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ギフト犯罪探偵リゼット~冒険者パーティーを追放された俺は、天才探偵にスカウトされ、過去を視るギフトで事件と運命を書き換える~  作者: 久遠遼


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ジェイクの供述

 俺とリゼットがガルドの部屋で待っていると、最初に姿を見せたのはジェイクだった。


 ジェイクは俺とリゼットの間を抜けると、きれいに整えられたベッドの上へ、無遠慮にどかっと腰を下ろした。


 その行為に、思わず顔を顰める。


 だが、出かかった言葉を飲み込み、俺は本題を切り出した。


「改めて聞く。Sランク昇格任務の時、お前たちに何があって、ガルド氏は死亡したんだ?」


 ジェイクは、はあっと大きくため息をついた。


「どうもこうもねぇよ。ギルドにも報告したが、リュカがしくじって、ヴェイルのノロマがフォローしなかった。だからガルドは死んだ。それだけのことだ」


「それを詳しく話してほしいんだよ」


「具体的に言ってくれよな。天下の王国のお犬様と違って、俺たち荒くれ者の冒険者はおつむが弱いんだからよ」


「その減らず口、少し黙らせた方がよさそうだね」


 ジェイクの安い挑発に、リゼットが青筋を立てながら剣に手を伸ばそうとする。


「二人とも、いい加減にしろ! ……ったく」


 二人の間に立ち、俺はリゼットを手で制した。


 あれだけ脅されても反抗的な態度を崩さないどころか、平然と喧嘩を売るあたり、ジェイクも大概だ。


 だけど、リゼットもリゼットだ。


 こいつ、本当に感情が行動に直結する。初めて会った時もそうだが、見ていて危なっかしすぎる。


「まず、リュカがしくじったというのはどういうことだ。その時の状況を詳しく話してくれ」


「ギガントバジリスクの討伐は、やつの棲み家である狭い洞窟の中でやれってことだった。それでも討伐は順調で倒す寸前まで追い込んでいた」


 ジェイクは不機嫌そうな顔を、さらに歪める。


「だが、やつは石化のブレスを撒き散らしながら、めちゃくちゃに暴れ出しやがった。あんな状況じゃ、攻撃しようにもできねぇ。だから、やつの体力が尽きるまで耐えることにした」


「石化対策はしていたんだよな?」


「ああ? してたに決まってんだろ。万が一、全身に浴びちまったら、それでもアウトだけどな」


 ギガントバジリスクの石化ブレスは、浴びた部位を石に変える。


 手足の一部なら、解除魔法や薬で対処できる。

 だが、全身に浴びれば終わりだ。脳や心臓まで石化すれば、たとえ解除できたとしても、無事では済まない。


 冒険者ギルドは時折、周囲の環境や生態系への影響を考慮し、討伐方法に制限をかけることがある。

 大規模な魔法の使用を禁じたり、戦闘場所を指定したり、素材の損傷を避けるよう命じたり――理由はさまざまだ。


 今回も、ギガントバジリスクの石化ブレスが周囲に及ぼす被害を懸念したのだろう。


「だから、リュカが動き回ってギガントバジリスクの注意を引きつつ、ガルドが石化耐性のついた盾でそれをフォローしていた」


「理想的な対応だな」


 バジリスク種には共通して、瀕死まで追い込まれると錯乱状態になる特性がある。

 その状態になった時、高火力の魔法攻撃で一気に倒すか、一時的に守りに徹するのが定石だ。


「そこまではな……」


 ジェイクはベッドに拳を叩きつけた。


「だがよ、ガルドのやつが、その盾を手放しやがったんだ」


「ええっ!? なんでそんなことしたの?」


 頷きながら話を聞いていたリゼットが、思わず声を上げる。


「ギガントバジリスクが暴れ回っている時、尾が天井に当たった。その瞬間、そこが崩れたんだよ」


 ジェイクは忌々しそうに舌打ちする。


「崩れた岩が、リュカに直撃した。あいつはその場に倒れ込んだ。そこにギガントバジリスクがブレスを浴びせようとしたのを見て、ガルドはリュカに向かって盾をぶん投げたのさ」


「仲間を守るための行動ってわけか」


 尾が当たり、天井が崩れる。

 さらに、それがリュカに直撃する。


 不運としか言いようがない。


 通常、ギガントバジリスクの棲み家である洞窟には、やつの好物である鉱石類がふんだんに含まれている。

 その特性上、壁や天井の強度も高く、そう簡単に崩れるようなものではない。


 だからこそ、誰も天井が崩れるなど想像していなかったのだろう。


「結果的に、リュカはそれで守られた。問題はその後だ」


 ジェイクの声が、低くなる。


「リュカが無事なことに安心して油断したガルドは、ギガントバジリスクの攻撃に反応できなかった。爪で身体をズタズタにされちまったってわけだ」


 俺は思わず、喉の奥で息を詰まらせた。

 リゼットも、さすがに言葉を失っている。


「リュカがしくじったという意味は分かったよ。じゃあ、ヴェイルがフォローしなかったというのはどういうこと?」


 リゼットの問いに、ジェイクは吐き捨てるように言った。


「あいつが、自分の役割を果たさなかったんだよ! それさえしてれば、ガルドは死ななかった!」


「どういうことだ?」


「あいつは、ガルドを見殺しにした。助けようと思えばできたはずだ」


 続くジェイクの言葉は、俺たちの予想を裏切るものだった。


「ヴェイルのギフト――傷の請負スカーレット・シェアを使えばな」

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