第8話 入学
ローセンティア神聖帝国での婚約の話から少し経った今日、私はティスピア王国の王都にあるエストラルド侯爵家の屋敷に来ていた。
「シア、忘れ物はない?」
「もう、何回聞くんですかお母様!自分でもキャロルにも確認してもらったので大丈夫ですよ。もし忘れ物があってもこっそり取りに来れますから!!」
「あなたねえ」
「それよりも学園で何かあればすぐ私かマーガレットのところにくるんだよ?」
「はい!」
私は今日から国立学園に入学する。入学しても王都の屋敷から学園まで通うのにとても心配されている。
「お嬢様、そろそろお時間です」
「分かったわ、それじゃあ行ってきます!お父様!お母様!」
「ああいってらっしゃい」
「くれぐれも気を付けるのよ」
そう言って私は屋敷から出て馬車に乗った。
少しの間馬車に揺られていると学園に到着した。
ここがこれから5年間通う学園だと思うとドキドキワクワクだ。
実はお母様に婚約発表までに信頼できる友人を作りなさいとミッションをもらった。なので頑張って友達も作る予定だ。
いろいろ想像に胸を膨らませていると入学式が始まった。校長先生の話は異様に長くて何をしゃべっていたのかはあまり覚えていない。すると入学生代表の言葉が始まった。内容はありきたりなものだった。
「入学生代表 アレックス・ティスピア」
それで拍手が上がり入学式は終了した。入学生の代表だったアレックスはこの国の第二王子である。
入学式が終わり大広間の外には入学前に実施されたテストの上位の結果とクラス分けが張り出されていた。クラス分けは基本的に上位から順位通りに分けられる。張り出されていたテストの結果はこうだ。
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第1位 アレックス・ティスピア
第2位 リリーシア・エストラルド
第3位 ジェミア・リーセンス
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予定通りの順位だった。両親とも話し合って王子より点数がいいのはまずいと思って少し手を抜いていた。結果予定通りに王子が1位となった。
その声が聞こえてきて私はそそくさとクラス分けに記載されていた教室まで移動した。
教室に全員がそろうと担任の話が始まった。これからの授業のことや学園での生活についての説明などだった。
それらの話が終わると今日の予定は終了である。なので私は屋敷に帰ろうかと思ったが呼び止められた。
「シアすごいじゃない!アレックス殿下に次いで2位なんて」
「あんなの偶然よ。そんなこと言ってクリスも十位以内じゃないの」
「私こそたまたまよ」
今私と会話しているのはクリスティーナ・ベルモント侯爵令嬢である。私の数少ない友人である。彼女とは何回か出席したお茶会で親しくなり手紙を交わしたり時々双方の邸宅に訪れるほどの仲である。
「そういえば殿下、婚約者と同じクラスなのに全く話す気配もないわね」
「殿下の婚約者って?」
「あなた知らないの?」
「うん」
「あなたって子は・・・。殿下の婚約者はジェミア・リーセンス公爵令嬢よ。」
クリスは小声でそう教えてくれた。
ジェミア・リーセンス公爵令嬢は筆頭公爵家であるリーセンス公爵家の嫡女で今回の場合はアレックス殿下は婿入りすることになる。だがクリスによると半年前に婚約したがあまり仲がいいという話は聞かないという。令嬢の方から歩み寄ろうという行動をしているらしいが悉く失敗しているらしい。
「ジェミア様もたいへんねえ」
「他人事みたいに言うあなたはいつ婚約者の発表するのよ。噂では他国の王太子からどこかの化け物まででてるわよ」
「どんな噂よ・・・向こうとこっちの準備が終わったときよ」
「さすがエストラルド侯爵様よねえ。誰も正解が分からないんだもの。情報管理が徹底し過ぎよ」
「そりゃ私のお父様ですもの。それよりあなたはいい人いないの?」
「私はいいのよ。5人兄弟の末っ子だし親からもいつかいい人がいたら連れてきなさいと言われてるくらいよ」
「そんなこと言ってたら行き遅れるわよ?」
「その時はそのときよ!」
そんな会話をしながら歩いていると二人とも馬車に着いた。
「それじゃあまた明日ね」
「ええまた明日!」
そう言って2人は馬車に乗り込んだ。




