第三話、城とは
目の前に広がるのは荘厳な門。
その後ろに控えるは白亜の城。
青い空に浮かぶ雲とはひと味違う厳格な白
「ばかばかしい城だな」
が、俺の好みではない。
「それは聞き捨てならんな。この美しい城のどこがばかばかしいというのだ」
「城というのは高く、広く、かつ入り口は一つでなくてはならない」
高く、というのは城壁であり建っている場所でもある。
城壁が高くするということはそれだけ強固に作らねばならない。
戦闘に置いて高い方が有利というのはあらゆる歴史が証明している。
広く、とは内側である程度の食料生産ができなければならないからだ。
自給自足ができなければ篭城戦では城壁が意味をなさない。
「で、最後の入り口は一つは・・・・・・・・・」
「攻め込まれるところを一つに絞る、か?」
「正解だ。流石は悪鬼羅刹」
「しかし、それは戦争中の話だろうが」
「いつこの国が戦火に巻き込まれるかわからんぞ?」
「そんなことはあり得ない」
有り得ない事と絶対はこの世に存在しない。
俺の持論なのだが、まぁここで披露しても意味はなかろう。
「だろうな。本音を言うともっと慎ましやかでかつ細分まで拘った造形、というのが俺の好みでな。いやはや今までこの好みが分かる人間には会っていないのだよ。誠に残念だ」
やはり城というのはこう、見た目は地味なのだが堅牢。そして細部をよく見ると細やかな細工がしてあり、目立たず、自己主張せず、風景に解け合うようなものが好ましい。しかし、実に嘆かわしいのは最近の若い者共はやれ豪華にだ、煌びやかにだと全くわかっておらん。豪華なのは結構だがやり過ぎは駄目だ。必要最低限の装飾でいいのだというのに。あぁ、しかしやはり王の間や謁見室、そこに至るまでは品よく、質よく豪華にせねば国の面子が立ん。今まで見た中ではやはりヒッテンシュタット城が一番だったな。あの装飾は見事だった。しかし、コール城も中々のものだった。最前線にありながら忠実に最高の城の作り方をしていた。そしてなによりあの気品漂う見た目。ここが戦場であるということを深く自覚させながらもそれでいて見ほれるような造形美。ふむ、未だに残っているなら一度見に行ってみるか。
「あ、あのーシオン様?どうなさったのですか?さっきから難しい顔をして」
「何、ちょっとした考え事だ」
周りを見るとレイとセリアンは門の近くに立っていた。
「急ぎましょう。私の父は城の中で待っています」
「ああ」
シルヴィに急かされ急いで門に向かう。
「ふむ、これから何が待っているのやら」
「え?何か言いましたか?」
「これからお主の父に会うのが楽しみだ、といったんだ」
遅くなってしまいすいませんでした。
それにしても短いですね。
まだまだ修行が足りないようです