48. 監査室(2)
悲しみに明け暮れることがなかったからか、妹たちは随分と逞しく育った。
今では領地経営も、安心して任せられる。
そうして私は、監査室へ復職することになった。
酔ったレオンハルト様がぽろりと漏らしていた。
私がいなくなってからの三年間で、監査室は再び書類の樹海と化しているらしい。
(前回は、綺麗に片付けたはずなんだけど……)
以前この部屋を訪れた時には、レオンハルト様が慌てて書類を隠していた。
でも今回は――。
久しぶりに、監査室の扉を開ける。
「…………」
本当に、樹海があった。
机の上にも。
棚にも。
床にも。
見事なまでに書類が積み上がっている。
(……三年で、ここまで育ったのね)
思わず、くすりと笑ってしまった。
「エレノア嬢。来てくれたんだね」
レオンハルト様は私の姿を見るなり、嬉しそうに机から立ち上がった。
そのまま私のもとへ歩いてくる。
そして当然のようにエスコートし、空いたままだった私の机まで案内してくれた。
椅子を引く。
「どうぞ」
「ありがとうございます」
私は、懐かしい椅子へ腰を下ろした。
初めてここへ来た時は、一か月も私の存在に気づいてもらえなかったのに。
今は、扉を開けただけで迎えに来てくれる。
(レオンハルト様も、随分変わられたわね)
※前回、レオンハルトが慌てて書類を隠した理由。
当時のエレノアは監査室の部外者だったためです。
しかも内容を理解できるエレノアに、機密性のある資料が転がった状態を見せるわけにはいきませんでした。




