし今は、蒼のことしか考えてないから」
「な、なんだ!この物凄い堂々とした感じは!」
「はいはい。口開けてあ~ん」
「え!ちょ!ここで!……あ、あ~ん」
半ば強引に口に卵焼きを押しつけられて、周りの目を気にしながら卵焼きを食べた。笑顔になる綾音。素直に美味しかった。
放課後。靴に履き替えて外に出ると弱めの雨と濃い雲が空に広がっていた。
「この位なら傘なくても大丈夫だな」
雨にうたれながらバス停に向かっていると。
「蒼待って!」
後ろを振り返ると折りたたみ傘をさして、濡れた地面を軽やかに駆けて来る綾音。
「今日は、カフェ来てくれるの?」
「あぁ~。天気が悪いからやめておくよ」
「そっか……残念」
まるで散歩に行けなり、寂しそうな子犬のよう。が、すぐに表情が切り替わる。
「天気がいい時がいいよね」
「そうだな」
並んで歩き始めてバス停に向かう。列に並ぶ。向かい側を見ると同じように列に並んだ綾音が、蒼に向かって手を振るう。そこへ蒼が乗るバスが到着した。バスに乗り込んで席に座り綾音に対して、小さく手を振りかえした。
バスに乗ってしばらくして雨が強くなりはじめた。
「うわ~。雨強い」
下車するバス停に到着してドアが開き降りる。さすがの雨の強さに立ち往生。
「家には、誰もいないし濡れて行くしかないか……」
濡れる覚悟を決めたその時だった。
「ちょっと待って。良かったら入って行く?」
いつの間にか後ろにいた女子。蒼は、その彼女を知っていた。
「……一組の相川望海さん?」




