第40話 皇帝崩御
明蘭の暗殺騒動から半年。
皇太子教育も順調に進み、明蘭が主体となって行う改革も始動し始めていた。泰誠と頼誠が明蘭を支持していたため、突然現れた皇太子は概ね竜安の貴族に大きな反対もなく受け入れられていた。なにより竜王が明蘭と積極的に交流を持っていることも一役買っていた。
恐れていた博文からの刺客もその後とくに送られてくることもなく、平穏に過ごすことが出来た。
明蘭の両目はほとんど黄金色となり、明誠は寝台から起き上がれないほど弱っていた。
「明蘭、泰誠、頼誠、麗蘭を呼んでくれ。」
皇帝は四人の子供達を枕元に呼び寄せ、集まった彼らの顔を順に眺めた。
身体はやせ細り生気は薄かったが穏やかな表情だった。
「明蘭、たった半年だが一緒に過ごせて本当に良かった。君の存在を知った時、玲々を心から愛したあの時の気持ちがよみがえって久々に幸せというものを思い出すことができた。それに、玲々を愛した証がこの世に存在したことが本当に嬉しかったんだ。生まれてきてくれてありがとう。龍聖の皇帝というのは記録も無くこれから大変なことも多いだろうが頑張って欲しい。」
「お父さま・・・。」
父の言葉に明蘭は涙ぐみながら頷いた。
「そして泰誠、麗蘭、頼誠。頼りない父だったが、私を支えてくれてありがとう。お前たちがいてくれて本当に心強かったよ。良い子供達に恵まれて私は果報者だった。これからは兄弟仲良く明蘭を支えてやってくれ。みんなよろしく頼むぞ。」
「父上・・・。」
「お父さま・・・。」
子供たちの声が重なる。
「私はもう逝くよ。」
明誠は静かに目を閉じた。
第四十九代龍華帝国皇帝・明誠、崩御。
家族に見守られ、眠るような最期だった。
彼は特筆することもない至って平凡な皇帝であったが、彼の治世はその温厚な性格を反映したような穏やかな時代であった。
同日、竜珠は完全に次代へと引き継がれ第五十代皇帝・明蘭の時代の幕開けとなった。




