8/38
8. 手紙
三年間は、驚くほどあっという間だった。
王弟殿下から任される仕事は増え、忙しくも充実した毎日を送っていた。
私は三年間、まともに領地へ帰っていない。
けれど、宮廷で働き、少しでも多く給金を得ること。
それが家族のためだと思っていた。
送ったお金で下働きを一人雇えたと、手紙には書いてあった。
夕食のスープに、以前より具材をたくさん入れられるようになったとも。
そんな手紙が届くたび、私は嬉しかった。
お母様のあかぎれた手を見なくて済む日が来ればいい。
お父様が古びた荷車ではなく、きちんとした馬車に乗れる日が来ればいい。
妹たちには、私のように貧しさを理由に何かを諦めてほしくない。
そう願いながら、私は働いた。
家族のために。




