嵐の前の静けさ
ある日、クロエは庭でいつも通りゆっくり本を読む。
本と言っても魔道書だ。
こないだ母の部屋からこっそり魔道書を持って来ていたがついにバレてしまい「クロエちゃん、もしかして字が読めたの?」と、問いただされ《神の加護》のおかげで…と、適当に嘘を言ってしまったが天然の母は全く疑わなかった。
それもどうなんだ!?
でも普通に生活してても魔法って使うの限られるんだよねぇ
母がちょっと出かけてる間や、近所のおばちゃんといる時にこっそり部屋や裏庭で練習した魔法は限られており、《ファイヤー》《ファイヤーボール》《ウォーター》《ウォーターボール》などと、小規模なものしか練習出来ないので若干不満を感じでいた。
勿論《身体強化》、も本に載っており使ってみたが試す相手がいないし《浮遊》魔法も3歳児が空を飛んだ!なんて目撃情報が出てしまったらそりゃ大騒ぎだ…
「はぁーじゅっさいまでなんてながしゅぎるよ…」
ちなみに、通常の子供であれば早くても貴族の家で10歳から魔法学び、平民であれば学校に入学してからなので13歳からである。
あとは属性魔法は血筋などの関係もあり、親から学ぶ場合もある。それでも10歳ぐらいからだ。
つまり、クロエが異常なのだが本人は全く気付いていない。
ーパタン
本を閉じゆっくり天気のいい空を見上げていた。
今日はもうお昼寝でもしようかなぁ…
ん?
すると、空から1匹の鷹がクロエの元にやって来た。
鷹?
あ、なんか足に巻かれてる。
鷹の足に巻かれていた紙を外し鷹は役目が終わったのか直ぐに去ってしまった。
「なんだったんだりょ…」
取り敢えず紙を広げて見ると
ー拝啓、バカ息子とミアさんへー
クロエの誕生日にそっちに行く。
…
え、それだけ?
取り敢えず母にその手紙を見せると
「まぁ!おじぃちゃんからの手紙じゃない〜!クロエちゃんよかったわね!おじぃちゃんに会えるわよ〜!」
「おじー?」
「そうそう!確か最後にあったのは私達の結婚式以来だわ〜!終わったら狩に行くって言って直ぐに消えちゃったから。パパも昔はおじぃちゃんに鍛えられたらしいわよ〜」
へぇぇ
それからおじいちゃんの話を延々とする母。私が産まれた事や、《神の加護》の事など母はおじいちゃんに手紙を送っていたみたいだ。
それにしてもすっごい破天荒なおじいちゃんな気が…
「帰ったぞー!」
父が丁度帰って来て手には貰ったのか果物の入った紙袋を持っていた。
「あら!お帰りなさいっ」
「おう、今日宿屋の女将さんに帰りバッタリあってな、いつもご苦労さんって果物もらったぞ。」
「まあっそれは今度会ったらお礼言わなきゃね!あ、そうそう。見てみて?今度クロエのちゃんのお誕生日に貴方のお義父さん、来るみたいなの!今年は賑やかになりそうねっ!うふっ」
ードサッ
「な、なんだと…?」
サァッっと顔を青ざめた父はその手紙をみる。するとプルプルと震え出し最後には「ハハ…フハハ…」と変な声を出しながらフラフラしながら自室へ消えて行った。
「おとーしゃんどしたの?」
フラフラな父を見ながら母に尋ねる。
「う〜ん、もしかしたらあの事かしら?」
「あのこと?」
なんでも父と母の結婚式の時に酔っ払ってフンドシ姿になり、色んな女の人の尻を触りまくった挙句、それにキレた父ともみ合いになって2人とも血塗れになったらしい。
そりゃ酷いわ。
「まぁそれはそれは忘れられない結婚式だったわっ!ふふ。」
母よ、それでいいのか!
クロエはかなり不安になりながらも誕生日がくるのを待つのであった。




