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3.エレノア
貧しさから抜け出すため、私は勉強した。
我が家には、家庭教師を雇う余裕などない。
お父様は月に一度ほど、山道を越えて隣領のグレンヴィル伯爵家へ私を連れて行ってくれた。
伯爵とお父様は旧知の仲で、娘の私にもよくしてくださった。
初めて訪れた時は驚いた。
お城のような屋敷。
壁を埋め尽くすほどの本。
私は抱えられるだけ本を借り、読み終わればまた返しに行った。
そうして独学を続け、国一番の学園へ特待生として入学することができた。
けれど、学園へ入ったからといって、貧しさが消えるわけではない。
「貧乏子爵家」
「また本を読んでいるわ。本の虫ね」
揶揄する声にも、私は顔を上げなかった。
反論する時間があるなら、一頁でも多く読んだ方がいい。
家族のために勉強する。
それが、私のすべてだった。
私は首席で学園を卒業し、官吏採用試験にも合格した。
やがて、王弟殿下直属の補佐官として働くことになった。




