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41. 王弟殿下登場
じりじりと、周囲の使用人たちから圧がかかる。
私は背筋を伸ばしたまま、どう切り抜けようかと考えていた。
その時だった。
ガチャ。
突然、扉が開いた。
「お、お待ちください、殿下!」
慌てた執事の声と共に部屋へ入ってきた人物を見て、私は目を見開いた。
「……王弟殿下?」
王弟殿下は私を一瞥すると、そのまま侯爵へ冷たい視線を向けた。
「エレノアは、私の婚約者だ」
思わず殿下を見上げた。
――はい?
けれど殿下は、私の反応などまるで気にも留めない。
「よもや、王家に楯突こうというおつもりではないだろうな?」
侯爵の顔から、さっと血の気が引いた。
「め、滅相もございません! ただ、亡き娘の忘れ形見が可愛く、久しぶりに顔を見たいと思っただけでございます」
「そうか」
王弟殿下は短く答えた。
「ならば、エレノア嬢はこのまま私が連れて帰る」
「は、はい。もちろんでございます」
殿下はそれ以上何も言わず、踵を返した。
「……え?」
私も行くの?
すると殿下は振り返り、当然のように私へ手を差し出した。
「行くぞ、エレノア」
「……はい」
よく分からないまま、その手を取る。
こうして私は、王弟殿下に連れられ、侯爵家を後にした。
――婚約者になった覚えは、まったくないのだけれど。




