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22. 黒歴史
ひとしきり泣いたあと。
ふと、別の記憶が頭をよぎった。
『うふふ……ありがとう』
「…………」
顔が、一気に熱くなった。
「――ギャーーーッ!」
「お、お姉様!?」
何よ、あの「うふふ……」って!
気持ち悪い!
なんで悲劇のヒロインよろしくみたいな顔をして、カイルにしなだれてるのよ、私!
『もう大丈夫。僕がいるから』
『うふふ……ありがとう』
「嫌ぁぁぁ! やめて! 思い出さないで、私!」
完全にお花畑じゃない。
まさに黒歴史。
私は布団に顔を埋め、ばたばたと足を動かした。
……待って。
その時、別の記憶が蘇った。
帰り道。
突然外れた車輪。
宙へ投げ出された身体。
迫ってきた岩肌。
私はゆっくりと動きを止めた。
あれは本当に、ただの事故だったの?
カイルなら――。
「…………」
布団から顔を上げる。
「許さない」
さっきまで羞恥で熱かった顔が、今度は別の熱を帯びていく。
「絶対に、許さないんだから」
あれは確かに黒歴史。
黒歴史再びはお断りよ!




