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32. 本当は興味なかったんです。
私は、宝石やドレスにもともと興味があったわけではない。
それでも監査室にいた頃、嫌でも価値を見分けられるようになった。
税の代わりに納められる品や、滞納によって差し押さえられた財産。
宝石。
装飾品。
高級な生地――。
それらを扱っているうちに、
これは貴重な品。
これは、この程度の値段。
そんなことが、自然に分かるようになってしまったのだ。
何しろ、偽物を掴まされるわけにはいかない。
とりわけ厄介なのは、財産をたっぷり持っているくせに、平然とした顔で滞納した代金の代わりとして、価値の低い品を差し出してくる商人たちだった。
「こちらは大変貴重な品でして」
などと言われても、鵜呑みにはできない。
こちらも国の税を預かる身。
一つ一つ、本物か。
どれほどの価値があるのか。
きちんと見極めなければならなかった。
毎日が、真剣勝負だった。
その経験がまさか――
男の財布を溶かすために役立つ日が来るとは、思ってもみなかったけれど。




