第5章 さよなら
「こうなった以上、二人で先生に打ち明けて、相談しましょう」
「女子校の先生に相談できる内容なんでしょうか?あたしのようなトランスの子って、これでも結構気を遣ってるんです」
「こんなときだからこそ、先輩を頼ってよ。....でもあたし、結希の子だったら、産んでもいいかな....」
あたしの子ども!そんな考え、やめて!
でもまずは学校に相談しておきたい。そちらの方がスッキリする。
ひとりでは相談できなかったけど、由美さんが同行してくれるならば、心強い。悩んでいたこと、全部話したい。
職員室に行き、先輩の方から先生に状況を説明した。
一通りの説明が終わったとたん、複数の生徒指導の先生に取り囲まれた。
そして、先輩と私は、別々の部屋に連れて行かれた。別々に、もっと詳しく話を聞きたいとのこと。
あたしは、先輩とのこれまでの関係を、正直に説明した。先輩が大好きで、ケンカなど一度もしてないこと。今回の件でも先輩の優しさに励まされていたこと。
学校に相談して良いか分からなかったことも話した。
そして身体の交わりについても。それをどう思ったかも。結構生々しく話してしまい、先生方も赤面されていた。男性の先生も一人同席されており、ときどき大きくうなずきながら、女性の先生に生々しく解説していた。それを耳にしながら、改めてあたしの身体に雄が残っていることを思い知らされた。
そんな自分がなさけないということも、なんども話した。
途中何度も泣きじゃくりながら、ことばに詰まりながら、でもなんとか思っていることは全部言えた。
「世の中には射精責任という言葉はあります。今回結希さんが、それに該当するのかはわかりません」
いや、それ絶対あたしにあてはまるって。
「由美さんからも話を聞きました。やはり3年生、それに自分の方が積極的だったということで、おそらく彼女は退学処分にせざるをえないでしょう。もう彼女と会うことはないと思います」
やっぱりそうなるのね。ごめんなさい、あたしのせいで。
「結希さんは、ちょっと判断が難しいなと思ってます。これからもこの学校にいたいですか?気持ちを整理したいならば、配慮することはできるのですが」
え、あたしには甘いの?なぜ?わからない。
でも、この状況、同級生や先輩の間で、きっと噂になってる。そんな集団に戻るのはつらすぎる!
とにかく、頭を冷やしたかった。同級生に会うのも怖い。ここから逃げ出したい。




