表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
25/30

死霊の傀儡

 王城に続く森の入口で、レイナードとアドワースは予期せぬ来訪者と対峙していた。星明りは、薄気味悪く微笑む神父(メルク・レイズ)たちを照らし出していた。


 子どもたちの中心にいる神父(メルク・レイズ)の表情は昼間見た時とは違い、まるで強い怨念を抱いた死霊の如き(すご)みを感じさせた。


「おい神父さん、お前にいってるんだぜ? 聞こえてんのか?」


 アドワースの言葉に答えることなく、神父(メルク・レイズ)(つぶや)いた。


「私の知り合いがいっていたかな? 度し難く、反吐(へど)が出る………ああ、まさにそんな気がするよ。何で、こんな所にいるのかなぁ」


「お前、何いってやがるんだ?」


 アドワースなど、まるで意に介さないとでもいった様子で神父(メルク・レイズ)は続けた。


「ぶっ殺さなくちゃあ、ならないじゃないか。勘弁してくれよ……」


「やってみろ! エセ神父がっ!!」


 一瞬で距離を詰め、アドワースは木刀を叩き込んだ。


「何っ!?」


 短剣で武装した子どもたちが、一斉に集まって神父(メルク・レイズ)を護った。同時に、別の集団の子どもたちは連続してアドワースに攻撃を仕掛けてきた。


「何なんだ! こいつらは」


「アドワース! 多分、この子たちは操られてる」


 すんでの所で攻撃をかわし、レイナードが叫んだ。


 子どもたちは、魚の鱗の様に小さな集団をいくつも作り、入れ代わり立ち代わり襲い掛かってきた。


 衆寡(しゅうか)敵せず……単純な攻撃ではあったが、レイナードとアドワースは神父(メルク・レイズ)に近づくことすら出来なかった。


「どうだい? この幾何学的な子どもたちの動きは。美しいだろう?」


 赤い目を細めて、神父(メルク・レイズ)は笑った。


「お前、子どもたちに何をしやがった!!」


「教えて欲しいかい? どうしようかな、どうしようかな、どうしようかなぁ! ラララァー」


「いかれた聖職者がっ!!」


 アドワースは、地面に木刀を突き立てた。


「揺るぎない父よ。大地の神(オウ゛リオス)よ、畏れを! その矛先を彼の者に向けよ!!」


 アドワースの声とともに、地面が震えた。


(いなな)け大地!!」


 地を這う蛇の様に、神父(メルク・レイズ)に向かって地面が隆起した。


 怒れる大地は、子どもたちを吹き飛ばしながら神父(メルク・レイズ)に迫ったが、周囲の取り巻きに担がれた神父は難なく、それを避けた。


「うおっとぉ! 危ない、危ない……」


 ふわりと宙を舞いながら、神父(メルク・レイズ)は笑った。


「いいでちゅか? 騎士くん、この指輪が見えまちゅか? ウヒヒ」


「お前、何ふざけてやがるんだ!」


「嫌だなあ。私は、大真面目さ! 騎士くんにもわかる様に説明してあげてるんだよ。ウフ」


 神父(メルク・レイズ)の手元で、指輪が怪しく光った。


「この使徒(レバカン)の指輪は本来、魔女の剣(ソウルイーター)に食われない為に魔力を放出する道具――いってみれば、魔力の拡張機さ。わかるかい?」


 指輪に反応して、子どもたちの目が紅く光った。


「そして、薬で自我を奪い、身体に深く呪印を刻み込んだ子どもたちに魔力を飛ばすと……」


「お前、まさかこの子どもたち全員に……」


「アハッ、然様(さよう)でございます。一体一体、(わたくし)めが丁寧に呪いを施しました。どうだい? とっても素直で可愛い、私のお人形さんたちは?」


 気が付けば、レイナードとアドワースは大勢の子どもたちに取り囲まれていた。


「くすくす……くすくす……」


 静かな笑い声が、夜の森でレイナード達を包み込もうとしていた。 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ