表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ポイント活用で豊かな異世界ライフ  作者: 朝倉瑞穂
【第1章】

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

13/23

第13話 2日目の終わり - 猿も木から引き摺り下ろされる

読んでいただきありがとうございます。

次の投稿も、できあがり次第ということでご了承ねがいます。

次回、ヒカルは、朝一番に大変なことを思い出します。

「1日歩けば森が終わる」と、コフスは言っていた。今は午後2時だから、明日の昼頃には、森を出ることができそうだ。[神足]を使えば、今日中に出られると思うが、素材集めもしたいし、バナの実も気になる。と言うより是非食べてみたい。ゆっくりと寄り道しながら歩くことにした。

 エクストラ系ポーションの素材となるチャオウの花、ハピネの花、そしてお楽しみのバナの実を[素材調査]しながら北へと進んでいった。

 チャオウの花、ハピネの花は、それぞれサラマンダーの血、コカトリスの血があれば、エクストラ系ポーションを作ることができる。ハイポーションの価格から考えても高値が想像できるので、できるだけ沢山、採取しようと思ったが、なかなか見つからない。これまで採取した分と併せて、チャオウの花が10本、ハピネの花が7本しか集まっていない。

[素材調査]のスキルがあるから、これだけ見つけることができた。えんじ色と濃紺色の小さな花なので、薄暗い森の中では[素材調査]スキルがない者には見つけにくいだろう。

 素材が手に入りにくいエクストラ系ポーションが高額になるのは分かるが、そこいらに沢山ある薬草と清水だけで作るハイポーションが、なぜあんなに高いのだろう。

 この時の僕は、ステータスの高さがスキルに与える影響について、まだ気付いていなかった。


 しばらく進むと、20m先に、またもや黄色と黒の縞模様。今度は2頭だ。直ぐに[猿飛]を発動。こちらに向かってくるトラに向かって、苦無を[投擲」。1頭の眉間に命中したが、もう1頭にはかわされ、目の前に迫ったきた。その瞬間、僕はトラの横に移動して突進をかわし、直後に飛び乗った。トラは前後に跳ねて振り落とそうとする。いくら[猿飛]発動中でも振り落とされたら痛そうだ。静かにして貰おうと苦無を手にしたが、ふと、「損傷の少ない毛皮は、インテリア用として高額取引される」という[鑑定]結果を思い出し、苦無をやめて、[収納2]を使うことにした。

 [収納2]を唱えたら、トラがいきなり姿を消したため、僕は跨がった姿勢のまま、ストンと地面に尻餅をついた。結局痛い思いをした。念のためヒールポーションを飲んでから、[収納2]をマイナス30℃に設定した。

 1頭の死体と、苦無を回収し、清水をカップ1杯飲み干した。2~3頭のフォレストタイガーであれば、苦も無く倒すことができそうだ。しかし、僕の冒険者ランクはどの程度なのだろうか。まあ、いくら実力があっても、異世界(小説)の話では、FかGランク始まりに決まっているけどね。


 先に進むにつれて、ホーンラビット、フォレストウルフ、ラージフォレストウルフとの遭遇率が増えてきた。だんだん慣れてきたので、忍刀は抜かず、鞘とこじり(鞘尻)でさばくだけで倒している。倒すそばから[収納1]に放り込んでいく。一度に10匹のフォレストウルフが襲ってきた時は、少しあせったが、[猿飛]の敵ではなかった。


 しばらくして、[収納2]からフォレストタイガーを取り出した。トラは、寒さに強いと言われるが、異世界のトラも同じようで、死んではいない。そのかわり、寒さに凍えて蹲っている。忍刀を抜いて近づいたが、動こうとせず、こちらをじっと見ている。助けてくださいという目で見ている。

 殺せないよ。牙をむいて襲ってくる魔物ならともかく、見た目は丸っきり地球のトラだよ。それが助けてくださいって目をウルウルしているんだよ。もう一度[収納2]に入れて、温度を20℃に設定しなおした。サービスで、フォレストウルフの肉を2匹分放り込んだ。


 魔物との遭遇率が上がったのは、昨日と同様に、魔物の好む果物が近くにあるからだろう。そう思っていると、行先の方から、バナナの甘い香りがしてきた。先を急ぐと、突然、目の前が開けて空き地が現れた。そして、その先にバナナの木が立っていた。


 それは、不思議なというより、異様な光景だった。まず、10m先のバナナの木までの空き地には、バナナの葉と皮が敷き詰められており、完熟バナナの強烈な匂いが漂っていた。10匹ほどのホーンラビットが、その皮を食べている。

 バナナの木は10本立っているが、アポの木のような幹と枝をしている。8m程の高さまでの枝には、1本に付き50房ほどのバナナの房が成り下がっており、1房20~30本のバナナが実っている。8m以上にはバナナの房は一切ない。そこには1本につき30匹程の猿が、歯をむき出しにしながら、キャッキャとうるさいほど騒いでいた。そして、中央の木にはゴリラのような猿が1頭いた。鋭い目でこちらを睨んでいる。

 きっと、猿たちが、フォレストワームの口が届かない8m以上のバナナは食べ尽くしているのだろう。きれいに、高さ8mのバナナの実の境界線ができている。

 それよりも何よりも、この森にバナナの実がなり、猿がいるのが異様だ。僕が転移してきた昨日は、3月14日だった。春近しとはいえ、「寒の戻り」で冬の寒さだった。そしてこの世界も同じような気温だ。それなのに、トロピカルフルーツのバナナが完熟しており、「寒いヨーロッパや北アメリカには野生の猿はいない」

と言われるように寒さに弱い猿が、元気にはしゃいでいる。これが異世界と言うものか。


 そんなことを考えながら見ていると、出ましたフォレストワーム。それも2匹!暢気にバナナの皮を食べているホーンラビットに襲いかかり、次々に飲み込んでいる。そしてその隙を狙って、猿がバナナをさっと取っていく。猿は、バナナを食べると、その皮を地面にまき散らしている。成る程、こうしてまたホーンラビットを引き寄せ、フォレストワームが襲いかかる隙に、またバナナを取るということの繰り返しか。さすが猿、賢い。

 感心ばかりもしていられない。まずは、フォレストワームから撃退だ。これは「毒肉作戦」で行くとして、問題は、倒した後に、猿が襲ってくる可能性を考えないといけない。対策を考える前に、モンキーとエイプを[鑑定3]した。


[種別 (フォレストモンキー)、ランク(G)、出生地(ビギンの森)、スキル(引っ掻き)]

[種別 (フォレストエイプ)、ランク(E)、出生地(ビギンの森)、スキル(噛み付き、咆哮、統率)]


 モンキー単体なら楽に倒せるが、300匹程いるから、一辺に襲ってきたら厄介だ。エイプの方は1頭だけだからそんなに苦労はしない。[統率]というスキルを持っているが、このスキルでモンキーを統率しているのであれば、エイプを押さえてしまえば、モンキーの攻略も楽になるだろう。猿には[猿飛]で対応だ。


 まずは、フォレストワームから。朝から作った毒肉が3つ余っていたので、2つをバナナの木めがけて放った。2頭のフォレストワームは直ぐに反応し、毒肉に食らいついた。そして直ぐに、穴へ戻った。待つこと20秒、昨日は10秒程度で、もがき出てきたのだが。更に20秒、反応がない。どうしたものかと、残り1つの毒肉を放った。2頭のフォレストワームは同時に顔を出し、争いの上、1頭が飲み込んだ。その際、[鑑定3]をかけた。なんと2頭とも[毒耐性]のスキルを持っていた。個体毎に持つスキルが違うとは...... 良く考えれば、人間だって、それぞれに持つスキルは違うから、そういうことがあっても、可笑しくはないのか。


「毒肉作戦」は通用しないことが分かったが、次の作戦は無い。ただ、昨日は硬い皮に石槍が弾かれた。今回は、ミスリル並みに強化された鉄の木の槍がある。この槍が通らなければ、魔法攻撃を持たない僕には為す術がない。とりあえず、チャレンジだ。

 6つ程フォレストウルフの肉をワームに向けて放った。ワームは直ぐに出てきて肉に食らいついている。そこにめがけて、ミスリル並みの槍を連続して[投擲]する。槍は見事に、2頭のワームを刺し貫いた。藻掻いているワームへ、2度、3度と槍を突き刺す。ワームは次第に動かなくなった。


 さて、ここからが本番だ。猿は、ワームが死んだので手足を動かしてはしゃいでいる。モンキーダンスを踊っているかのようだ。僕は1本のバナナの木に近づき、バナナの実を全部[収納1]へ放り込んだ。それを見ていた猿は、ギャアギャア騒ぎだした。2本目のバナナの木のバナナを回収した時、猿が集団でこちらの方へ向かってきた。バナナを取られるのを阻止しようとでも思っているのか。

 僕は[猿飛]を発動し、一気にボスエイプの元へ駆け上った。そして、忍刀に付けているさげおをボスエイプの身体に巻き付け、木の根元へ引き摺りおろした。忍刀を突きつけると、ボスエイプは、「ウゴギャギャ」と大きな声で咆哮した。猿は、その声の方を一斉に振り向いた。そして、捕獲されたボスを見て、動きが止まり、静かになった。

 その隙に、僕は、3本目、4本目、5本目と、次々にバナナを回収した。5本目のバナナが消えたとき、猿の間から「ウキウキ」と言う声がさざ波の様にひろがった。猿を抑えておくのは、このあたりが限界だと思った僕は、槍と2頭のフォレストワームの死体を[収納]し、「今日は、この辺にしといてやる」と一度言ってみたかった捨て台詞をボスエイプにかけ、解放してやった。速やかに撤収する僕の背中越しに、バナナを奪い合う猿たちの賑やかな声が聞こえてきた。

 後々のことを考えて、魔物は倒せるときに倒すべきではと批判する人がいるかも知れないが、だって猿だよ、猿好きの僕としては、傷つけることなんかできないよ。ホーンラビットだって、肉が不味くて、角さえなかったら、あえて、倒してはいないと思う。


 猿たちの声がかすかに聞こえる所まで歩いて、ようやく横倒しになった木の上に腰をかけた。

 まずは、バナナの[鑑定]だ。


[名称(バナの実)、用途(食用。栄養価が高く、森の魔素を取り込んでおり、若干の体力を回復するので、「森のおやつ」と呼ばれている。なお、皮の部分からとれる少量の油はスリップ効果が高く、「スリップ油」を作成できる。)]


 アポの実の「魔物寄せ」といい、バナの実の「スリップ油」といい、なかなか興味深いが、まずは実食。

 うーん。美味い。美味いとしか言いようがない。今まで食べたバナナの中で、一番美味しかったバナナを上回る。少し固めの果肉が、噛みしめるほどとろけるように柔らかくなり、そして甘さを増していき、喉をスーッと通っていく。

 250房ほど[収納]したので、1房20本として5000本。当面、毎日1本は楽しめる。


 次は、フォレストワームだ。[投擲]に使った鉄の木の槍については、さすがミスリル級、刃こぼれ1つしていない。

 死体からは、通常の素材の他、フォレストワームが食べた魔物の魔石を、併せて、緑魔石中86個、緑魔石小2210個、青魔石小168個、銀魔石小30個を手に入れた。ん?銀魔石?確か......

 折りたたみ式の五徳ナイフを[強化付与]しようとした時、銀魔石がないからできなかったことを思い出した。

 五徳ナイフを持って[強化付与]を唱えたら、「銀魔石小を2個使用します。5得ナイフが強化されました」と声が流れた。[鑑定]してみると


[名称(鉄の木と未知の金属から作られた多機能ナイフ)、状態(銀魔石で強化されており、全ての属性に抵抗力あり。強度は、ミスリルを超える)、価値(未知の金属を使用しており、機能、強度を考慮すれば国宝級の一品)]


 こっ、こっ、国宝級! S30Vのサバイバルカード、ポケットに10枚ほど入れておけば良かった。


 時計を見ると、午後4時半。今からジビエの準備をしていたら、遅くなってしまう。今日の晩ご飯もアポの実と清水で済ませよう。この2日間、完全菜食のスーパーヤサイ人になってしまった。


 猿の声が聞こえなくなるほど遠く離れたところで、寝床に手頃な木を探した。

 10mの高さに太い2本の枝が張りだしている木を見つけた。近くの木から板を作り出し、2本の枝に渡した。大人1人が寝るには十分なスペースができた。今夜も寒さが予想されるので、板全面に、ホーンラビットの毛皮を敷き詰めた。そんなに臭くない。左手首と枝を紐で結びつけ、ラージフォレストウルフの毛皮を被った。相変わらず、少し臭い。


 さて、寝る前に一仕事。明日には「ビギンの街」へ着く予定だが、[鑑定]スキルを持った人が、僕のステータスを知ると、変な騒動になりかねない。僕の[鑑定]スキルには、[隠ぺい]、[改変]と言うのがあるので、少し、偽装をしようと思う。とりあえず、現在のステータスを呼び出した。


名前[ひかる・てらだ]、種族[人間]、年齢[19歳]

称号[転移者]、職業[忍者、錬金術師]、レベル[5]

HP[190/200]、MP[188/200]

スキル:ポイント[9204]

 収 納(中級)[100]   →

 鑑 定(中級)[100]   →

 回 復(中級)[100]   →

 錬金術(中級)[100]   →

 忍 術(上忍)[100]   →

ステータス:ポイント[9004]

 STR(筋力)[200]△

 VIT(体力)[200]△

 DEX(器用)[200]△

 INT(知力)[200]△

 AGI(敏捷)[200]△


 職業の薬師が錬金術師に変わっている。レベルが5になっている。HPとMPの最大値が200になっている。割り振りポイントが1増えている。そしてステータスに△が復活した。やったー!

 直ぐに、それぞれのステータスを増やしたが、どれも+100した時点で△は消えた。少ししか増やせなかったけれど、△が復活することが分かって嬉しい。早く、スキルの△も復活して欲しい。

 次は、ステータスの偽装だ。どのくらいステータスを抑えれば分からないので、不本意ではあるが、年齢の近い、ラムスを参考にして、偽装した。


名前[ヒカル]、種族[人間]、年齢[19歳]、出身地[サクラ王国]

称号[---]、職業[錬金術師]、レベル[2]

HP[100/100]、MP[100/100]

ス キ ル:錬金術(初級)[ 30]

ステータス:STR(筋力)[ 15] VIT(体力)[ 15]

      DEX(器用)[ 25] INT(知力)[ 25]

      AGI(敏捷)[ 10]


 いくらなんでも、INTが10は耐えられない。ラムス級の大馬鹿者になってしまう。DEXとINTを増やした代わりに、STRとVITを下げておいた。これで、ひ弱な技術者扱いにしてくれるだろう。


 今日も1日いろいろな事があった。まだ2日間しかいないのに、この世界に随分となれた気がする。マイミーさんは美人だったな。あっ、塩を分けて貰うのを忘れた。まあ、良いか、明日の夜は、ビギンの街だし......zzz

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ