第7話 side ローセンティア神聖帝国
エストラルド侯爵一家が帰宅した後、ウィリアムとヴィルヘルムは皇妃マリアンヌを待ちながらウィリアムの書斎に集まっていた。
「ふう、疲れたな」
「ありがとうございます父上」
「息子の幸せのためだ、これくらい簡単さ。それに相手があのライゼスの娘と聞いたときは本当に驚いたものさ。私たちのことは知っているか?」
「はい、今日エストラルド侯爵夫人からお聞きしました」
「そうか、あいつとは兄弟みたいなものでな。それがまさか身内になるんだ。驚きだよ」
ウィリアムとライゼスは非常に仲もよくまた二人とも非常に優秀だった。ウィリアムはライゼスが隣国の人間でなければ即側近として採用しようとしていたほどである。それを叶えるために帝国に爵位を用意しようとしたがそのタイミングで少し国内がゴタつきそれが叶うことはなかった。
そこでウィリアムは紅茶を一口飲んだ。
「しかし調査結果でリリーシア嬢が優秀なのはわかっていたが10歳とは思えないほどだったな」
「そうですね父上」
ヴィルヘルムが婚約を申し込みたいといった時点ですぐにリリーシア嬢の情報を集めだした。しかし集められた情報は屋敷での呼び名が天使であるという程度のはなししか集まらなかった。さすがそこは大きな商会を持っているだけあり情報の管理は徹底されていた。なので先ほどライゼスと二人きりになった時に直接聞いてみた。
そこで聞いたのはすでに学園での勉強範囲はすべて履修済みだということ。さらにはそのほかの剣術や馬術なども興味を示しそれらのことごとくをすぐに習得してしまったこと。戦闘という点においてはエストラルド侯爵家の騎士団長をも凌駕するほどで誰もリリーシア嬢を降参させたことがないという化け物っぷりである。
それらを聞いたとき息子のヴィルヘルムのことを考えた。私とマリアンヌのできる限りの愛情を注ぎながら将来大国の皇帝になるものとして育ててきたので親の贔屓目を抜きにしてもかなり優秀に育った。が、それでもリリーシア嬢には及ばないだろう。それにヴィルヘルム自身が傷つかないかが気がかりだった。
「ヴィルヘルム、おまえにはあの優秀なリリーシア嬢の横に立つ勇気はあるか?」
「あります」
即答だった。
「それに家庭内では女性の方が権力が強いほうがうまくいくんじゃないですか」
「それは俺たちのことを言っているのか」
「それ以外にいないでしょう」
「はははっ!確かにな!!」
「何が確かにですか」
ウィリアムはソファで跳ねた。
「や、やあマリアンヌ」
「お疲れ様です母上」
「はいお疲れ様です。それでどうでした?エストラルド侯爵令嬢は」
「想像以上だったよ。あの子が将来この国の皇妃になってくれたらこの国も家族も安泰だろうね」
「まあ、あなたがそんなに褒めるならよっぽど優秀なのですね。ヴィルはリリーシア嬢に会って気持ちは変わらなかった?」
「より一層この方と結婚したいと思いました」
「ならいいわ」
「しかし本当に会わなくて良かったのか?」
「言ったでしょう?あの二人の子供なら絶対優秀なかわいい子だって。ならどうせすぐ会うわよ。だから今は皇太子妃教育の用意をするのよ」
「たしかに言った通りだったな」
「それより!!!」
マリアンヌはソファから身を乗り出した。
「ヴィル、リリーシア嬢は可愛かった??」
「ええそれはもう所々で天使と呼ばれる理由が分かるほどに」
「そりゃああの二人の子ですものね!ああ、早く会いたいわ~!!!次会うときに帝都のドレス点を呼んでおかなくちゃ!!!ああやっぱり今日少しだけでも顔を出せば良かったわ!!!」
「だから言っただろう・・・」
それから興奮しだしたマリアンヌを落ち着かせるのに苦労したウィリアムとヴィルヘルムであった。




