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ポイント活用で豊かな異世界ライフ  作者: 朝倉瑞穂
【第1章】

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18/23

第18話 お家騒動勃発? - すったもんだが多すぎる

なかなかビギンの街に着きませんが、次話では必ず着くように頑張ります。

例え、文字数が1万文字を超えても........


2026.4.12 最後の方の ホルト を ホルス に修正

 ソルグスが休んでいる木陰で、スカーレット嬢達を引き合わせた。

「こちらは、ライリー辺境伯の騎士団で従士をされていたソルグスさんです。こちらは、スカーレット・ゲッター嬢と、そのお付きのアルトさんです。」

「ゲッターというと、ビギン代官のゲッター男爵の?」

「そうです。ゲッター男爵令嬢です。私は、男爵様の執事で、騎士爵をいただいているアルト・モーツといいます」

 ソルグスはスクッと立ち上がり、

「これは失礼した。私は、ライリー辺境伯の騎士団で従士をしていたソルグスと申します。従士を辞退して、ビギンの街で冒険者でもしてのんびり暮らそうと思っております。以後、お見知りおき願います。」

「こちらこそ、馬をお貸し頂けるとのこと、感謝します」

「ところで、何故お嬢様がこんなところに騎士も連れずに?」

「それは......」

 と、また、スカーレット嬢が口を出しそうになった。アルトじいやに任せると、話が長くなりそうなので、僕が掻い摘まんでこれまでの流れを説明した。


「とんだ災難でしたなあ。しかし、ゴブリンの群れを撃退するとは、ヒカル殿は、若いのに大したものだ。盗賊の親玉を倒した時も、スピードといい、短い剣の捌きといい、Dランク、いやそれ以上かもしれない。ワシは、ビギンの街で冒険者をやるつもりだが、一緒にパーティーを組まないか?」

「いやいや、ヒカル殿には、従士としてお嬢様の警護をお願いしようと思っている。いずれは、私の後任として、ゲッター家を支える存在になって貰いたいのだが」

 アルトじいやが、妙に僕のことを持ち上げると思っていたのだが、そういう魂胆があったのか。ちょっと、力を見せすぎたな。少し自重した方が良いかな。

「すみません、僕のことを評価いただいているのは有り難いのですが、買い被りすぎです。僕が目指しているのは錬金術師ですし、ご希望にはお応えできません。それに、先行きどうなるか分かりませんが、いろんなところも見てみたいので、ビギンの街には、そう長居はしないと思います。」

 こう言うと、スカーレット嬢が少し残念そうな顔をした。よっぽど、僕に護衛役を期待しているのだろうか。


「そりゃそうだ、ヒカル殿が言うとおり、先行きは、どうなるか分からないからのう。そんなことより、今は、やるべきことをやって、出発しよう」

「『やるべきこと』、というのは?」 と僕が聞くと、

「そりゃ、盗賊の持ち物をいただくことと、首を冒険者ギルドに持ち帰ることに決まっているじゃないか」

「そんな、盗賊といえども、もう死んでいるのですよ。なにも、そこまでしなくても。」 

 スカーレット嬢が憤然として抗議する。さすが、ビギンの聖女様。

「そうは言っても、お嬢様、盗賊を討伐した者が、その持ち物を自分の物にすることは、国が法で許しております。そうした方が、盗賊の討伐率が上がるからです。それに、無理矢理、略奪された物の中には、持ち主が取り戻したいと願っている大切な物もあります。例えば、形見になる物とか。そう言った物を、ギルドを通してお返しすることもできます。まんざらひどい話でもないかと思います。盗賊の首についても、ギルドに持って行って確認して貰わなければ、どの盗賊が討伐されたのかも分からないことになりますし、報奨金も貰えません」

 ソルグスの説明を聞いて、スカーレット嬢は、黙って俯いている。僕だって、お嬢様の気持ちは分かる。でも、この国の現実は、ソルグスの言うとおりなのだろう。


「お嬢様とアルト殿は、木の向こうにいてください。盗賊のことは、私とヒカル殿でやります。」

 やっぱり、僕も手を出さなければいけないのか。今日初めて人を殺めたばかりなのに、きつい話だな。

「ヒカル殿、そなたが肩からかけているのは、魔法鞄かな」

「はい。容量は多くありませんが」

「ワシの魔法鞄は荷物がいっぱいで、空きが少ないから、盗賊の物は、そなたの鞄に入れてくれ。衣服以外はできるだけ入れて欲しい。特に、剣とか指輪、首飾りの類いは、返して欲しい人がいると思う。」


 とりあえず、僕が殺めた盗賊から始める。腰のポーチは所有権が僕に移っているが、中身を確認する暇もないので、取りあえず、マイミー鞄経由で[収納1]に放り込んだ。ほかの物も、悩んでもしょうがないので、死んだ人のことは考えず、淡々と[収納1]に放り込んだ。すぐに終わったので、2人目に取りかかった。最初に、大きめの背負い袋に手をかけた時、またもや『魔法鞄の新しい所有者になりました。』という声が流れた。これで魔法鞄二つ持ち?ダミーのマイミー鞄で十分なんだけどな。所有者の変更というのはできるのだろうか。

 背負い袋は、マイミー鞄の口より大きいので、入れる振りをすることができない。それ以外は、すべて[収納1]に入れた。次は3人目だ。既にソルグスが、持ち物をまとめていたので、あっさりと片付いた。


「さて、次は首を刎ねるとしよう」とソルグスが言った時、ひらめいた。

「盗賊が持っていた背負い袋が魔法鞄なんですが、死体ごと入るなら、首を刎ねなくても良いんですか」

「容量が余っているのなら、そうしても良いが。そうか、魔法鞄か。ヒカル殿が所有者になったのだな。街について、落ち着いたら、鞄の中身についても、分配が必要だな」

「魔法鞄の所有者を変えることはできるんですか」

「所有者自身が持ち込んだら、少しは金を取られるが、工房ギルドで変えてくれる」

 背負い袋の口は大きく開いた。容量も余裕があったのか、3人の死体を楽に入れることができた。嫌なものを見ずに済んで、ホッとした。それから、袋を背負い、マイミー鞄を肩に掛け、スカーレット嬢のところへ戻った。


 ソルグスは、馬の鞍に付けたサドルバッグから、1冊の本を取り出し、僕に差し出した。本は、8インチタブレットくらいのサイズで、表紙には『生活魔法』と書かれていた。

「ワシに使ったハイヒールポーションの前払いの代わりだ。10万モグはすると思う。残りは、盗賊討伐の報酬と、盗賊の持ち物の売却代から支払う」

「了解です。そろそろ、出発しましょう。日が暮れる前に街に着きたいので」

 時間を見ると、午後1時半。何事もなければ、十分に間に合う時間だ。


 約束どおり、スカーレット嬢が馬に乗り、アルトじいやが手綱をとった。

 聖女が馬に乗り、3人の男達が付き従って、草原を行く。こんなドラマ、再放送で見たことあるぞ!


 歩きながら、ソルグスが馬越しに話しかけてきた。

「なあ、ヒカル殿。ゴブリンが襲ってきた時、冒険者だけが倒れていて、騎士、従士がいなくなったのは、おかしくないか」

「と言いますと」

「ご主人様のお嬢様の護衛だぞ、騎士や従士は、自分の命を落としてでも、お嬢様を守り抜くんじゃないか。少なくとも、おれが従士だった時は、そうしていたぞ。冒険者が何もできずにやられたのも不思議だ。アルト殿、冒険者のランクはどうだった。」

「全員、Dランクだと聞いています」

「Dランクが5人もいたら、ゴブリンの20~30匹は倒しているだろうがな。おまけに騎士、従士がいたんだから、ゴブリンなど軽く撃退しているだろうよ」

「ソルグスさんは何が言いたいのですか。ホルスは副団長も務める立派な人です。弟のドゥーリルにも剣術を教えてくれている優しい人です。きっと、何か理由があるはずです」

「スパーク準男爵には、お嬢さんがいるのでは」

「ええ、仲良くしていただいているハープさんがいます。」

「ひょっとして、弟君と同じような年では」

「あなたは、ハープのことまで悪く言うのですか。もう、この話はしないでください。」

 お嬢様は、それっきり、俯いて口を閉じてしまった。ソルグスは、僕の隣に寄ってきて、小声で話を続けた。

「サクラ王国では、貴族の醜い跡目争いを嫌って、跡継ぎは、男女にかかわらず長子と決めている。ビギンではスカーレット嬢だ。長子が死んだ場合、跡継ぎは次子となる。ドゥーリル君だな。さらに、跡継ぎがいなくなった場合は、王国が不審な点が無かったか調査し、次の後継者を決定するんじゃ。スカーレット嬢が亡くなった後、懐柔しているドゥーリル君と娘のハープ嬢を結婚させれば、ビギンは、騎士団を握っているスパーク準男爵の思いのままだ。通常の次子の後継なので、王国も怪しむことはない」

「そこまで計算しているとは思えませんが。深読みし過ぎでは」

「跡継ぎのところに、我が子を送り込むのは、良くある話なんじゃ。おそらく、スパーク準男爵には、息子がいないんだろうな」


 僕たちは、しばらく黙って歩いていたが、気になってスカーレット嬢に、それとなく聞いてみた。

「お嬢様は、ハープ嬢と仲良しなんですね」

「そうよ。お父様、お母様が、1年の半分は領都にいるので、私とドゥーリルは、毎日のように叔父様の家に行って、ハープと一緒に遊んでいたの。私は、大きくなったので、たまにしか行っていないけれど、ドゥーリルは、ホルス副団長が叔父様の家に居ることもあって、しょっちゅう剣を習いに行っているわ。叔父様も男の子がいないので、ドゥーリルを自分の子供のように可愛がっているの。そんな人たちを悪く言うなんて」

 なんとなく、ソルグスの読みが当たっているような気がした。絶対に巻き込まれないようにしよう。


 僕たちは、しばらく無言で進んで言った。やることと言えば、時々襲ってくるホーンラビットを金剛杖で打ち据えて、[収納1]へ入れるだけだ。

 午後3時頃だろうか、ソルグスが口を開いた。

「そろそろ、休憩しよう。馬も疲れているようだ。あの木陰で一休みだ」


 スカーレット嬢とソルグスは、少し離れて座っている。僕は、スカーレット嬢達にバナの実を渡してから、ソルグスの横に座った。

 ソルグスがベストのポケットから丸いものを取り出していた。

「それは、時計ですか?」

「ああ、そうだ。作りがしっかりしているから高かったぞ」

「少し、見せて貰えませんか」

 そう言って、時計を借りた。蓋の付いた懐中時計だ。開くと、文字盤は1から12までの数字が記されており短針と長針が回っている。針は、僕の時計と同じ3時を指している。間違いなく、1日24時間制だ。良かった、これで混乱せずに済む。懐中時計を返して、更にソルグスへたずねた。

「僕のこの杖、どのくらいの長さがあると思います」

「1メード半くらいだな」

 僕の金剛杖は、1m50cmで作ったので、メード=メートルのことだろうか。

「何故、そんなことを聞くんだ?」

「僕の国と同じ単位を使っているのか気になったので」

「この大陸では、時間、長さ、重さ、貨幣は同じもので統一されている。そんなことも知らなかったのか? それとも違う大陸から来たのか?」

「国と言っても、小さな島の出身なので、知らないことがいっぱいあるんです」

 これで納得してくれたのかは、分からないが、とりあえず、ソルグスにもバナの実を渡して、僕も食べ始めた。


 食べながら、さっき貰った「生活魔法」の本を開いた。開いた途端、

「生活魔法を修得しますか?」 と、声が聞こえてきた。迷わず「はい」と口に出して答えた。いきなりだった。いきなり生活魔法が、頭の中にズーンと入ってきた。2秒ほどで入ってくるのが止まり、手に持っていた本が、掻き消えた。燃えて無くなるわけではなく、砂になってこぼれ落ちるでもなく。フッと消えたんだ。

「オワッ」 と思わず叫び声をあげ、左手に持ったバナナを落とした。それを見たソルグスが、ニヤニヤしながら言った。

「ヒカル殿は、魔法を覚えるのは初めだな。生活魔法は良いぞ。覚えたてでも直ぐに使えるからな。ただし、威力が上がることはないがな。他の魔法は、そうはいかないぞ。覚えても使えるようになるまで、訓練が必要だ。訓練が大変だから、覚えても使えない奴もいる。ワシみたいにな。」

 失礼ながら、ソルグスのステータスを[鑑定2]した。


名前[ソルグス]、種族[人間]、年齢[50歳]、出身地[サクラ王国]

称号[---]、職業[無職、冒険者Cランク相当]、レベル[7]

HP[240/320]、MP[22/25]

ス キ ル:剣術(中級)[ 18]、生活魔法[ 10]

      火魔法(初級)[  8]

ステータス:STR(筋力)[ 42] VIT(体力)[ 33]

      DEX(器用)[ 39] INT(知力)[ 39]

      AGI(敏捷)[ 28]


 Cランク相当でレベル7、剣術スキルも中級と高い。ただし、火魔法スキルは残念な限りだ。まてよ、これって僕が、火魔法の魔法書を手に入れたら、訓練の必要なく、火魔法(中級)[100]になるってこと。ポイント万歳!


 バナの実のおかわりが必要か、スカーレット嬢に聞きにいったが、魔法修得のことで、僕の顔がニヤニヤしていたのを見て、

「何か嬉しいことがあったのですか」 と聞いてきた。

「生活魔法を修得できたので、嬉しくなって」 と適当にごまかすと、

「生活魔法は便利ですね。今も水を出して飲んでいたのです。」

「水筒の水を追加するのを忘れていました。済みません」

「どう致しまして。ヒカル様からいただいた水ほどではありませんが、魔法の水も美味しいですのよ。それはともかく、ヒカル様、魔法修得おめでとうございます」


 そんな和やかな雰囲気を引き裂くように、僕らを目がけて、4本のナイフが飛んできた。僕に飛んできたナイフをかわしながら、スカーレット嬢に飛んできたナイフを金剛杖でたたき落とした。

 ソルグスは、かわしたようだが、アルトじいやは、胸にナイフが刺さっていた。ポーションをかけている暇はない。僕は躊躇せず、アルトじいやに向けてハイヒールを唱えた。アルトじいやの胸の傷が塞がり、ナイフがポトリと落ちた。アルトじいやは、何が起こったか分からないようだが、スカーレット嬢がビックリした顔でこちらを見ていた。回復スキルを持っている者として、僕が何をやったのか気付いたみたいだ。


「おやおや、スカーレットお嬢様、こんな所へいらっしゃったのですか」

「ホルス、助けに来てくれたの!」

 そう言って、駆け寄ろうとしたスカーレット嬢の腕をつかまえ引き戻した。

「助けに来た者が、ナイフなど投げてきません」

「てっきりゴブリンに殺されたと思ったが、おまえ達が助けたのか。」

「ホルス、何故? どうしてこんなことを?」

「ビギンの街をスパーク様のものにするためだよ。さっさとゴブリンに殺されていれば、怪しまれず事が進んだのに。こうなったら、そこの2人が、お嬢様とアルト殿を殺したことにして、我々が、2人を成敗してやる」


 木の陰や、背の高い草むらから、ホルスを含めて8人の男達が姿を現した。これが、例の騎士2名と従士6名か。

 スカーレット嬢の前に、アルトじいやとソルグスが立ち、その横で、僕が苦無を手にする。印籠があれば、確実に勝てそうだが、厳しい戦いになりそうだ。

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