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追放された台所係の不遇令嬢、森で拾った食いしん坊のモフモフにご飯を作っていたら、なぜか冷徹王子に求婚されてしまう  作者: めっちゃ犬
第2章:美味しいご飯とモフモフを堪能する日々

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(6)畑を作ろう!

翌朝、エルナはすっきりとした気分で目覚めた。たくさん眠ったので、昨日の疲れはほとんど残っていない。


(さあ、今日も頑張りましょう)


まだ寝ているポムを起こさないようにベッドを出る。


今日は畑を整備して、昨日買ってきた野菜の種を植えるつもりだ。畑に残っているサツマイモもできれば増やしたい。


エルナはかまどに火を起こした。


昨夜、夕食の後片付けをしながら作っておいたスープを火にかける。ブロックから切り落とした肉を煮込んでおいたのだ。


そこにサツマイモの葉っぱを入れ、ヒールシャワーで味を調える。


鍋から立ち上る良い匂いを嗅ぎつけたのか、食いしん坊のもふもふがキッチンへとやって来た。


「おはよう」


「キュー!」


ポムはエルナの挨拶に元気よく答えると、すっかり定位置になってしまった作業台に飛び乗った。


そこには昨夜炊いたおこげのご飯が入ったスープボウルが二つ並んでいた。


エルナはそこに卵を割り入れ、熱々のスープを注ぐ。卵がいい具合に半熟になる。


(今日も体力強化しておいた方がいいよね)


少し迷ったあと、自分の分にイグニッションスパイスをほんの少し入れた。


先ほど確認したら、水瓶の水がもうほとんどなかったのである。また井戸とキッチンを何往復もしなければならないし、今日は慣れない畑仕事もする予定だ。


ポムの食べる分をふうふうして少し冷ました後、ひとりと一匹は食卓に着いた。


ポムはさっそく食べ始める。


エルナも木のスプーンでスープをすくい、口に運んだ。


とろりとした半熟卵の黄身、香ばしいおこげ。スープにとけこんだ肉の旨みがひとつになって口に広がる。ほぼ残り物で作った割には上出来だ。


「キュー!」


ポムも気に入ってくれたらしい。満足そうな鳴き声にエルナは顔をあげる。


(あれ?)


彼女はおかしなことに気がついた。


美味しいものを食べてポムが光っているのはいつも通りだが、それに呼応するようにキッチンの片隅も光っているのだ。


(あれは野菜の種じゃないかしら?)


エルナは立ち上がって二つの袋を取ってくると、中の種を確認した。


トマトもカボチャも普通の種に見えるが、心なしか昨日見た時よりもツヤが良いように思える。もしかしたら、ポムの魔力に反応したのかもしれない。


(秘伝のスパイスのせいで、ポムの魔力がより強くなるのかも)


それで周囲の植物にも影響が出るのかもしれない。この種を植えたら、いったいどんな野菜ができるのだろう?


「ねえ、ポム。今日はこの種をまいてみようと思うんだけれど」


「キュ!」


種を見せると、ポムは「任せとけ」と言うように胸を叩いた。ほっぺに芋の葉のクズがついてなければ、頼もしく見えたかもしれない。


エルナは笑いながら、それを取ってやった。



朝食の後片付けが済むと、さっそく水を汲みに裏の井戸へと向かう。水瓶をいっぱいにするために10回以上も往復しなければならなかったが、イグニッションの効果のおかげで楽にこなすことができた。


「ふふふ、応援してくれるの?」


水を運ぶあいだ、ポムは楽しそうに跳ね回りながらエルナについてきた。もしかしたら、一緒に水汲みをしているつもりなのかもしれない。


水汲みが終わったら、次は畑仕事だ。


「さて、ここからが大変ね」


畑は長い間放置されていたので、一面に雑草が伸びていた。畑の土は固くなっているし、伸びた雑草はしっかりと根を張っている。


普通ならかなりの力と労力が必要だが、イグニッションで体力強化している今なら、どうということはない。


エルナは両手にそれぞれ違う雑草をつかむと、ブチッ!ブチッ!と勢いよく抜いていった。埃っぽい、乾いた土の匂いが広がる。


こんなやり方は貴族令嬢らしくないが、ジャネットにこき使われるうちに身につけたワザだ。


ブルック伯爵家の広大な庭。その草むしりをひとりでやるように言われるのは、日常茶飯事だったのだ。


「キュ~!キュウゥウウ!!」


機械のように雑草を抜く彼女の後を、ポムが興奮した様子でついてくる。「すごいね!」と言っているようだ。


長い根に土がついたままの雑草が、畑のすみでみるみる山になった。


「はあ!きれいになったわ」


「キュウ!」


額にうっすらと汗をかきながら、エルナは満足して畑を見回した。


だが、これで作業が終わったわけではない。畑の土は乾燥して固くなっている。クワで耕さなければ、何も育たないだろう。


エルナは畑の隅に立っている、小さな物置小屋の引き戸を開けた。そこには一通りの農具がそろっていた。


どれも古びているが、なんとか使えそうだ。


「キュウ?」


「これで畑の土を柔らかくするのよ」


首をかしげるポムに、畑でクワを振り下ろしてみせる。


固くなった土に、クワの先がガツンと食い込む。手前に引いて、土を掘り返した。


その作業を何度か繰り返したが、経験したことがない作業なので、思うようにはかどらない。力があるだけではダメなようだ。


「う~ん、思ったより難しいわ」


エルナはクワを振る手を止めて畑を眺めた。


大した広さではないが、これを全部耕すには時間がかかるだろう。


トマトとカボチャが成功したら、ほかの野菜も植えてみたいので、できれば残さず耕しておきたい。


「キュー!」


そんなエルナの様子を見ていたポムは、今までにない真剣な様子で、畑の中心へと進み出る。後ろ足で立ち上がって、合掌するように前足を合わせた。


「ポム、何をしてるの?」


……フワリ!


エルナがそう声をかけた次の瞬間、ポムの体が金色に光り始めた。


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