第9話 魔法実践授業
それから数日が過ぎ私は教科書が入ったカバン(実際は異空間収納に入れているので入っていない)を持って教室に入った。着席すると今日もクリスが話しかけてきた。
「おはようシア!」
「おはようクリス、今日も元気ね」
「それはそうよ!!今日は魔法の実践授業よ!みんな謎多きリリーシア嬢の魔法が見れるって大騒ぎよ!」
「一番騒いでるのはあなたじゃない?」
「そ、それはそうかもしれないけれど!とりあえずあなたが隠し事が多すぎるからみんな気になるのよ!」
「そんなに隠し事はしてないんだけどねえ・・・」
「婚約者と使える魔法と公表されてないのが一番気になるところだからよ!!!」
「そういうもの?」
「そういうものよ!」
隠し事って言っても二つだけなんだけどなと思いながら授業が始まった。
ここ数日授業を受けているが全部勉強済みなので真面目に勉強しているふりをして魔道具やほかのことを考えている。
授業が終わるとクリスが楽しみにしていた魔法の実践授業である。
魔法の実践授業は校舎の外にある魔法訓練場で行われる。
生徒が揃うと担当の女性の教師が話し始めた。
「えーみなさん集まりましたね。それでは授業を始めます。まず最初にあそこにある的に向かって魔法を使ってください」
そう言われみんなが順番に魔法を的に放っていく。それぞれ呪文を唱えながら放っている。今思うと他人が魔法を使っているのを初めて見たかもしれない。
など考えているとアレックス殿下の順番になった。
「『ファイヤーアロー』」
そう言って的まで飛んで行った魔法の火の矢は的に当たると大きく燃え上がった。
周りはそれを見てざわめいている。きっとすごいことなのだろう。と考えているとアレックス殿下と目が合った。顔がニヤッとしながらこちらを向いているので少し薄気味悪い。鳥肌を立てていると私の番になった。だがその時に先生が的を取り替えますと言って今まで木製だった的が固そうな鉄製になった。先生がニタッこちらに笑顔を向けてくる。なんでだろうと思いながら魔法を放つ準備をする。
いままでこの魔法を攻撃的に使ったことがありないので大丈夫だろうかと不安になりながら魔法を的に向けて放った。
「あっ」
すると固そうな的は後ろの壁ごと真っ二つになってしまった。
「「「「「「えっ」」」」」
みんな絶句だ。今さっきまでニタニタしていた先生は顎が外れそうなほど口を開けている。
「そ、それじゃあ的の交換と壁の修復をしましょうか」
と先生がプルプルしながら言って用務員の人が作業を開始しすぐに修復が完了した。
そしてみんなが落ち着いたら授業は再開した。少し経つとジェミア様の順番になった。ジェミア様はとても顔色が悪く今にも倒れてしまいそうだ。そんな中問題はジェミア様が魔法を放った時に起こった。
ジェミア様が気を失い倒れたのだ。私はジェミア様が倒れそうになった時に勝手に体が動いてしまい転移で20mほど移動してジェミア様をさせてしまった。咄嗟のことだったので私はその場から逃れるために先生に「ジェミア様を医務室までお連れしてよろしいですか?」と聞いて先生が頷いたらそそくさとジェミア様を抱えながら早足でジェミアを医務室まで移動した。
医務室に着くとジェミア様を別途に寝かせて医務室の医師に診断してもらった。
「うーん、これは過労だね」
「過労ですか」
「きっと何か悩ましいことがあって寝れなかったりしたんじゃないかな」
そこで私は先日のクリスとの会話を思い出した。アレックス殿下となにかあったんだろうかと考えていると思ったよりすぐにジェミア様の目が覚めた。
「うーん・・・ここは?」
「ここは医務室ですよ」
「・・・は!そういえば授業は?!」
「先生に医務室に連れていきますと言っているので大丈夫ですよ」
「ならよかったです。リリーシア様ありがとうございます」
「いえいえ。アレックス殿下はお呼びしますか?」
「!それはやめて!!!」
聞いてみたらすごい速度で拒否された。ジェミア様は口を手で押さえた。咄嗟に口から出たのだろう。
「分かりました、ではほかにだれかお呼びしますか?」
「・・・ならもう少しだけここにいてくれる?」
「!はいどうせ今から戻っても質問攻めなので・・・」
「???どういうこと?」
「それが」
そう言ってジェミア様を運ぶ時の状況を説明した。するとジェミア様は目を見開いてから上品に笑った。
「そこまでしてくださってありがとうございます。それにしても隠し事が多い人は大変ですね」
「それみんなに言われます・・・」
そう言って2人で医務室で静かに笑った。




