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42. 噛み合わない会話
侯爵邸の前に停められていた、王家の紋章入りの馬車へ乗せられた。
向かいに腰掛けた王弟殿下が、何事もなかったかのように口を開く。
「エレノア。久しぶりだな。息災であったか」
「…………」
ちょっと待って。
思考が追いつかない。
「殿下。いつ、私が殿下の婚約者になったのでしょうか」
「レオンハルトと呼んでくれ」
今はそこじゃない。
「……レオンハルト殿下」
「殿下もいらない」
そこでもない。
私は一度、話を戻すことにした。
「先ほど婚約者のふりまでしていただいて、本当に助かりましたわ」
「ふりではない」
「…………はい?」
「婚約は、私とする」
「鉱山の契約でしたら、きちんと守ります。王弟殿下ご自身がお目付け役になる必要などございませんよ?」
レオンハルト殿下は、しばらく無言で私を見つめた。
(エレノアは何を言ってるんだ?)
「私は、王家のために来たのではない」
「はい」
「エレノア嬢と婚約しに来たのだ」
「…………」
私は眉間を押さえた。
まったく話が噛み合わない。
なぜだろう。
王弟殿下となら、三年前はあれほど仕事の話が通じたのに。
そして、何一つ解決しないまま。
なぜか王弟殿下まで当然のようについて来て、馬車は私の領地へと走っていった。




