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追放された台所係の不遇令嬢、森で拾った食いしん坊のモフモフにご飯を作っていたら、なぜか冷徹王子に求婚されてしまう  作者: めっちゃ犬
第4章:幸せな日々に忍び寄る悪意

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(20)ひとりぼっちは嫌だよ

カゴの外から声がする。


フタが閉まっているからよく聞こえないけれど、なんだかエルナが虐められているみたいだ。


「隠れていて」って言われたけれど、エルナがピンチなら助けないといけない。


よし、オリバー師匠に教わったように、今は落ち着いて状況の確認をするんだ。


話が聞こえるように、ボクは静かにフタを持ち上げて、エルナの匂いがするポンチョの隙間から様子をうかがった。


あの銀髪男の献上品のポンチョは、暖かいのに軽くて、エルナによく似合う。


あいつは見た目が「おうさま」に似ていて気に食わないけれど、エルナの価値をちゃんと分かっているところは、認めてあげてもいいと思ってる。


「やめて!私はあなたと結婚しないわ!」


聞こえてきたエルナの声は、今までに聞いたことがないくらい悲痛だ。


結婚だって!?


耳の後ろの毛が逆立つ。


「おうさま」がリリーを連れて行った時も、そんなことを言っていたんだ。でも、エルナは嫌だって言ってるし、これは助けないと。


ボクは音がしないように、そっとカゴを脱出した。寝室の隅に立てかけてあった木剣を握って構える。


うん、いい感じだ。


ボクは寝室のドアの影に隠れて、息をひそめる。


どうやらエルナを虐めているのは、ぶよんぶよんの丸い体の男と、騎士の格好をした赤毛の若い男のようだった。


「嫌よ!!放して!!!」


エルナが嫌がっているのに、赤毛の男は彼女にくっついて拘束している。


なんだあいつ!気持ち悪いな!!


ボクは剣をぐっと握りなおした。大丈夫、オリバー師匠に教わって、ボクは毎日剣術の稽古をしてるんだから。


「嫌!」


「キュー!!」


エルナが叫んだのを合図に、ボクは赤毛の男に斬りかかった。


ドン!!


……お腹に強烈な衝撃が走った。気づいた時には壁に叩きつけられていて、剣が手から離れて転がっていく。


ダメだ、こんな事じゃ……早く剣を拾わなきゃ……。


ボクは頑張って起き上がろうとした。でも、体はピクリとも動かない。


「なんだこれは、汚らわしい!」


そんな声がして、ボクはまた情けなく転がった。


ああ、ボクはなんて弱いんだろう!


エルナを守らなくちゃいけないのに、意識がだんだんと遠のいていく。


『森に隠れていてね。絶対に出てきちゃダメよ』


頭の中に、懐かしい声が響いた。そう言ったのは、リリーだったかな?それともエルナかな?


霞んでいく視界のなか、ボクは必死に手を伸ばす。


ボクはもう……ひとりぼっち……なるのは……嫌……なんだ……。


いつもお読みいただき、ありがとうございます。

次回からはいよいよ最終章に突入し、アーサーの本当の罪が暴かれていきます。

少しでも面白いと思っていただけましたら、リアクションや評価、コメントなどで応援していただけますと、励みになります。

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