第5話 婚約
「ヴィルヘルムとリリーシア嬢の婚約についてだ」
・・・・エッ?!聞いてない!
貴族の娘として生まれた以上いつかは結婚するんだろうなとは思っていたが相手がまさか大国の皇太子とは思ってもいなかった。
「・・・一応確認しますがなぜリリーシアなのですか?」
「なに、簡単な話さ。なあ、ヴィルヘルム?」
「ち、父上!」
皇帝陛下はニヤニヤしてるし、なぜか皇太子殿下の顔が真っ赤だ。
皇帝陛下はニヤニヤしながら口を開いた。
「要するにこいつの一目惚れだ。」
「あの・・・皇太子殿下とお会いしたことはないと思うのですが・・・?」
「以前、リリーシア嬢がこの城に付き添いで来た時にどうやら一目惚れをしたらしい。その相手が大陸有数の商会を持ったエストラルド侯爵の娘なら相手としても不足ない、というわけだ。それにそちらにも悪い話ではなかろう?大国の皇太子妃、未来は皇妃だ。大抵の面倒くさいものは跳ね返せる。もうすでに面倒くさいことになっているんじゃないか?侯爵よ」
お父様は大きくうなずいた。
「陛下のいう通りです。リリーシアへの釣書や招待状が毎日山のように届いて仕事が滞ることもしばしば。それにリリーシアが優秀ゆえしっかりとしたものを選びたいのですがなかなかおらず・・・」
そんなことになってたとは・・・。
「ならどうだ。うちの息子もそれなりに優秀だと思っている。今回のこと受けてくれないだろうか?」
陛下がお父様に問うとお父様は私を見た。
正直初対面からきれいな方だとは思っていた。それに先ほどからちょくちょく目が合うのだが目が合うごとに殿下は真っ赤になっている。きっとこの人と結婚したら幸せになれるだろう。これは女の勘だがそんな気がする。
「この話、お受けするかシアがきめていいのよ」
そうお母様から言われる。
「・・・私でよろしければぜひお願いいたします」
「うむ。それでは婚約成立ということでよろしいか?」
「はい」
「なら書類も今のうちに書こうか。ここからは大人の話もある。2人は庭にでも出ていなさい」
そう言われて私と皇太子殿下は部屋から追い出され皇城の庭に出た。
庭に出て東屋に着いたので皇太子殿下に聞いてみた。
「本当に私で良かったのですか?」
「君が良かったんだ。この人と結婚したい。はじめて君を見た瞬間にそう思ったんだ。それで父上に直談判して頼み込んだよ。あの令嬢がいいと」
自分で聞いておいてなんだがすこし恥ずかしい。
すると皇太子殿下が少しもじもじしだした。どうしたのだろうと思っていると
「出来ればで構わないのだが・・・私のことはヴィルと呼んでくれないか?」
今度はこっちが顔が熱くなった。この人は思ったより大胆かもしれない。
「なら私のことはシアとお呼びください、ヴィル様」
そういうと皇太子殿下の顔が一気に明るくなった。
「あ、ああ。ありがとうシア」
そこからはそれぞれに今までに何があったかなど他愛もない話をした。
少ししたら近衛の方が呼びに来てくれて、部屋に戻る。
両親と陛下は私たちのことを見ると全員目を見開いてそれぞれ
「な、仲良くなるのが早いな」
「うちの娘が・・・」
お母様はそういうお父様を励ましていた。
私たちが着席すると陛下が
「それでは話の続きをしようか婚約者との交流だがこの距離だ毎週というのは難しいだろう」
と陛下はいうので隣のお父様に聞いてから発言をした。
「陛下は私の魔法をご存じですか?」
「一応時空魔法と聞いているよ。噂によれば浮遊できるらしいね。それで容姿と相まって天使と呼ばれていることも知っているよ」
「な。なぜそれを・・・?!ではなくて実はそれだけではないのです」
「ほう」
「一度行った場所なら一瞬で行けるのです」
「はぁ?」
あまり想像が出来ないらしい。
するとお父様が
「体験するのが早いと思います。びっくりしますが」
「なら体験してみよう」
陛下がそういうのでお父様に促され陛下とヴィル様の近くに寄った。
「今からびっくりすると思いますが慌てないでください」
と近衛の方にも注意した。
「それでは始めます」
と言ってから転移した。転移先は先ほどまでヴィル様といた東屋にした。
2人ともとても驚いている。
「こ、ここは城内の東屋か?」
「はい、そうです」
「そ、そうか。もっと遠くても転移できるのか?」
「あまり乱用はしていないのでわかりませんが一度行ったことのある場所ならどこでも行けます」
皇帝陛下もヴィル様も驚いている。
「いったん戻ろうか」
「承知いたしました」
そういって私たちは先ほどの部屋に戻った。
「陛下!ご無事ですか?!」
「あ、ああ問題ない」
部屋に戻ったら近衛が急いで陛下の無事を確認したりと大慌てだった。




