花園
後半からと次回ライム回です。
91、また
「あら、霧が晴れたわね」
ルラが『紅蓮の吸血鬼』を倒してちょっとして、ここに立ち込めていた『幻迷の霧』が晴れた。
「リデル!」
「…!ライム」
2人は比較的近くにおり、すぐに見つけることが出来た。
しかし、ルラがいない。
まさか、あの濃霧のせいでどこか遠くに?
「あ、2人ともー!」
そんな心配は要らなかったようだ。
少し遠くの方に、手を振るルラがいる。
「よかったー、無事で」
「こちらこそ」
「リーデルさん、なんか言うことあるんじゃないですかぁ?」
「…すみませんでした」
「危うく吸血鬼に血を搾り取られるところだったよ」
「「…は?」」
「実はねー」
全く、この子は今度は何をしてきたのかしら?
話を聞いてみると、霧の中で吸血鬼型のボスに出会ったらしく、それを倒したとのこと。
それを倒したことにより、今度は吸血鬼になるスキルを手に入れたとのこと。
しかも、そのスキル発動中に敵を倒すとHPやMPを回復させることができるらしい。
ただし、目が紅くなり、牙も生えてくるので外見で分かってしまうそう。
「また謎のモンゲットしてきたな」
「このスキル多分結構強くてさー。外見でバレるとは言え、口を開けずにカラーコンタクトすれば良いんじゃないの?」
「カラコンはこのゲームに無いぞ」
「何をおっしゃる。我がギルドにはライムさんがいるじゃないですか!」
「…たしかに」
「カラーコンタクト、ね」
このゲームには、眼鏡は存在する。
つまりレンズはある。
ならば後は着色料で…
「ええ。出来そうね」
「さすがライム!」
92、作戦会議『秩序のソラ』バージョン
そしてその頃、『秩序のソラ』では作戦会議らしきものが行われていた。
と言っても、作戦も何もないが。
「次回は個人戦だ。上位を目指したい者は目指し、自分がどのくらい強いのかを見たいのなら誰彼構わず勝負をかける。これで良いと思うか?」
『秩序のソラ』はとことん強くなりたい者もいるが、楽しければいい者もいる。
だから、次回イベントのような時は強制はせずに個々の自由にする。
これがギルド設立当時から続くルール。
ルラがいなくなってからもそれは続く。
「はいはーい」
「どうした、シホ」
「上位目指しとる奴にゃあ勝負かけん方がいーと思う」
なるほど。
確かに、死ぬとポイントが10マイナスされる。
上位を目指している者には厳しいだろう。
「これについて、誰か意見は無いか?」
「はい」
「オト」
「このギルドには、リーダーやノア、そしてシホのような強い人がいます。そして、その強い人に勝負を挑みたい、という人もいるのではないでしょうか?なので、勝負を挑む人は自由にしたらどうでしょう?」
どこからか、たしかに、や、それも1理ある、と言う声が聞こえてくる。
まあそれもそうだな。
「今現在2つの意見が出ているが」
「アタシはオトに反対やな」
「シホ、上位を目指しているのなら、このくらい倒せて当然、と思えばどうだ?」
「はあ?」
ノアはしょっちゅう勝手に喋り出す。
これはどうにかならないのだろうか。
「これは強敵に勝つための特訓だと」
「…まあそやな。ならオトに賛成で」
「他の者はどうだ?」
「オトさんに賛成!」
「同じく!」
「よし!これでノアさんやソウさんに勝負を挑めるのか!」
どうやら、反対はいなさそうだ。
「ならば、勝負をかけるのは自由にしよう」
93、着色料を求めて
その次の日。
ライムは1人で着色料を探しに来ていた。
レンズは売ってある眼鏡からくり抜いた。
着色料もあったのだが、ルラの目と若干違う色だった。
「にしても、あの目の色は綺麗ね」
ルラの目は明るい空色。
あった着色料は水色。
暗く淀んでしまっている。
ルラの目はあんな色じゃダメだ。
これがこだわり、という物だろうか。
「はあ、厄介ね」
先ほどから遠距離攻撃を仕掛けてくる敵が鬱陶しくてしょうがない。
一応、作った防具で防御力を底上げしているが、時々防ぎきれずにダメージを食らう。
ついに我慢の限界が来て、武器を作ることにした。
「…金属、火薬、あるわね。『想造』」
作ったのは銃と大量の銃弾。
スコットが持っていたのを真似したが、若干違うようにも見える。
ちなみに、スコットが持っているのとは違いスコープ付きだ。
試しに覗き込んでみる。
「…よく見えるわね」
ちらっと見えた敵に1発撃ち込むが、少しずれて当たらない。
「初めて知ったけれど、スコープで覗いている通りに弾が飛ぶわけじゃ無いのね」
敵の頭部を狙わないと胴体に当たらない。
それはスコープが上に付いているからだ。
「…よし」
2発撃ち、やっと1体倒す。
普通の銃弾じゃダメね。
毒でも入れようかしら?
「『想造』」
インベントリに入っていた毒のエキスを大量に作った銃弾に染み込ませる。
ちなみに、この毒のエキスの致死量は1ミリ。
たくさんの毒を組み合わせて作った物だ。
「この用途ならたくさん使いそうね。あとで毒を取りに行かないと」
94、魂の花畑
銃を片手に、着色料が取れる場所まで突き進む。
右に曲がり、左に曲がり。
迷いそうな道のりだったが、ライムは全てを記憶し、それをトレースしていた。
ちなみに、後半はスコープを覗かないようになってきていた。
スコープを覗くと周囲が見えないからだ。
「やっと着いたわ」
ここは、このダンジョン『魅惑の花園』の隠し場所。
『魂の花園』だった。
ここなら、空色の着色料の材料となる花がたくさんある。
その花1本でカラーコンタクト4つほど作れるだろう。
こんなにたくさんは要らないものの、とりあえず5本摘む。
一応、今この場で試しにコンタクトに色をつける。
「ええ。綺麗ね」
彼女の目の色そっくりの発色だった。
「せっかくここまで来たのだから、全種類5本ずつ摘んでいきましょうか」
薄い赤に鮮やかな黄、濃い緑や淡い青に純白。
花にしては珍しく、黒や茶などもあった。
たくさんの色溢れる花園にライムはすっかり夢中になっていて、気づけば随分と奥の方まで来てしまっていた。
「あら、インベントリの空きがもう無いわね」
更にはインベントリまでいっぱいになってしまい、引き返さざるを得なくなった。
「しょうがないわね。また今度来ましょうか」
後ろを振り返る、が。
それは元来た道ではなかった。
明らかにおかしい。
昨日も引っかかったばかりだと言うのに。
当たり前のようにダンジョンから出れずにログアウトも不可。
「はあ…」
95、『花冠の少女』
そんな中見つけたのは、赤い花冠をかぶった少女だった。
茶色の短髪で、とても小柄。
彼女はとびきりの笑顔を見せて遊んでいた。
「お姉ちゃんもいっしょにあーそぼ!」
その少女はわたしに気づくと、その屈託のない笑顔を浮かべながら近寄ってきた。
クエスト『花冠の少女』
クエストなのね。
小さい子は嫌いではないから、受注する。
「やったあ!ねえねえお姉ちゃん、かくれんぼしよ!かくれんぼ!」
「かくれんぼ?」
「うん!お姉ちゃんが鬼ね!あたしが隠れるの!」
「ええ。分かったわ」
「30秒数えてね!」
かくれんぼなんて何年振りかしら。
そんなことを思いながら、後ろを向いて目を瞑って数え出した。
「1、2、3、4、5」
「まだだよ?まだまだ」
「分かっているわよ。6、7、8、9、10」
たくさんの自然の音がする。
ヒューヒューと風が吹く音、小鳥のさえずりや、小動物が動く音まで。
「16、17、18、19、20」
「目開けちゃダメだよ!」
「もちろん。21、22、23、24、25」
そんな遠くに行ってないといいのだけれど…
「29、30!もういいかい?」
「もーいーよー!」
save 19
ネーム ルラ
レベル 128
職業 ナイト
武器 白雪の剣
頭 流星の髪飾り
服 純白の大天使
靴 羽の靴
アクセサリー 一匹狼 『召喚』
盾 ホワイトパール
STR 170(+80)
VIT 100(+100)
INT 20
MND 30
AGI 105(+45)
DEX 20
LUK 20
スキル
『チャージ』『受け流し』『身躱し』『斬撃波』『武器破壊』『急所狙い』『急所外し』『死神の宣告』『察知』『不意打ち』『峰打ち』『完全炎属性耐性』『炎の化身』『窮地の高揚』『爪痕』『独』『悪魔との契約』『貪食の闇』『確率上昇』『スライムボール』『軟弱化』『アンデット』『ネクロマンサー』『不可視の鎖』『屍』『飛翔天駆』『共同体』『憑依』『森の遺志』『チェンジ』『反転』『蒼電』『殲風』『時空の割れ目』『毒牙の蝶』『幻迷の霧』『紅蓮の吸血鬼』
ネーム ハティー
レベル 98
スキル
『爪痕』『独』『威嚇』『猛突進』『暴走』
ネーム エルド
レベル 95
スキル
『地獄の炎』『熱風』『身を焦がす爆炎』『ライジングサン』




