#2 神話は常に孤独
ブックマーク&評価お願いします!
翌朝。
俺は悟った。
「……ペガサスは馬だ」
当たり前である。
だが、この時の俺には天啓だった。
「つまり二足歩行では駄目だ」
俺は床に両手をついた。
そして四足歩行を開始した。
「何やってるの?」
母である。
「進化だ」
「退化よ」
「違う」
俺は首を振る。
「ペガサス化だ」
「朝から嫌な単語を聞いたわ」
しかし、母の理解を待っていては遅い。
神話はいつだって孤独なのだから。
俺は廊下を疾走した。
ドドドドドドド。
「速い!!」
ドン。
壁に激突した。
泣いた。
だが十分後。
俺は再び立ち上がる。
「ペガサスは諦めない」
昼食。
ニンジンを見た俺は目を見開いた。
「来たか」
「来てないわよ」
「馬の主食!!」
「カレーの付け合わせ!!」
俺はそのニンジンを高く掲げた。
「いただきます」
ボリッ。
「うえっ」
嫌いだった。
吐きそうになった。
しかし。
「強く……なる……!!」
涙目で完食。
母は無言で牛乳を差し出した。
「これ飲みなさい」
「何故だ」
「カルシウム」
「白い……」
「牛乳よ」
「白い!!」
俺は立ち上がった。
「白き肉体!!
白き毛並み!!
これはペガサスの導き!!」
「ただの牛乳!!」
その日から一日三杯。
牛乳生活が始まった。
三日後。
身長は何も変わらなかった。
「何故だ……!!」
「三日だから」
「何故なんだ!!」
「三日だから」
その夜。
布団の中で俺は考えた。
ペガサス。
白馬。
翼。
飛行。
そして。
「そうか……」
全てが繋がった。
「飛ぶには羽ばたきだ」
翌朝。
俺は両腕に画用紙をガムテープで固定していた。
「秀昭」
「何だ」
「何してるの」
「最終段階だ」
「嫌な予感しかしないわ」
「見ていてくれ」
椅子の上に立つ。
両腕を広げる。
「今日」
俺は空を見上げた。
「人類の歴史が変わる」
「降りなさい」
「変わるんだ!」
「降りなさい!」
そして。
俺は飛んだ。
一秒後。
畳に顔面から落ちた。
泣いた。かなり泣いた。
しかし。
「何故だ……」
涙を流しながら俺は呟く。
「何故、まだ飛べない……」
母はため息をついた。
「まだじゃないわ」
そして静かに言った。
「一生よ」
ブックマーク&評価お願いします!




