↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『あなたの財布を溶かします!〜ざまぁから始まる贅沢生活〜』  作者:


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
40/50

40. 侯爵家(2)

侯爵家から、招待状が届いた。


『愛する娘の忘れ形見を、ぜひ我が家で引き取りたい。一度、顔を見せに来てほしい』


「…………」

確か侯爵家の親類には、宮廷に勤める官吏がいたはずだ。

王家と交わした鉱山の契約を知り、侯爵へ伝えたのだろう。

もし、一度目の人生がなかったなら。

私はこの手紙を握りしめ、泣いて喜んでいたかもしれない。

――お母様の家族が、ようやく私たちを受け入れてくれた。

そう信じて。


私は込み上げる怒りを押し隠し、指定された日に侯爵家を訪れた。


以前とは、まるで違った。


屋敷の前には何人もの使用人が並び、あの執事が恭しく扉を開ける。

「お待ちしておりました、お嬢様」

……前は、あんなに冷たい目をしていたくせに。


案内された部屋では、侯爵が満面の笑みで私を迎えた。

「やあ、よく来てくれた。こうして見ると、本当に娘の面影があるな」

「さあ、座ってくれ」

丁寧に勧められるまま、ソファへ腰を下ろす。

すぐに紅茶が運ばれてきた。

香りだけで分かる。

かなり上等な茶葉だ。


「さて、まずは君の名前を教えてくれるかい?」

優しく、穏やかな声だった。

「エレノア・ハワードでございます」

軽く会釈する。

「エレノアか。いい名前だ」

侯爵は満足そうに頷いた。

「それで、いつ我が家へ移って来られる?」

「お断りいたします」

「…………何?」

「こちらへ移るつもりはございません」

侯爵の笑みが、わずかに固まった。


「領地のことが心配なのだろう? それなら我が家の縁者に継がせればいい。君は安心して侯爵家から嫁いでいけばいい」


少し間を置き、さらに続ける。

「妹たちにも、もちろん相応の教育を受けさせよう」

「ありがたいお話ではございますが、お断りいたします」

今度は、侯爵の笑みが完全に消えた。


「……侯爵家を敵に回せば、どうなるか分かっているのか?」

「それでも、お断りいたします」

部屋の空気が、すっと冷えた。


周囲に控えていた使用人たちの視線が、一斉に私へ向けられる。

「…………」


しまった。

騎士の方について来てもらえば良かった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。