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21. 時戻り
ふと気がつくと、見覚えのある光景が広がっていた。
降りしきる雨。
そして、並んだ二つの棺。
「……どうして」
頭の奥に鋭い痛みが走る。
次の瞬間、私はその場に崩れ落ちた。
◇
目を開けると、見慣れた天井があった。
「お姉様……大丈夫?」
心配そうに私の顔を覗き込んでいるのは、二人の妹だった。
「ここは……」
身体を起こそうとした瞬間、記憶が一気に蘇る。
外れた車輪。
宙へ投げ出された身体。
迫ってきた岩肌。
「私……死んだんじゃ……」
「そんな悲しいこと言わないで!」
妹の目から、ぽろぽろと涙がこぼれた。
「ただでさえ、お父様とお母様が亡くなったばかりなのに……お姉様までいなくなったら、私たち……」
あれは夢だったのかしら。
それとも、今が夢なのかしら。
だって、どちらにも悲しみしかない。
両親は死んでしまった。
カイル様には裏切られた。
どうして私は、死ぬことができなかったのかしら。
ただ――。
妹たちは、温かい。
私も生きている。
まだ、生きていたい。
私、妹たちのことを忘れていたんだ。
こんなに温かいのに。
「……ごめんなさい」
私は二人を、もう一度強く抱きしめた。
私たち三姉妹は互いを抱きしめたまま、ただ泣き続けた。




