あと1時間
86、短剣と大剣
「当たんねえな!」
「まさか運に極振りとはな…」
茶色に濁り、底も見えない沼では、ゾンビ陣営のリデルと吸血鬼陣営のノアが争っていた。
どちらもAGIは無いに等しく、まさに亀と亀の戦い。
「運が良けりゃあどうにかなんだよな!」
「それは無い」
「お前はSTR極振りと似たようなもんだろ?」
「STRだけじゃねえ。VITとAGIに少し振っている」
「ほとんど…変わんねえじゃねえか!」
そんな中、短剣と大剣を交えつつ会話をしている。
たった1人に時間をかけてはいられないが、中々お互いに隙を見せない。
…いや、リデルは隙だらけだが、運によって避けられる。
「そろそろ大人しく吸血鬼になったらどうだ?」
「ひゃ…っか…?とやらだな!」
「それを言うなら却下、だな」
「…あー、ヨミもいなくなっちゃったし、いつものアレでもやるかー」
リデルとノアが戦っている中、ルラは地上が見えないほどの上空で羽ばたいていた。
いつもの、とは『貪食の闇』による範囲攻撃のことだ。
MPはかなり食うが、強いことに変わりはない。
「…ちょっと待てよ」
残っているMPを確認する。
表示されているのは、327。
かなりあるな。
だとしたら併発しても…
「やるか!『貪食の闇』『スターダストパレード』!」
MPは使うためにあるんだ!
ルラの真下には、交戦中のリデルとノアがいたが。
87、知らないうちに
「「…ん?」」
2人は気づかないが、真上にはスキル詠唱を終えたルラ。
尚『貪食の闇』は、発動者のいるところも含めて発動する。
答えは、言わずともわかるはず。
すぐに、2人の真下には黒いものが広がった。
「「ああああああ!?」」
茶色に濁った沼なんか見えないくらいに、漆黒の沼に呑み込まれて消えていった。
…そんなことは全くしらずに、ルラは鼻歌を歌いながら羽ばたいていた。
「何回もやってると、そろそろ対策されそうだなぁ」
誰かを倒せないとMPの回復が遅くなってしまう。
連続して、あまり倒せなくなったら次の手を考えなければ。
まあ今はめんどくさいから考えないけど。
「…?」
それより少し前くらい、平原を歩いていたゾンビ陣営のオトは立ち止まって耳を澄ました。
何か不自然な音が…?
それも結構近くで…
「どしたん?オト。アンタの耳なら信用するで?」
「多分大したことないんだけど…」
「…アンタの大したことないは大したことっつうのを経験談が言ってるで」
「いや、大したことないよ。なんか変な音がするくらい」
「それはかなり大したことや」
隣を歩いていた、同陣営のシホがそう聞く。
そんなこと言われてもなあ。
ちょっとだけ集中して聞いてみようかな…
スッと目を閉じて、神経を耳に集中させる。
そうすると、いつも騒がしいノアとシホも静かにしてくれる。
「「ああああああ!?」」
やっぱり聞こえた。
人の悲鳴が。
だとしたら、あの音はスキルの発動音。
(他のスキルと比べて)かなり大きな音がしたから、大技かな。
数名を除いてあまり連発はできないはず。
敵だとしたら狩るのなら今。
味方だとしたら隙をつかれないようにカバーする。
どちらでもいい。
パッと目を開けると、目の前にはシホの顔面ドアップ。
「!?」
「あ、起きた。何か聴こえたん?」
「うん。あっちのほう。ちょっといってみよう」
「了解。『風の如く』」
「ありがとう」
「ま、これが魔導士の仕事やからな!」
88、レインって怒らせたら怖いらしい
「ははっ!おめえら、極振りってまじかよ!そんなの雑魚のすることじゃねえか!」
「はああああ!?」
「姉ちゃん、あんまり深追いしないで。僕たちはAGIが0なんだよ」
「だって、あいつが煽って…!」
「あとで抜かすしか無いよ」
「でもその前にー!」
この姉弟はいつまで経っても変わらない。
煽られてすぐに衝動的になるサニーと、宥めるレイン。
「…はあ。しょうがないな」
「「え?」」
「本当はもうちょっと貯めておきたかったけれど…」
スッと目の前に、魔力をたくさん貯め込んだ盾を構える。
そして、必殺技としてとってあるスキルを唱える。
「『魔力変換』『闇へ導く手』」
構えた盾からは黒に染まった2本の手が飛び出し、1瞬のフリーズの後に対象を追いかけ始める。
「…たっ、ただのVIT極振りじゃねえのか!?話が違うぞ、リーダー!」
「リーダー…指示してる人がいたんだね」
「手の方頑張れー!」
真正面に突っ切るだけじゃあ勝てない。
そう判断したらしいあいつは、障害物を探し始める。
…しかし、ここは平原であった。
「ゆ、許してくれって!そんな強いなら、俺たちのギルドに入れてやるから!『ダークホワイト』って言うんだけどさ!ほら、上位の…」
「えー、何それ。わたしたちは『混沌ルーラー』だから無理かなー」
「…『混沌ルーラー』ってもしかして…」
「巷で噂になってる、ルラが率いるギルドだけど」
「俺は、なんて奴に喧嘩を仕掛けちまったんだ…」
その間に『闇へ導く手』がそいつを掴む。
まあ、勝ったかな。
「ばいばーい!レインを怒らせたらダメなんだよ!」
手はみるみる大きくなっていき、そいつを消し去った。
…この場合どうなるんだろう。
まあ、僕たちには関係ないけど。
89、スコットの(謎の)葛藤
「引き金、引かないと…!でも…撃てないっ…」
森の木の上にスコットはいた。
しかし、スコープで相手を捉えながらも引き金を引けないでいた。
普段のスコットならば、捉えた次の瞬間には弾は相手を貫通していただろう。
しかし、今スコープの向こうにいるのは同じギルドのしかも…
「相手が…相手がロナリアなんて…」
ロナリアは、ヨミと同じくギルドの癒し担当。
その笑顔を見るだけで癒されるってもの。
そんな笑顔を撃つなんて…
『混沌ルーラー』の保護者として、許されない。
けど、イベントで勝つためには…
1回深呼吸をして、再度スコープを覗く。
ごめん、許して。
ガチャリ、と引き金を引こうとした時。
「〜♪」
「!?」
後ろから謎の音楽が。
そんな、居場所をバラすようなこと…
ステータスを確認してもデバフはかかっておらず。
パッと振り向くと、後ろには…
「やべ、曲間違えた」
あれは…
妨害音楽で有名な、アルト?
それに、魔法使い陣営…
「こっちだった『鉛の旋律』」
「…!」
どんよりとした曲調のものが流れるのと同時に、移動速度がかなり落ちる。
…移動速度だけなんだ。
スナイパーだからあんま関係ない気がするけどな。
「『透眼』『貫通』『オートエイム』『ロックオン』」
使えそうなものを全て唱えながら弾を詰める。
こいつなら遠慮なく引き金を引ける。
こいつはロナリアやヨミじゃない。
「えっ、ちょっ、ちょっ…また間違えたー!」
「…」
パァン!
…あれ、逃げられたかな。
まあいっか。
とりあえず、ロナリアは撃てない。
これだけは変わらないから。
「…誰かに見られていたような気もするけど…今はもう見られてないのかな。とりあえずここを出ないと」
スコットのスコープから解放されたロナリアは、ただ森を抜けるために歩いていった。
90、川のほとりにて
1方、そこから真反対の川付近にて。
トアは、イーグルの手から撒かれる光線で倒れていく同陣営の者たちを回復させていた。
「トアさんを守れ!回復が消えたら全滅するぞ!」
「即死しなければ回復が待っているんだ!怖がるな!」
「みんな、ありがとう!『ゾーンヒール』!」
イーグルは単独。
しかしとても動きが素早く、掠りも入れられていない。
当たらないのなら勝てない。
引き分けか、負けか。
こんなときはどうすれば…
「トアさん!こっちです!」
「うん!」
ううん、回復役のわたしが挫けたら負けだよね!
今はとにかく回復をしないと。
それで、隙を見て反撃に向かおう。
「そんな団結すんなよー。トアとやらに当たんねえじゃん」
「当たんねえようにしてんじゃボケ!」
「口が悪いよ…」
「はい、トアさん!」
でも、確かに守ってもらっている。
しかも、イーグルは魔法使い陣営。
私の回復が遅れたら死んじゃうんだ…
気を抜かないように…!
「…げっ」
「?」
「退散命令でたから逃げるわ」
「はあ!?」
「逃げんな!」
しかし、イーグルは素早く、簡単に逃げられてしまった。
「追うぞ!」
「ああ!」
「うん!」
…あと、1時間!
save18
ネーム ルラ 12
レベル 536
職業 ナイト
武器 闇夜の黒光
頭 魔法の花冠
服 純白の大天使
靴 羽の靴
アクセサリー 一匹狼『召喚』
盾 ホワイトパール
STR 630(+80)
VIT 300(+100)
INT 140
MND 30
AGI 155(+15)
DEX 20
LUK 20
スキル
『チャージ』『受け流し』『身躱し』『斬撃波』『武器破壊』『急所狙い』『急所外し』『死神の宣告』『察知』『不意打ち』『峰打ち』『完全炎属性耐性』『炎の化身』『窮地の高揚』『爪痕』『独』『悪魔との契約』『貪食の闇』『確率上昇』『スライムボール』『軟弱化』『アンデット』『ネクロマンサー』『不可視の鎖』『屍』『飛翔天駆』『共同体』『憑依』『森の遺志』『チェンジ』『反転』『蒼電』『殲風』『時空の割れ目』『毒牙の蝶』『幻迷の霧』『紅蓮の吸血鬼』『かごめ』『神々を従える者』『幻想郷』『虚無の1振り』『常闇』『千影の舞』『零の黒光』『フローエリア』『スターダストパレード』
ネーム ハティー
レベル 111
スキル
『爪痕』『独』『威嚇』『猛突進』『暴走』
ネーム エルド
レベル 109
スキル
『地獄の炎』『熱風』『身を焦がす爆炎』『ライジングサン』




