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30.あなたの財布を溶かします。(2)
次に連れて行かれたのは、街一番の高級服飾店だった。
(……まじか。勘弁してくれ)
嫌な予感しかしない。
そして、その予感は見事に当たった。
エレノアは店内を見て回った末、よりによって一際高価な生地の前で足を止めた。
「まあ、素敵……」
(やめろ。そこを見るな)
しかし、願いは届かなかった。
店員がすかさず近寄ってくる。
「さすがお目が高い、お嬢様。こちらは滅多に入荷しない、大変貴重な生地でございます」
「…………」
また聞いたことのある台詞だ。
エレノアが嬉しそうにこちらを見る。
店員たちも、期待に満ちた目で俺を見る。
「…………」
また見たことのある光景だ。
俺はしばらく黙ったあと――
また、聞き覚えのある台詞を口にした。
「……エレノアに似合う。これで仕立ててくれ」
「ありがとうございます!」
店員たちの声が弾んだ。




